まだ知られていない「高血圧・高血糖・高血中脂質」が 連鎖するリスクについて効率的なケアを考える トリプルリスク啓発 キックオフイベントを開催
岡部クリニック院長 岡部正先生、管理栄養士 岩崎先生 お笑いトリオ パンサー出演
2018.02.27 19:00
メタボリックシンドローム(メタボ)が提唱されてから10年以上経ちましたが、生活習慣病の患者数は高血圧 約1,011万人、糖尿病 約1,000万人、脂質異常症 約206万人(厚生労働省 平成28年国民健康・栄養調査、平成26年患者調査より)と、今もなお増加の一途を辿っています。
生活習慣病により動脈硬化が進行すると、心疾患など命に関わる重篤な病気を発症する危険性が増大することから、生活習慣病の代表的なリスク要因である高血圧・高血糖・高血中脂質の1つでも該当すると他の2つも悪くなる可能性があるという「トリプルリスク」の認知を高め、3つ同時にケアすることの重要性を訴えるため、『トリプルリスクを考える会』が発足し、2018年2月27日にキックオフイベントが開催されました。
登壇者による記念撮影
“かくれ肥満”を提唱し、テレビで初めてメタボを取り上げて警鐘を鳴らした岡部クリニック院長・岡部 正先生(医学博士)、生活習慣病対策に詳しい管理栄養士・岩崎啓子先生(※)という医療と食の専門家が「トリプルリスク」やその解消法について説明しました。
また、お笑いトリオ・パンサーの3人に登場いただき、3つが連鎖する「トリプルリスク」について体を張ってご紹介いただきました。
※「崎」は正しくは「たつさき」
■講演概要(1)
高血圧・高血糖・高血中脂質 3つが連鎖するトリプルリスクの危険性
はじめに、岡部クリニック院長 岡部 正先生(医学博士)より、「高血圧・高血糖・高血中脂質 3つが連鎖するトリプルリスクの危険性」というテーマで講演していただきました。
生活習慣病患者数が増加している背景には、生活習慣病の発症リスクが非常に高い、メタボに対する正しい理解が得られていないということが挙げられます。本会が行った調査では、回答者の約90%がメタボの診断基準を正しく答えられず、半数の人がメタボ=太っている、というイメージを持っていました。
高血圧・高血糖・高血中脂質の3つの症状には「インスリンの働きが悪くなる」という共通の要因があります。インスリンには血糖値を下げるという働きがありますが、この働きが悪くなると、それを補うために膵臓で沢山のインスリンが分泌されます。その結果、腎臓がナトリウムの再吸収を促進し、血圧が上がります。また、肝臓で中性脂肪の合成が盛んになって血中脂質が増えたりします。高血圧・高血糖・高血中脂質のどれか1つの数値が高い、ということは、他の数値にも影響するインスリンの働きが悪くなっている状態(インスリン抵抗性)である可能性が高いのです。つまりメタボや生活習慣病の先にある重篤な疾患を防ぐためには、高血圧・高血糖・高血中脂質の3つを同時にケアする必要があるのです。
・トリプルリスク啓発について講演を行う岡部先生
■講演概要(2)
誰でも取り組めるトリプルリスク解消方法・レシピのご紹介
続いて、管理栄養士で料理研究家の岩崎 啓子先生より「誰でも取り組めるトリプルリスク解消法・レシピのご紹介」というテーマで講演いただきました。(先生のご都合によりビデオ出演)
トリプルリスクを回避するには、意識的に塩分・糖分・脂肪分を3つ同時にケアする必要があります。副菜を追加してバランスよく栄養を摂る、調味料の使用量をバランスよく減らす、焦がし味など風味や食感を加える、などトリプルリスク解消レシピの骨子をご紹介しました。
とはいえ、食生活の改善は長続きできない人も多いはず…そんな人の特徴を3タイプに分け、実践しやすい対策方法やレシピを提案しました。
「食は本来人生を彩るもの。食生活を見直し、永く健康に過ごせるよう、しっかり基盤を作ってほしい」とお話しいただきました。
・管理栄養士の岩崎先生
・トリプルリスク解消のために考案されたレシピの骨子を紹介
■食生活の改善が長続きしない3タイプとオススメ解決方法とレシピ
<根が真面目な優等生タイプ>
・目標を高めに設定する
・ストイックに厳しくしがち
オススメ解決方法:一点集中主義
出来ることを1つずつ実施して、なるべくストレスをためない
・メニュー選びに一点集中
・普段の飲み物選びに一点集中
オススメレシピ:鶏肉のアクセント中華炒め
淡泊な鶏肉には風味と食感をプラス。
<雰囲気に流されやすい八方美人タイプ>
・飲み会が多い
・人から勧められると断りにくい
オススメ解決方法:相棒作戦
自分に合った「相棒」を味方につける
・便利食材から相棒食材を見つける
・飲みの相棒は、フライドポテトより枝豆、ポテサラより山掛け
オススメレシピ:焼きキノコとネギのマスタード和え
便利食材を使いおつまみをヘルシーに。
<つい誘惑に負けちゃう正直者タイプ>
・甘いものは別腹と、言い訳しがち
・ストレスや不安を食で解消しがち
オススメ解決方法:すり替えの術
食材やタイミングをすり替えて、質や量をコントロール
・おやつは食後のデザートにすり替え
・おにぎり1個を冷奴にすり替え
オススメレシピ:トリプルケア牛丼
定番メニューもすり替えで変身。
■トリプルリスク啓発 3都市プロジェクトの発表
トリプルリスク啓発は今後、食塩購入量No.1で市独自の食生活改善活動に取り組む青森市、長寿No.1奪回を目指し「信州ACEプロジェクト」を展開する長野県、食用油購入量No.1で「あぶら控え目」活動を展開する那覇市にて、地元在住の管理栄養士や料理研究家によるご当地版トリプルリスク解消メニューの開発、行政食堂やスーパーでのメニュー提供、市民セミナーの開催などを予定しており、2018年4月からの始動に向け準備してまいります。
3都市における今後の具体的な活動などについては、本日(2018年2月27日)に開設された啓発ウェブサイト(みんなで解消!トリプルリスク、 triple-risk.jp )にて随時お知らせいたします。
・3都市とトリプルリスクの啓発を進めていきます
・啓発用のWEBサイトも開設。
■トークセッション
最後にゲストとして、お笑いトリオのパンサーが「血圧」「血糖」「血中脂質」と書かれたTシャツを着て登場。3つのリスク要因が連鎖するという「トリプルリスク」をイメージさせるような、3人の手足が棒で繋がった状態になっているため、1人が転ぶと3人とも転んでしまうなど、うまく動くことができません。
続いて、血液検査の結果から3人の健康状態を発表。向井さんは血圧、菅さんは中性脂肪の値が高い状態でした。2017年3月9日にサンキュー婚をされ、2018年3月には第一子が誕生してパパになる予定の尾形さんは中性脂肪・コレステロール値がかなり悪い結果と、トリオでトリプルアウト状態でした。皆さんリスク要因は1つずつの結果でしたが、1つが悪くなると3つ悪くなるトリプルリスクの危険性について、岡部先生から改めて注意を受けました。
最後は二人羽織ならぬ、3人がつながった「三人羽織」でアツアツの鍋を試食、体を張って「トリプルリスク」を表現いただきました。
・3つが連鎖するトリプルリスク状態は非常に危険!
・二人羽織の進化版、三人羽織でアツアツ鍋を試食
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