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脳卒中後のリハビリテーション効果を促進する新薬開発  日本における臨床第2相試験開始のお知らせ

富士フイルム富山化学株式会社(本社:東京都中央区/社長:岡田 淳二、以下 富士フイルム富山化学)は、このたび、日本において、脳卒中後のリハビリテーション効果を促進する新薬候補化合物「T-817MA」(一般名:edonerpic maleate)の臨床第2相試験を開始しましたのでお知らせします。本試験では、脳卒中後の回復期リハビリテーション(*1)において、運動機能回復の促進効果などを確認していきます。


◆詳細はWebページをご覧ください。

http://fftc.fujifilm.co.jp/information/detail/190606.html?link=atp


脳卒中後の運動機能回復のメカニズムには、リハビリテーションなどの外部からの刺激に応答した脳の変化(脳の可塑性)が関与していることが知られています。このような脳の変化が起こる際には、神経伝達物質であるグルタミン酸の受容体のひとつであるAMPA受容体(*2)がシナプス(*3)の膜上で増加することが明らかにされており、このAMPA受容体のシナプスの膜上への移行(右図)が脳の可塑性のメカニズムのひとつであることが広く認められています。


富士フイルム富山化学は、横浜市立大学、産業技術総合研究所、医薬基盤・健康・栄養研究所との共同研究を通じて、富士フイルム富山化学が創製し認知症治療薬として開発を進めている「T-817MA」が、外部からの刺激に応じてAMPA受容体のシナプス移行を促進すること(脳の可塑性を向上させること)をマウス実験で確認しました。さらに、脳に損傷を与えたマウスやサルのモデルにおいて、「T-817MA」投与とリハビリテーションを併用することにより、運動機能の回復を促進することを明らかにしています(*4)。

今回の臨床第2相試験では、初めて脳卒中(くも膜下出血(*5)を除く)を患い回復期リハビリテーションを実施する片側上肢麻痺の患者さんを対象に、「T-817MA」の有効性および安全性を確認します。尚、有効性においては、運動機能などを評価する指標に加え、画像検査などの客観的指標を用いて、「T-817MA」のリハビリテーション促進効果を確認していきます。


脳卒中は、日本で年間30万人、世界では1,700万人が発症していると言われ、しばしば重篤な麻痺を引き起こし、患者さんの生活の質を大きく低下させます。脳卒中後の回復期における、運動機能回復を目的とした治療においては、地道なトレーニングによるリハビリテーションが主体となっていますが、その効果をより高める治療法が望まれています。


富士フイルム富山化学は、高付加価値な医薬品の開発・製造・販売を通じて、医療のさらなる発展に貢献していきます。


*1 脳卒中発症後、機能回復を目指して行われるリハビリテーション。通常、急性期の治療を受けて病状が安定し始める、脳卒中発症後から1~2か月後に開始される。

*2 脳内情報処理の中心的役割を担っている神経伝達物質であるグルタミン酸の受容体のひとつで、シナプス膜上にイオンを透過させるイオンチャネルを形成します。グルタミン酸がAMPA受容体に結合すると、細胞内にイオンが流入しシナプスが応答するため、シナプス膜上のAMPA受容体の数が増えるとシナプス応答が増強します。シナプス応答の増強は、記憶学習をはじめとした脳内情報処理の変化の中心的メカニズムであることが知られています。

*3 神経細胞同士をつなぎ神経細胞間の情報伝達の中心を担う構造体。神経細胞が活性化すると、その神経細胞のシナプス前末端から放出された神経伝達物質が別の神経細胞のシナプスにある受容体に結合することで情報が伝わります。

*4 参考文献Abe et al. Science. 2018;360(6384):50-7.

*5 脳の表面の血管にできたコブ(脳動脈瘤)が破れる病気。脳卒中には、「くも膜下出血」以外に、脳の血管が詰まる「脳梗塞」や脳内の細い血管が破れて出血する「脳出血」があります。「脳梗塞」と「脳出血」は脳の中の障害であるのに対し、「くも膜下出血」は脳の表面の出血により脳が圧迫される病気です。


富士フイルムニュースリリース一覧

  ⇒ http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/index.html?link=atp

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  ⇒ http://fujifilm.jp/?link=atp

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