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2019年度 入社半年・2年目 若手社員意識調査結果

一般社団法人日本能率協会(JMA、会長:中村 正己)は、全国の入社半年・2年目を迎えた若手社員400人を対象に、職場や仕事内容に対する考え、現状への満足度を探ることを目的に意識調査を行いました。



【調査結果トピックス】

1. 若手社員の約半数が転職を検討・活動中で、転職サイトに登録済み。定年まで勤めるつもりの社員でも6割が転職サイトに登録。


2. 若手社員の約3割が「副業・兼業をしている」。定年まで勤めるつもりの社員の方が実施率約5割と高い。副業・兼業に興味がある・行っている理由は、「収入を上げるため」が多数。


3. 職場に「目標にしたい人がいるか」が、若手社員定着のカギ。

○「能力・スキルアップできている」と感じている社員の方が、仕事への満足度が高く、定年まで勤めるつもりの割合が高い。

○「会社のビジョン・戦略と自分の仕事のつながり」を感じている社員の方が、会社組織への満足度が高く、定年まで勤めるつもりの割合が高い。

○職場に「目標にしたい人がいる」社員の方が、「能力・スキルアップできている」「会社のビジョン・戦略と自分の仕事がつながっている」と感じる。



■調査概要

調査名称:『入社半年・2年目 若手社員意識調査』

調査期間:2019年8月23日~9月5日

調査対象:全国の20歳~29歳までの勤続年数が3年未満の就業者(中途採用・パート・アルバイトを除く)

調査方法:インターネット調査

回答数 :400人

属性  :〈勤続年数〉   1年目:200人、2年目:200人

     〈性別〉     男性:200人、 女性:200人

     〈勤務先従業員数〉5,000人以上:60人、1,000~4,999人:123人、

              300~999人:68人、100~299人:60人、

              99人以下:89人

注)本調査の百分率表示は小数点第2 位で四捨五入の丸め計算を行っているため、 合計しても100%とならない場合がございます。


1. 若手社員の約半数が転職を検討・活動中で、転職サイトに登録済み。定年まで勤めるつもりの社員でも6割が転職サイトに登録。


●現在および将来の転職を検討または活動している人は48.8%

「転職に対する考え方」を聞いたところ、「転職することを検討しているが、特に行動していない」が33.5%と最も多く、「転職することを検討し、近いうちに転職活動を始める予定である」(12.3%)、「現在、転職活動をしている」(3.0%)をあわせると、若手社員の約半数(48.8%)が転職を検討・活動中という結果が見られました。「転職はせず、今の会社に定年まで勤めるつもりである」は21.8%、「今のところ、転職することは考えていない」は29.5%でした。(図表1)


図表1 転職に対する考え方について(n=400)

図表1:転職に対する考え方について(n=400)


●転職サイトに登録している人は46.8%「転職はせず、今の会社に定年まで勤めるつもり」の人の60.9%が転職サイトに登録

転職サイトに登録しているかどうかを尋ねたところ、「登録している」が46.8%にのぼりました。(図表2)

転職に対する意向別に見ると、「転職はせず、今の会社に定年まで勤めるつもりである」と回答した方の60.9%が「登録している」と答えています。(図表3)

現状、転職をするつもりは無いにしても、本当に現在の会社で良いのかどうか、他社とも比較しながら情報を取ろうとしている姿勢がうかがえます。


図表2 転職サイトに登録していますか?(n=400)

図表2:転職サイトに登録していますか?(n=400)


図表3 「転職に対する考え方」と「転職サイトへの登録」の関係(n=400)

図表3:「転職に対する考え方」と「転職サイトへの登録」の関係(n=400)


2. 若手社員の約3割が「副業・兼業をしている」。定年まで勤めるつもりの社員の方が実施率約5割と高い。副業・兼業に興味がある・行っている理由は、「収入を上げるため」が多数。


●若手社員の28.0%が「副業・兼業をしている」。定年まで勤めるつもりの社員では50.6%が実施。

「副業・兼業についてどのように思うか」を尋ねたところ、全体では、28.0%が「すでに副業・兼業をしている」と回答しました。「興味はあるが、現在副業や兼業はしていない」も54.3%にのぼりました。

転職に対する意向と、副業・兼業への考えの関係を見たところ、「転職はせず、今の会社に定年まで勤めるつもり」である若手社員の50.6%が「副業・兼業をしている」と答え、その他の転職意向をもったグループと比べ、高い比率となっています。(図表4)


