海外送金手数料に関する複雑性と、モバイル時代に必要な海外送金のかたちについての考察を発表
~ITジャーナリスト 松村太郎から見る″海外送金トレンド″~
本当の為替レートが適用された隠れコストがない早くて安い海外送金サービスTransferWiseが、2018年6月に調査会社エスプールセールスサポート社を通じて実施した海外送金の手数料及び着金額の調査結果について、テクノロジーとライフスタイルをテーマに様々な情報を発信しているITジャーナリスト 松村太郎氏に考察をいただきました。松村氏自身、米西海岸に居住しながら世界のIT情勢に関する執筆活動をしていますが、グローバルで活躍されている松村氏ならではの観点に注目ください。
目次
・サマリー
・海外旅行で気づく手数料の存在
・海外送金手数料に関する複雑性
・手数料以外の重大な競争差異
・モバイル時代に必要な海外送金のかたち
<サマリー>
海外送金の需要は、旅行やショッピング、ビジネス、教育などのボーダーレス化によって、世界的に高まりを見せている。
今回、日本から海外への海外送金で実際に手数料がいくら掛かるのかなどについて、大手銀行をはじめ複数の機関を調査。既存の金融機関が提供する送金サービスにおける「手数料のわかりにくさ」とそれによる「着金金額の減少」という問題点に対して、TransferWiseの優位性を明らかにしている。通貨間でできるだけ手数料を少なく、高い信頼性を持って送金できる点は重要だが、その信頼性につながる別の優位性、海外送金の機会や、スピードといった銀行にはない重要な価値を見出すことができる。
TransferWiseは、グローバルで活躍する人々にとっての「重要なインフラ」としての発展性を期待することができる。
<海外旅行で気づく手数料の存在>
日本に住む多くの人々が外貨に触れる多くの場面は、海外旅行だ。
例えば米国への旅行をする場合、米ドルを銀行や空港などで両替して持参することになる。その際、ニュースなどで確認できる為替レートに対して、1〜5円の為替手数料が上乗せされている事に気づく。また、クレジットカードも同様で、計算日のレートに1.6〜2.16%の為替手数料が上乗せされた日本円が請求される。こうして、通貨間の「手数料」の存在に気づくことができる。
昨今、旅行以外にも様々な場面で、外貨に触れる機会が増えてきた。例えばオンラインのショッピングやオークションなどを利用する際、旅行の中でも滞在型のプランで海外に直接送金しなければならない際、あるいは出張や家族の留学などの資金の送金なども増えている。
これまで多くの場合、海外送金は銀行を通じて行われてきた。一般社団法人日本資金決済業協会が2018年4月に行った調査によると、銀行で海外送金ができることを知っていると答えた人は97%、銀行を利用して送金を行った利用者は92%に上る。また海外送金の手段として資金移動業を知っている人は45%、利用者は33%だった。
日本における、一般的な認識としてもサービス利用としても、「海外送金は銀行から行う」ことが当たり前となっている状況が分かる。
<海外送金手数料に関する複雑性>
銀行を通じた海外送金サービスの利用において発生するのが、前述の両替やクレジットカードと同様の為替手数料だ。しかし、銀行の海外送金サービスの手数料はより複雑だ。
TransferWiseが実際の送金を元にして行った調査によると、銀行では送金金額に対する為替手数料がかかる。一般的な大手銀行では、5万円までの送金には1/20の為替手数料が必要となり、その最低料金は2500円もしくは25ドルだ。つまり、50000円送金する場合も、10,000円送金する場合も、2,500円の為替手数料がかかる。
これに加え、送金手数料が一律5,500円、受取手数料一律3,000円がかかり、場合によっては中継手数料が差し引かれる。つまり、10,000円送金する場合の手数料は11,000円かかり、不透明な中継手数料も存在するのだ。これらの存在から、いくら振り込めば100ドルを送金できるのかが不明瞭であることがわかる。
SMBC信託銀行は、4,000円の振込手数料と1,500円の中継手数料がかかる。。また新生銀行も、4000円の振込手数料が一律でかかってくる。しかしどちらも為替レートにスプレッドをのせているという点や、国によって着金手数料が発生するケースもあり、やはり現地通貨で必要な金額が決まっている振込に必要な日本円の総額は不透明と言える。
海外送金において最も認知されている銀行は、送金に必要な金額の不透明さが大きい。また為替自体もどのレートを使用しているのかが明確になっていないため、為替レートそのものが消費者にとって不利なレートになっていることもある。
