消化器専門医がアドバイス。女子の季節疲労 『夏の脳腸バテスパイラル』とその予防法
2019.07.01 10:00
脳腸相関LABO.は、30~40代の働く女性167名を対象に「夏バテしやすくなったと感じるかどうか」という調査を実施いたしました。
そして、女子の季節疲労『夏の脳腸バテスパイラル』とその予防法について、消化器専門医 大竹 真一郎先生に伺ったアドバイスを紹介いたします。
調査グラフ
■30~40代女子の約2人に1人が「夏が若い時よりつらくなった」と訴え
GWの10連休のあとは「夏休み」と「シルバーウイーク」前後の脳腸バテに注意
GWの10連休で体調を崩した方も多いのではないでしょうか。長期休暇について専門家は、働き方改革で例年より長くなる可能性の高い夏休みとシルバーウイークの前後にも、心身の不調に気をつけるよう警鐘を鳴らしています。
脳腸相関LABO.が行った、30~40代の働く女性167名を対象に行った調査では、約半数の女性が年齢を重ねるにつれて夏バテしやすいと感じていることが分かりました。睡眠不足などで自律神経が乱れることによる体調不良やお腹の不調も夏バテのひとつ。そこで、消化器専門医の大竹 真一郎先生に、働く30代以上の女性に夏を乗り切るための秘訣をアドバイスいただきました。
■脳と腸の不調の相関が最近の研究で明らかに
大竹医師によると、「最近の研究で、ストレス耐性は腸内環境が決めているということが明らかになってきています。人間は『腸を動かそう』『呼吸をしよう』と意識しなくても、それを自動的に行っています。この自動的に働く神経を自律神経といい、『頑張ろうと積極的に動くときに働く交感神経』と『リラックスしているときに働く副交感神経』がシーソーのようにバランスをとっています。ストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れる、いわゆる脳の不調につながります。
胃や腸は、これら2つの神経のうちの副交感神経が優位になったときに働くので、リラックスしているときに消化が活発になります。逆に、ストレスがかかってしまうと、交感神経が優位になって腸の働きが悪くなり、便秘や下痢を繰り返したり、お腹が張ったりします。一度腸内環境が悪くなると、ストレスを感じやすくなり、そこへストレスを受けると、さらに腸内環境が悪くなり…と悪循環に陥ってしまいます。腸がストレスに非常に影響を受けやすい、繊細な臓器だと言われるのはこうした理由からです。
このように、腸と脳の不調は互いに相関しています。特に30代以降の女性は、仕事では責任のあるポジションを与えられ、プライベートでは自身も周囲も結婚や出産など、環境が変わることでストレスも増えるので、脳と腸のサイクルを整えていきましょう」と解説しています。
■消化器専門医に相談が多い「過敏性腸症候群」とは?
大竹医師は脳と腸とストレスとの関係を下記のように語っています。
「人間の臓器の中でも腸はもっともストレスの影響を受けやすい臓器と言われています。その代表的な症状として、過敏性腸症候群があげられます。
過敏性腸症候群というと、激しい下痢や腹痛を思い浮かべる方も多いのですが、実際は軽い下痢を繰り返す方もいて、男性よりも女性に多く見られます。彼女たちの多くは、市販薬などを使ってもなかなか改善せず、通勤の満員電車で起こる腹痛を気にして出社が遅れたり、会議を中座したりと、お腹が気になって家事や仕事に集中できないと訴えて来院される場合が多いのです。
そういう方には、必要であれば大腸の内視鏡検査などを行い、その結果も含めて丁寧に説明するようにしています。そして、彼女たちのストレスの正体に耳を傾けるようにしています。ストレスは、もともとの性格の影響で感じやすい人、感じにくい人がいます。人の性格はそう簡単に変えられませんが、食生活や生活習慣を見直すことで上手に付き合うことも可能です」
■女子は「夏の脳腸バテ」が深刻化しやすい
大竹医師によると30代以上の女性が起こしやすい夏バテのひとつに脳腸バテがあると下記のように解説しています。
「ヒトは体幹温度を37℃に保とうとする働きがあります。しかし女性は男性よりも筋肉量が少なく、熱産生が上手にできないことから、冷房で冷え過ぎてしまうことで夏バテをおこしやすくなるといわれています。
加えて30代を過ぎると室内外の温度に対応する体温調節機能が落ちてしまいます。また、熱帯夜などの寝苦しい夜が続くと良質な睡眠がとれずに疲労が蓄積します。さらに、腸の夏バテも深刻です。昨今、熱中症予防が重要視されているので、意識して水分を摂ることを心がけるのはいいことですが、冷たいものばかりではカラダ全体を冷やしてしまいます。そこへ下痢などを繰り返しているうちに体力がなくなり、朝起きられない、夜寝られない、集中力が上がらないという『脳腸バテスパイラル』に陥り、深刻化することもあります」
■3つの夏の脳腸バテ重要化予防法
(1) 睡眠をとる暑さなどで寝つきが悪い時は、眠れないことをストレスに感じず、横になって目をつぶってカラダを休める
(2) 汗をかきやすい体質に夏でも湯船につかるなど、軽く汗をかく習慣をつけて、体温調整をしやすい体質づくり
(3) 食物繊維を積極的に食物繊維を無理なく摂れるきのこや海藻を食事に加える
【監修】大竹 真一郎(おおたけ しんいちろう)先生
神戸大学医学部を卒業後、愛仁会高槻病院でスーパーローテート研修(多科研修)を行い、その後は消化器専門医として内視鏡検査を中心に研鑽に励む。
大腸内視鏡検査は通算1万例以上行い、2015年7月、おおたけ消化器内科クリニックを赤坂に開院。テレビ出演ほか、健康法やダイエット関連の著書も多数上梓している。
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