図表4 副業・兼業についてお聞かせください。(n=400)

図表4:副業・兼業についてお聞かせください。(n=400)


●副業・兼業に興味がある・行ってる理由は「収入を上げるため」が多数。

「副業・兼業に興味があったり、すでに行っていたりする理由」を尋ねたところ、「収入を上げるため」が58.7%と最上位に挙げられました。次いで、「複数の収入源を持っておきたいため」が38.0%となりました。(図表5)

人生100年時代とも言われる中、転職はせず今の会社に定年まで勤めるつもりの若手社員であっても、本業に加えて副業・兼業をし、将来に備えようとしている姿勢がうかがえます。


図表5 副業・兼業に興味があったり、すでに行っていたりする理由(n=329/3つまで選択)

図表5:副業・兼業に興味があったり、すでに行っていたりする理由(n=329/3つまで選択)



3. 職場に「目標にしたい人がいるか」が、若手社員定着のカギ。


●「能力・スキルアップできている」と感じている社員の方が、仕事への満足度が高く、「定年まで勤めるつもり」の割合が高い。

入社当時と比べて、仕事を行う上での「能力・スキルがどう変わったか」を尋ねたところ、「上がった」「少し上がった」の合計が65.0%、「下がった」「少し下がった」の合計が11.3%となりました。(図表6)

「上がった」(「少し」も含む。以下同様)と「下がった」に分けて、「仕事への満足度」との関係を見たところ、「上がった」方は「満足」の合計が73.8%であるのに対し、「下がった」方は「不満」の合計が44.4%となりました。(図表7)

また、同様に「転職に対する考え方」との関係を見ると、「上がった」方が転職するつもりはないとする割合が高く、「下がった」方では転職を検討している割合が高いという結果が見られました。(図表8)


図表6 仕事を行う上での能力・スキルの変化(n=400)

図表6:仕事を行う上での能力・スキルの変化(n=400)


図表7 「能力・スキルの変化」と「仕事への満足度」の関係(n=305)

図表7:「能力・スキルの変化」と「仕事への満足度」の関係(n=305)


図表8 「能力・スキルの変化」と「転職に対する考え方」の関係(n=305)

図表8:「能力・スキルの変化」と「転職に対する考え方」の関係(n=305)


●「会社のビジョン・戦略と自分の仕事のつながり」を感じている社員の方が、会社への満足度が高く、「定年まで勤めるつもり」の割合が高い。

「会社のビジョンや戦略と自分の仕事内容は、つながっていると感じるか」について尋ねたところ、「感じる」「少し感じる」の合計が64.8%、「感じない」「あまり感じない」の合計が12.7%となりました。(図表9)

「感じる」(「少し」も含む。以下同様)と「感じない」に分けて、「会社組織への満足度」との関係を見たところ、「感じる」と答えた方は「満足」の合計が78.4%であるのに対し、「感じない」と答えた方は「不満」の合計が65.0%となりました。(図表10)

また、同様に「転職に対する考え方」との関係を見ると、「感じる」方が転職するつもりはないとする割合が高く、「感じない」方では転職を検討している割合が高いという結果が見られました。(図表11)


図表9 会社のビジョンや戦略と自分の仕事内容は、つながっていると感じるか(n=315)

図表9:会社のビジョンや戦略と自分の仕事内容は、つながっていると感じるか(n=315)


図表10 「会社のビジョン・戦略と自分の仕事のつながり」と「会社組織への満足度」の関係(n=244)

図表10:「会社のビジョン・戦略と自分の仕事のつながり」と「会社組織への満足度」の関係(n=244)


図表11 「会社のビジョン・戦略と自分の仕事のつながり」と「転職に対する考え方」の関係(n=244)

図表11:「会社のビジョン・戦略と自分の仕事のつながり」と「転職に対する考え方」の関係(n=244)


●職場に「目標にしたい人がいる」社員の方が、「能力・スキルアップができている」「会社のビジョン・戦略と自分の仕事がつながっている」と感じる。

現在の職場内に、「目指したい上司、目標としたい人がいるか」を尋ねたところ、「いる」が63.5%、「いない」が36.5%となりました。(図表12)

