抗補体モノクローナル抗体製剤「ソリリス(R)」 難治性の全身型重症筋無力症に対する効能追加を承認申請
アレクシオンファーマ合同会社(本社:東京都渋谷区)は3月22日、抗補体モノクローナル抗体製剤「ソリリス(R)点滴静注300mg」(一般名:エクリズマブ(遺伝子組換え)、以下「ソリリス」)について、抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性の難治性の全身型重症筋無力症(gMG:generalized myasthenia gravis)に対する効能追加の承認申請を行いました。今回の申請は、第III相国際共同臨床試験(REGAIN試験)の総合的なデータに基づいて行われました。
抗AChR抗体陽性の難治性のgMG患者さんは稀ですが、既存の治療法にもかかわらず、歩行しづらい、話しづらい、飲みこみづらい、普通に呼吸しづらいといった深刻な症状に直面しています。病気が増悪すれば、命を脅かされることにもなりかねず、入院や集中治療が必要になります。
アレクシオンファーマ合同会社 社長のヘルマン ストレンガーは次のように述べています。
「難治性の全身型重症筋無力症の患者さんにとっては、現時点では有効な治療法がなく、未だ大きなアンメットメディカルニーズが存在しています。この新しい治療薬を、深刻な症状を抱える日本の患者さんにできるだけ早くお届けできるよう、承認取得に向け尽力してまいります」
この新たな適応症が承認されれば、ソリリスは抗AChR抗体陽性の難治性のgMG患者さんに対する最初で唯一の補体阻害薬となります。ソリリスは、日本では難治性gMGの治療薬として、米国およびEUではMGの治療薬として、希少疾病用医薬品指定を取得しています。
米国およびEUではすでに、抗AChR抗体陽性の難治性のgMG患者さんの治療薬としてソリリスの承認申請を行っています。なお、ソリリスが抗AChR抗体陽性の難治性のgMG患者さんの治療薬として承認されている国はありません。
■難治性の全身型重症筋無力症について(参考文献1-8)
抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性の難治性の全身型重症筋無力症(gMG)は、MGの中では稀であり、補体系により神経筋接合部(NMJ)に進行性に炎症をきたす、慢性進行性の消耗性自己免疫性神経筋疾患です。難治性の抗AChR抗体陽性gMG患者さんは、既存の治療法を行っても重症化し生命を脅かす合併症を経験します。
重症筋無力症は一般的に、眼筋の筋力低下から始まり、さらに重症化して、頭部、頸部、体幹、四肢および呼吸筋の筋力低下など、gMGとして知られる全身型へと進行します。gMG患者さんの大半の症状は既存の治療法でコントロールできますが、10~15%の患者さんはこれら治療法では十分な効果が得られない難治性と言われています。難治性の患者さんは既存の治療法を尽くしても、全身の著しい筋力低下が継続し、その結果として不明瞭な会話、嚥下障害、むせ、複視、日常生活に支障を来すほどの疲労感、呼吸筋の筋力低下による息切れを示し、頻繁な通院、呼吸不全の治療期間も含めたICU治療、長期入院が必要となります。
抗AChR抗体陽性MGの患者さんでは、NMJの筋細胞上に存在するAChRに対する抗体が免疫系により産生されます。AChRは筋細胞に神経からの刺激を伝達する受容体で、抗体が結合すると、補体カスケードが活性化されてNMJの破壊につながります。その結果、神経筋伝達障害が引き起こされ筋肉が正常に機能しなくなります。
現在、抗AChR抗体陽性の難治性のgMGという希少疾患に苦しむ患者さんに対して承認された治療法はありません。
■ソリリス(R)(エクリズマブ)について
ソリリスは、アレクシオンが研究開発から承認、上市までを行ったファースト・イン・クラスの終末補体阻害剤です。ソリリスは、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の患者さんに対する溶血を抑制する最初で唯一の治療薬として、日本では2010年4月に、米国およびEUでは2007年に承認を受けています。PNHは、補体介在性溶血(赤血球細胞の破壊)を特徴とする、生命を脅かす超希少かつ消耗性の血液疾患です。ソリリスはまた、日本において2013年9月、米国およびEUにおいて2011年に、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の患者さんに対する補体介在性血栓性微小血管症、つまりTMA(微小血管の血栓)を抑制する最初で唯一の治療薬としても承認を受けています。このaHUSは補体介在性TMAを特徴とする、超希少かつ致命的な消耗性の遺伝性疾患です。ソリリスは、志賀毒素産生大腸菌由来溶血性尿毒症症候群(STEC-HUS)の患者さんの治療は適応としていません。
補体阻害における画期的な医療革新に対し、アレクシオンとソリリスは2008年度ベストバイオテクノロジー医薬品として米ガリアン賞を受賞したほか、2009年度仏ガリアン賞の希少疾患用医薬品部門を受賞するなど、製薬業界最高の栄誉を受けました。
■アレクシオンファーマ合同会社について
アレクシオンファーマ合同会社は、アレクシオンファーマシューティカルズ(米国コネチカット州ニューヘイブン)の日本法人です。アレクシオンは、重篤な希少疾患を抱える患者さんの生活を一変させる治療薬の開発と提供に注力するグローバルなバイオ製薬企業です。アレクシオンは補体阻害におけるグローバルリーダーであり、生命を脅かす2つの超希少疾患である発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)および非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の治療薬として初めてかつ唯一承認されている補体阻害薬を開発し、製造販売しています。また、アレクシオンの代謝性フランチャイズは、低ホスファターゼ症(HPP)とライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D)といった生命を脅かす超希少疾患の患者さんに対する2つの非常に革新的な酵素補充療法を有しています。さらに、アレクシオンは、複数の治療領域にわたる極めて革新的な製品候補を擁し、バイオテクノロジー業界において最も強固な希少疾患パイプラインを進展させています。本プレスリリースとアレクシオンファーマ合同会社に関する詳細については http://www.alexionpharma.jp をご覧ください。
■参考文献:
1. Suh J, Goldstein JM, Nowak RJ. Clinical characteristics of refractory myasthenia gravis patients. Yale J Biol Med. 2013; 86:255-60.
2. Gilhus NE, Verschuuren JJ. Myasthenia gravis: subgroup classification and therapeutic strategies. Lancet Neurol. 2015; 14:1023-36.
3. Drachman D, Adams R, Hu R, Jones R, Brodsky R. Rebooting the immune system with high-dose cyclophosphamide for treatment of refractory myasthenia gravis. Ann NY Acad Sci. 2008; 1132:305-314.
4. Sathasivam S. Diagnosis and management of myasthenia gravis. Prog Neurol Psychiatry. 2014; 18(1):6-14.
5. Howard JF, ed. Myasthenia Gravis: A Manual for the Health Care Provider. St. Paul, MN: Myasthenia Gravis Foundation of America, Inc.; 2008.
6. Safety and efficacy of eculizumab in refractory generalized myasthenia gravis (REGAIN study). Clinicaltrials.gov identifier NCT01997229.
7. Melzer N, Ruck T, Fuhr P, et al. Clinical features, pathogenesis, and treatment of myasthenia gravis: a supplement to the Guidelines of the German Neurological Society. J Neurol. 2016 Feb 17. [Epub ahead of print]
8. Targeting the Complement System in Refractory Myasthenia Gravis. Supplement to Neurology Reviews. February 2016.
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