「ヨーグルトファースト」で食後高血糖を抑制 老化や疾患の進展予防に寄与する可能性 ~Glycative stress researchに論文掲載~
肌の糖化に着目した美容ブランドなどを展開するクラージュ株式会社(所在地:東京都中央区、代表取締役:篠田 和利)はこの度、ヨーグルトと米飯の摂取が食後高血糖に与える影響を検証しました。
健康な男女20名を対象に、A~Dの4パターンの食事を規定の時間で食べてもらい、食後の血糖値を経時的に測定。血糖値の時間経過による変化を調べたところ、ヨーグルトを米飯の前に食べると、食後の血糖値の上昇抑制をすることがわかりました(グラフ1)。またヨーグルトを米飯の前に食べる「ヨーグルトファースト」は、既に報告されている、米飯よりも野菜サラダを先に食べる食事法「ベジタブルファースト」と同等、またはそれ以上の効果があることがわかりました(グラフ2)。ヨーグルトの高血糖抑制作用には、ラット、マウスなどを用いた動物実験1),2)やヒト臨床試験があり3)、ヨーグルトに含まれる乳ホエイ中のアミノ酸や乳酸が寄与していると報告されています。
健康診断で測定する空腹時血糖値が基準範囲内であっても、食後の極端な高血糖状態は、老化の原因である糖化ストレスを招きます。食事にヨーグルトを追加して摂る食習慣は、食後高血糖の抑制により糖化ストレスを軽減し、老化や疾患の進展予防に寄与する可能性が示唆されました。
A:米飯の単独摂取
B:米飯よりも野菜サラダを先に摂取
C:ヨーグルトより米飯を先に摂取
D:米飯よりもヨーグルトを先に摂取=「ヨーグルトファースト」
グラフ1
グラフ2
【方法】
健康な男女20名(35.8歳±6.6歳)が被験者。基準食として米飯の単独摂取(A)、ヨーグルトより米飯を先に摂取(C)、米飯よりもヨーグルトを先に摂取(D)した場合の血糖値推移を検証しました。また、食後高血糖抑制作用の比較として、米飯よりも野菜サラダを先に摂取(B)した場合も実施しています。
検査当日は空腹時に血糖値を測定した後、試験食品を10分間で摂取。血糖値は被験食摂取開始から15分、30分、45分、60分、90分、120分後に被験者自身が自己血糖測定機で測定しました。
糖化ストレスの評価は、血糖上昇値、酒匂血糖変化値(ΔCmax)および血糖上昇曲線下面積(area under curve: AUC)によって行い、試験結果はFriedman検定を行いました。
【結果】
有害事象は無く、解析対象除外基準に該当する被験者がなかったため、被験者20名全員を有効性解析対象者とした。ΔCmaxは(A)と比べて(B)(p
【試験食品】
本研究で用いた試験食品の栄養成分は各食品に表示されている数値を用いて計算しました。本研究では、包装米飯、プレーンヨーグルト、野菜サラダ(オニオンとレタスのミックスサラダ)を使用。野菜サラダはドレッシングを使わず、そのまま摂取しました。
試験食品の摂取量は日本Glycemic Index(GI)研究会の統一プロトコルに従って炭水化物(糖質)総量が49.9 ± 0.4g(平均値 ± 標準偏差)になるように、以下の通り摂取量を決定。
(A) 米飯150g(炭水化物量 49.7g)
(B) 野菜サラダ101gと米飯138g(炭水化物量 49.7g)
(C, D)ヨーグルト200g米飯120g(炭水化物量 50.4g)
摂取方法は各試験食品ともに検査開始後10分間で摂取。但し、試験食品(B)~(D)の摂取時は最初の5分間に(2種類の試験食品うち先に)、(B) 野菜サラダ101g、(C) 米飯120g、(D) ヨーグルト200gを摂取。
【考察】
乳ホエイの食後高血糖抑制作用は、ホエイ中のアミノ酸がインクレチン分泌の促進に作用している可能性4)があります。乳酸には食品の消化管内で消化部のゲル化促進5)、ガストリンの分泌抑制による消化速度抑制作用が知られています6)。
市販のプレーンヨーグルト製品19種類を調査した結果、ヨーグルト中のタンパク量は3~4g/100g(栄養成分表示による)、乳酸量は90~900mg/100gでした(データ未掲載)。また、ヨーグルト摂取30分後には血漿乳酸濃度が上昇し、3時間後まで維持することが報告されています7)。よってヨーグルトと米飯を一緒に摂取したときの食後高血糖抑制作用は、ヨーグルト中の乳タンパクの消化に伴うアミノ酸によるインクレチン分泌促進、および乳酸による胃での消化速度遅延、消化物のゲル化促進、吸収された乳酸による糖代謝の促進などが関与した可能性があります。
また、ヨーグルトは、食後高血糖抑制作用の他、糖化反応そのものの抑制作用があることも報告されています8)。
Reference
1) Tabuchi M, Morita H, He F, et al. Effect of administration of Lactobacillus rhamnosus GG on postprandial blood glucose level in rats. Milk Science. 2005; 54: 17-21. (in Japanese)
2) Yun SI, Park HO, Kang JH. Effect of Lactobacillus gasseri BNR17 on blood glucose levels and body weight in a mouse model of type 2 diabetes. J Appl Microbiol. 2009; 107: 1681-1686.
3) Ostman EM, Liljeberg Elmstahl HG, Bjorck IM. Inconsistency between glycemic and insulinemic responses to regular and fermented milk products. Am J Clin Nutr. 2001; 74: 96-100.
4) Gunnerud1 U, Holst JJ, Ostman E, et al. The glycemic, insulinemic and plasma amino acid responses to equi-carbohydrate milk meals, a pilot-study of bovine and human milk. Nutr J. 2012; 11: 83.
5) Ostman EM, Nilsson M, Liljeberg Elmstahl HGM, et al. On the effect of lactic acid on blood glucose and insulin responses to cereal products: Mechanistic studies in healthy subjects and in vitro. Journal of Cereal Science. 2002; 36: 339-346.
6) Ebihara K. Effect of lactic acid on postprandial plasma-glucose and -insulin responses in rats administered glucose solution. Nutrition Research. 1996; 16: 1575-1585.
7) de Vrese M, Barth CA, Postprandial plasma D-lactate concentrations after yogurt ingestion. Z Ernahrungswiss. 1991; 30: 131-137.
8) Tanaka Y, Yagi M, et al. Anti-glycative effect of yogurt: Prevention of advanced glycation end product formation. Glycative stress research. 2017; 4 (1): 025-031
なお本研究成果は、同志社大学生命医科学部糖化ストレス研究センター八木 雅之教授との共同研究の一部で、2018年3月末に発行されたGlycative stress researchに掲載された論文の要約です。
原文をご覧になりたい方は、WEBジャーナル( http://www.toukastress.jp/webj/ )をご覧ください。
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