「目標にしたい人の有無」と「能力・スキルの変化」「会社のビジョン・戦略と自分の仕事のつながり」との関係を見ると、目標にしたい人が「いる」方が、能力・スキルが「上がった」、つながりを「感じる」とする比率が高いという結果となりました。(図表13、図表14)

職場に「目標としたい人がいるか」が、「能力・スキルアップ」や「会社のビジョン・戦略とのつながり感」、ひいては、仕事や会社組織への満足、会社への定着に結びついていることが確認できました。


図表12 現在の職場内に、目指したい上司、目標としたい人がいるか(n=400)

図表12:現在の職場内に、目指したい上司、目標としたい人がいるか(n=400)


図表13 「目標にしたい人の有無」と「能力・スキルの変化」の関係(n=400)

図表13:「目標にしたい人の有無」と「能力・スキルの変化」の関係(n=400)


図表14 「目標にしたい人の有無」と「会社のビジョン・戦略と自分の仕事のつながり」の関係(n=315)

図表14:「目標にしたい人の有無」と「会社のビジョン・戦略と自分の仕事のつながり」の関係(n=315)



調査結果を受けてのコメント

一般社団法人日本能率協会 KAIKA研究所 所長 近田 高志


○今回の調査は、入社半年・二年目の若手社員を対象として、能力・スキルアップや、仕事や会社組織への満足度、あるいは将来の転職意向など、現在の心境や入社時点からの変化について尋ねました。


○若手社員の約半数が転職サイトに登録し、転職を検討ないし活動中にあるという結果は、今や、当然のことと受け止めるべきでしょう。


○新しい技術やビジネスモデルが出現し、世の中の変化のスピードが一層加速するとともに、人生100年時代とも言われる中にあって、会社に自分のキャリアを委ねるという考え方は、若手社員からすると、むしろリスクがあると言えます。


○もはや、若手社員の辞書には「下積み」や「滅私奉公」といった文字は存在しない。上司や先輩社員には、そうした前提に立って、若手社員と向き合うことが求められているのではないでしょうか。


○また、ご覧いただいた通り、今回の調査では、職場に目標にしたい人がいる若手社員の方が、能力・スキルアップできており、会社のビジョンや戦略と自分の仕事がつながっていると感じ、そして、その結果、仕事や会社組織への満足度に結び付き、定着に影響しているということを、あらためて、確認することができました。


○昨今、上司と部下のコミュニケーションに関連して、年に2~3回程度の形式的な目標管理面談を見直して、より頻繁に1対1で対話を重ねる「1on1(ワン・オン・ワン)ミーティング」が注目されていますが、上司・先輩社員には、対話を通じて、若手社員の成長や動機付けを図っていくことが一層重要となっています。


○また、管理職の方々にとっても、業績達成とともに人材育成が重要な役割であるということを再確認して、職場をあげた若手社員の育成体制づくりを進めることが不可欠となります。

若手社員の育成体制づくり


【次世代組織のありかた「KAIKA(開花・開化)」】

「KAIKA」とは、2011年より日本能率協会(JMA)が提唱する次世代型組織の考え方です。

先が読みにくく、価値などの多様性が広がるなか、組織が継続して存続するためには、経済的成長のみならず、組織が社会への感度を高め、社会との関わりを深めることによって、社員一人一人が働いていることの意義を感じ、主体的に考え、成長する必要がある、との考えに基づいています。

「個人の成長」「組織の活性化」「組織の社会性・つながり」を同時に満たしていくことで、個人・組織・社会が共に「KAIKA(開花・開化)」し、新たな価値を生み出す経営が、次世代型組織であると考えます。



【KAIKA Awards(カイカ アワード)】

日本能率協会(JMA)では、2014年よりKAIKA経営を実践し、社会価値を生み出す持続的な経営、組織・人づくりを行っている取り組みを称え、広く産業界に紹介するための表彰制度として「KAIKA Awards(カイカアワード)」を設けています。社会課題の解決につながる、組織としての力強い取り組みや画期的な取り組みを、表彰を通じて紹介することにより、活力ある経営・組織が増えていくことを目指しています。

KAIKAモデル図



■KAIKA Awards 2019 表彰式(受賞組織発表)■

日程   :2020年1月29日(水)

会場   :東京国際フォーラム

主催   :一般社団法人日本能率協会

審査委員長:一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン

      代表理事 有馬 利男氏

(詳細: https://kaikaproject.net/awards/ )

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