そうした中で、TransferWiseは、米ドルの場合、送金額の0.55%+100円という手数料を実現しており、10,000円の送金にかかる手数料は155円と、最も安い金額となっている。しかも、為替手数料やレートの上乗せ(スプレッド)もないため、特に、少額になりがちなショッピングやオークション利用などにかかわる海外送金を行う場合、TransferWiseの活用に高い優位性が発揮されることがわかる。勿論、海外留学・赴任の準備金や生活費、海外に住む家族への仕送り、海外での投資など少額でない場合でもTransferWiseが優位性を発揮するケースは多分にある。
<手数料以外の重大な優位性>
現在日本で一般的な海外送金手段である銀行を利用した送金には、手数料の高さに加えてもう一つ、重要な利便性の低さがある。それは、時間だ。時間についても、TransferWiseは多面的な優位性を持っている。
平日昼間働いている人であれば、海外のショッピングやオークションを利用するのは夜の時間になる。銀行は平日の午後3時に窓口が閉まる店舗が多く、夜に窓口で手続きを行うことはできない。
また会社の近くに銀行の店舗があっても、混雑していれば、窓口に並んでいる間に昼休みは終わってしまう。都市で仕事をしている人にとって、窓口での海外送金手続きが現実的ではない理由だ。
TransferWiseでは、送金手続きをウェブやアプリで行うことができる。資金の移動をオンラインバンキングでTransferWise宛に振込(もしくは振込予約)を行えば、全ての手続きをいつでもスマートフォンで完了させることができる。
実現可能性を考えると、銀行を用いた海外送金は、圧倒的に機会が損なわれていることが分かる。
加えて、着金までの時間にも、TransferWiseの優位性がある。銀行では1〜6営業日と案内されているが、TransferWiseでは両替後1〜2日で着金が完了する。英国、オーストラリア、カナダの場合は当日の着金と案内される。
多くのサービスで、入金確認後にサービスが提供されたり、商品が発送されたりするため、着金までの時間はより重視されるべきポイントとなる。
多くの人が経験することだが、海外送金中、自分の資金がどうなっているのか不安に感じる。自分の口座から出金され、相手の口座に振り込まれるまで、自分の資金の保証がどこにもないからだ。その点、TransferWiseは預かり資金の100%保証をうたっている。
送金手続き、着金までの時間の短さ、資金の保証といった、時間や信頼性の面での安心感は、手数料とともに、海外送金サービスにおける重要な競争力となる。
<モバイル時代に必要な海外送金のかたち>
現在、世界の金融市場では、仮想通貨への関心が高まっている。米国はその重要な拠点の1つであるが、現状、投機的な側面が強く、実生活において、仮想通貨の中で最も流通しているビットコインですら、街中で利用できる店舗は数少ない。
ビットコインをはじめとする仮想通貨は、ボーダーレス化する社会における新しい通貨の形だ。例えばビットコインを受け付ける店舗であれば、両替することなく手持ちのビットコインをどの国でも決済に使うことができる。こうした経験は、既存の通貨には存在しない圧倒的な価値となっている。
しかし投機的な側面が依然として強く、価値の乱高下が続いていることから、利用者や、受け付ける店舗から根強い軽快感と敬遠が拭えない。安定的な価値として利用できるようになるまでには、まだまだ長い時間がかかることになる。
そうした中で、TransferWiseなどの国際送金サービスは、より現実的かつモバイル時代に即したサービスになることが期待できる。
金融サービスが、モバイルデバイスを持ちながら移動し続ける人々にフィットする手段として、TransferWiseの重要性は今後も高まることになる。モバイル対応、手数料の安さ、スピード、信頼性は、グローバルで活躍する人々のインフラとして発展していくことが期待できる。
松村太郎 / プロフィール
1980年東京生まれ。2011年よりシリコンバレー、カリフォルニア州・バークレーに拠点を移し、テクノロジーとライフスタイル、ビジネスに関する取材を米国から発信する。また教育とITで社会問題を解決するキャスタリア株式会社取締役研究責任者、2014年設立のプログラミング必修の通信制高校、学校法人信学会コードアカデミー高等学校の副校長を務め、現在スーパーバイザーとして新しい学校作りに携わる。
トランスファーワイズジャパン株式会社について
トランスファーワイズジャパン株式会社は、2011年に創業されたロンドンに本社を置く、世界最大の海外送金会社「TransferWise」の日本法人。2016年設立。
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