データセンター間を接続するネットワークへ 超大容量400ギガビット伝送装置を導入
NTTコミュニケーションズ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:庄司 哲也、以下 NTT Com)は、グローバル展開しているデータセンターの間を接続するネットワークに、大容量伝送かつ省スペース、省電力な400G伝送装置を、2017年4月14日より順次導入します。
これによりNTT Comの基幹網は、従来の2倍以上となる19Tbps以上の伝送容量を1光ファイバあたりで確保できることとなります。NTT Comは、IoTの本格的普及などに伴い増加し続けるトラフィックの流通に対して柔軟・迅速に対応するICT基盤を引き続き提供して参ります。
なお、本装置に用いられている400G伝送技術は、日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦 博夫、以下 NTT)の研究成果であるデジタル信号処理技術を活用したものです。
1.背景
近年の映像データの流通拡大やクラウド技術の進展に伴う基幹光通信網におけるトラフィックの急激な増大に対応するため、NTT Comは世界に先駆けて、デジタルコヒーレント光伝送技術(※1)を用いた1チャネル当たり100Gの光伝送システムを導入しました。
一方で、4K/8Kなどの高解像映像の流通拡大、IoTの本格普及、ビッグデータ解析の進展などにより、今後ネットワークを流通するデータは更に高速・大容量になることが想定されているため、NTT Comは400G伝送技術の実用化に向けた検討を進めてきました。
2.本装置の主な特長(図1)
(1) 世界最高水準の省電力・省スペースを実現(図2)
NTTの研究成果であるデジタル信号処理技術と16nm CMOS技術(※2)の相乗効果により、ビットあたりの消費電力を約75%削減(従来装置比)、またビットあたりの装置占有スペースを約80%削減(従来装置比)しました。面積などにゆとりのないデータセンターにも迅速なサービス提供が可能となります。
(2) 従来の2倍の伝送容量を確保
NTTは、400G光信号生成に関する研究において、光の位相と振幅の両方に情報を重畳させる16QAM(※3)変調信号とサブキャリア多重(※4)を実現しました。この成果が用いられている本装置では、1光ファイバあたり、従来システムの2倍以上の伝送容量を実現できます。
(3) 幅広いニーズに応えるための新インターフェイス(OTNインターフェイス(※5))提供
近年ホールセール事業者やデータセンター利用者を中心にニーズが増加しているOTNインターフェイス(OTU2/OTU2e/OTU4)を、またNTTの研究成果であるOTUCn対応フレーミング技術(※6)を活用した400GbEインターフェイス(※7)を、NTT Comの法人向けネットワークサービスのオプションとして、順次提供開始します。
(4) 柔軟かつ迅速な機能拡張が可能なディスアグリゲーションアーキテクチャ(※8)
従来の高機能なオールインワン型の専用装置ではなく、必要な機能部/モジュールごとに再配置が可能となるディスアグリゲーションアーキテクチャとSDN技術を組み合わせることにより、NTT Comは柔軟・迅速に、新たなサービスや機能を提供することが可能となります。
3.今後の展開
今後はIEEEの標準化動向も見据えながら400GbEなどの超高速イーサネット信号の提供や、ディスアグリゲーションされた機器とSDN技術を活用した伝送ネットワークの更なる柔軟性・俊敏性向上に向けて、両社で連携してPoC実施を始めとした技術検討を推進していきます。
<図1 新規導入装置の特長>
https://www.atpress.ne.jp/releases/126022/img_126022_1.jpg
<図2 新規導入装置による省電力・省スペース効果>
https://www.atpress.ne.jp/releases/126022/img_126022_2.jpg
関連するニュースリリース
[1] 世界最高水準400ギガビット伝送のフィールドトライアルに成功
http://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2015/20150319.html
[2] 超大容量400ギガビット/秒伝送の長距離化に成功
http://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2016/20160524.html
※1:デジタルコヒーレント光伝送技術
受信側に配置した光源と受信した光信号を干渉させるコヒーレント受信とデジタル信号処理を組み合わせた次世代光伝送方式。偏波多重や位相変調などの変調方式により周波数利用効率を向上させるとともに、大幅な受信感度向上を実現する。
※2:CMOS技術
Complementary Metal-Oxide Semiconductorの略。金属と半導体の間に薄い酸化膜があるMOS構造のトランジスタを組み合わせたもので、高速で低電力な集積回路を構成可能。16nmプロセスでの実現は、伝送装置向けとしては世界最先端。
※3:16QAM
QAMはQuadrature Amplitude Modulation(直交振幅変調)の略。2つの直交した(位相関係が90°になっている)信号光の振幅、および、位相の両方に情報を載せる変調方式。16QAMは16値の直交振幅変調方式で、一度に4ビット分の情報を送信可能。
※4:サブキャリア多重
1つの超高速チャネルを形成するために複数の波長の光信号(サブキャリア)を多重して伝送する方式。400G光信号の生成は16QAM変復調による200Gbpsの光信号を2つのサブキャリアを多重して生成した。
※5:OTNインターフェイス
ITU-T G.709で規定される光伝送インターフェイス。OPU(Optical-channel Payload Unit)、ODU(Optical-channel Data Unit)、OTU(Optical-channel Transport Unit)フレームにSDHやイーサネット等のクライアント信号を収容し、高信頼にデータを伝送する技術。
※6:OTUCn対応フレーミング技術
100Gbps超のサービス(超高速イーサネット信号等)を収容し、光ネットワーク上を高信頼にデータ伝送する技術。
※7:400GbEインターフェイス
IEEE802.3bsにて100G超イーサネットの有力候補として、現在標準化に向け議論がなされている400G級の超高速イーサネット規格。
※8:ディスアグリゲーションアーキテクチャ
従来の高機能なオールインワン型の専用機を用いるのではなく、ネットワークを構築する機能を部品化した機器によって柔軟かつ迅速に提供するアーキテクチャ。
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