J・3D 3Dプリンター製「3次元冷却水管金型」 検査装置開発で品質保証を強化
2016.10.20 11:00
金属3Dプリンター製造受託サービスを手掛ける株式会社J・3D(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:高関 二三男)は、3Dプリンターと従来の金型技術を合わせて製作する「3次元冷却水管金型」の冷却性を検査する装置を自社開発しました。これによって金型の品質保証体制が強化されたため、さらなる金型メーカーへの受注拡大を目指します。
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3次元冷却水管の検査装置
詳細情報: http://j3d.jp/post-6513/
【リーマンショック以降、金型業界の国内空洞化が問題】
日本国内の金型生産額は、リーマンショック以降、縮小均衡に陥っており、業界の国内空洞化が問題となっています。
・金型生産額推移表
https://www.atpress.ne.jp/releases/114385/img_114385_2.jpg
出典:一般社団法人日本金型工業会、機械統計データ(経済産業省)
しかし、従来の金型技術と金属3Dプリンターの冷却水管技術を合わせた付加価値の高い金型を作ることで、金型業界全体に対して、国内生産回帰の追い風になることが期待できます。
【3Dプリンター製金型で、成形サイクルタイム50%削減】
従来の水管がついていない「ダイカスト金型」は、高温と低温を繰り返すため内部に熱がたまり、冷却するまでに時間がかかることが問題でした。また、金型内部に水を通して冷やすことで、成形サイクルを早める効果がある「金型水管」という技術がありますが、従来の方法では、刃物の物理的な問題から、効果的な場所に水管を通すことができませんでした。
しかし、金属3Dプリンターを使うことで自由な設計が可能になり、らせん状に冷却水管を配置できるため、効率的に金型を冷やすことができます。こちらは「3次元冷却水管」として、従来の金型に比べて成形サイクルタイムが約50%削減したという事例も報告されています。
また費用面の問題からも、水管部分のみを3Dプリンターで作成する「ハイブリット構造」と呼ばれる方式を採用し、自動車メーカーからも高い評価を受けています。
【検査保証の問題を解決する、新発想の検査装置を開発】
3Dプリンター製「3次元冷却水管金型」は、らせん状に冷却水管が配置されているため、設計通りに内部の穴が通っているのかを確認するのが困難という問題がありました。また、お客様からの要望もあり、詳しい検査ができないかと試行錯誤していました。
厳密にいえば、X線CTを用いて中を透過させる技術がありますが、マルエージング鋼と呼ばれる材質を透過させるには、ハイパワーなX線CTが不可欠であり、膨大な投資が必要となるため、断念せざるを得ませんでした。
しかし今回開発した新しい検査装置は、らせん状の冷却水管に水を通すことで、入口の圧力、出口の圧力が一緒であれば、正しくできているという方式で品質を保証することができます。
また、入口と出口のバルブを閉め、圧力を保持した水を金型内部に30分保持するといった検査を実施し、金型に欠けがあるか、水漏れがないかというテストも行い、品質を保証します。
さらに、バイパスをつけて水の中に研磨材を入れることによって、らせん状の水管内部を研磨することもできます。
これらの検査方法によって、3次元冷却水管が設計通り配置されているかを保証できる体制が整いました。
【今後の展開】
株式会社J・3Dでは、付加価値の高い「3次元冷却水管」と水管内部を検査する体制が確立できたことにより、成形サイクルタイム向上といったご提案が、さらなる日本の金型業界の発展につながることを期待します。
【会社概要】
名称 : 株式会社J・3D
所在地 : 〒455-0815 愛知県名古屋市港区油屋町1丁目30番地
代表者 : 代表取締役 高関 二三男
事業内容: 金属3Dプリンター受託造形サービス、リバースエンジニアリング、
鋼材販売
URL : http://j3d.jp/
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