診断・治療法の確立していない「電磁波過敏症」に対する FPP(パパイヤ発酵食品)による臨床的改善 および脳血流低下の正常化を示す論文を発表
2018.04.10 10:30
大里研究所(所在地:岐阜県揖斐郡、理事長:林 幸泰)は、フランス、パリ大学のドミニク・ベルポン教授(Prof. Dominique Belpomme)による「電磁波過敏症」を自己申告している患者を対象にしたFPP (パパイヤ発酵食品)の研究において、全体の50~60%のケースで臨床的改善が得られ、そのうち20~35%は、主に短期記憶の喪失、集中・注意不足障害といった認知的症状、不眠症や疲労などの軽減に大幅な改善を示し、血液検査や超音波脳内脈断層撮影(UCTS)による側頭葉における脈動指数(PI)の測定からも有意な正常化が確認されたことが、2018年2月28日、学術研究誌「Functional Foods in Health and Disease」Vol.8, No.2(2018)において臨床論文*として発表されたことをご報告いたします。
【図1】UCTSで測定した各側頭葉の異なる領域の脈動指数(PI)の試験開始時と3ヶ月後/6ヶ月後の比較
近年、私たちの生活はさまざまな電子機器なしには成り立たなくなっており、電波・電磁波の発生源が多様化する中で、一般に「電磁波過敏症」と称され、電磁波および電磁場に由来する過敏症に悩む人が増えてきています。その症状は人により異なるうえ、重症度には広い幅があり、影響を受ける人の中には日常生活に支障をきたす人もいます。
しかし、「電磁波過敏症」には医学的診断基準がなく、その症状を電磁波と関連付ける明確な科学的根拠はありません。WHO(世界保健機関)も、組織の加熱を生じることがない低いレベルの電波ばく露による健康への悪影響について、研究による一貫性のある証拠は示唆されていないという見解を示しています。
未だ病気としては認定されておらず否定的な見方がある一方で、症状は確かに存在しており、症状に苦しむ人のためにも診断・治療法の確立が必要とされています。フランス、パリ大学のドミニク・ベルポン教授(Prof. Dominique Belpomme)は、「電磁波過敏症」を自己申告している患者を対象にしたFPPの研究において、全体の50~60%のケースで臨床的改善が得られ、そのうち20~35%は、主に短期記憶の喪失、集中・注意不足障害といった認知的症状、不眠症や疲労などの軽減に大幅な改善を示し、血液検査や超音波脳内脈断層撮影(UCTS)による側頭葉における脈動指数(PI)の測定からも有意な正常化が確認されたことを臨床論文として発表しました。
FPPは、日本の大里研究所により開発された抗酸化・抗炎症および免疫調整の特性を有する食品で、「電磁波過敏症」を自己申告している患者さんの多くが酸化ストレス、炎症、自己免疫応答を示していることから今回の臨床試験が行われました。
FPPの摂取による効果と安全性を検討するため、1日9g(4.5gx2回)のFPPを継続して摂取した32名の被験者に対し、3ヶ月後、6ヶ月後の評価を行いました。問診で臨床評価を行った他、酸化ストレスと酸化ストレスによる炎症、及び炎症関連末梢血液検査に加え、超音波脳内脈断層撮影(UCTS)を用いて側頭葉における脈動指数(PI)も測定しました。
問診では、全体の50~60%のケースで臨床的改善が得られ、そのうち20~35%のケースで短期記憶の喪失・集中力や注意力不足等の認知的症状の改善、不眠・疲労の改善といった大きな改善が示されました(表1)。
また、末梢血液検査の結果でも、酸化ストレスを感じている患者において、酸化ストレスのパラメータである血漿中のマロンジアルデヒドの濃度が低下し、重要な抗酸化酵素であるグルタチオン・ペルオキシダーゼ活性が増加しました。
さらに、FPPの一定の抗炎症効果を示すデータとして、もともと炎症関連のバイオマーカーの値が高い患者の末梢血中のヒスタミンおよびHSP27/HSP70などのシャペロンタンパク質の統計的に有意な減少が示されました(表2)。
注目すべきは、問診による臨床的改善が、側頭葉における脈動指数、及び抗酸化作用等の測定といった科学的データにより客観的に裏付けされたという点です。慢性的に脳の血流量が低下し、酸素や栄養が脳へ十分に行き届かなくなることは認知機能障害の発症因子の一つであることが指摘されてきました。本研究における「電磁波過敏症」患者の脳血流低下の正常化を示すデータ(【図1】参照)は、FPPが「電磁波過敏症」の治療のみならず認知症予防に役立つ可能性を示唆しています。
大里研究所では、これから増えるであろう「電磁波過敏症」や「化学物質過敏症」などの環境因子に起因する“環境病”の治療法確立の一助となればと願い、FPPの臨床的改善のメカニズムの研究を進めるとともに、高齢化社会における認知症予防に向けた研究に一層注力していきたいと考えております。
【図1】UCTSで測定した各側頭葉の異なる領域の脈動指数(PI)の試験開始時と3ヶ月後/ 6ヶ月後の比較
【表1】症状評価の試験開始時と3ヶ月後及び6ヶ月後の比較
【表2】炎症関連バイオマーカーの平均値(± SD)の試験開始時と3ヶ月後及び6ヶ月後の比較
*Functional Foods in Health and Disease 2018; 8(2):122-144
Irigaray Philippe, Garrel Catherine, Houssay Carine, Mantello Pierre, Belpomme Dominique
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