工学院大学の研究グループが伝統的建造物の新たな消防技術を産学...

工学院大学の研究グループが 伝統的建造物の新たな消防技術を産学共同で開発 ~「高粘度液体」により延焼防止・燃焼抑制効果を発揮~

工学院大学(学長:佐藤光史、所在地:東京都新宿区/八王子市)の後藤 治教授(総合研究所)を中心とする建築学部の研究グループと、能美防災株式会社(代表取締役社長:伊藤 龍典、本社:東京都千代田区)は、茅葺き屋根など伝統的建造物における発災時の延焼防止・燃焼抑制効果を持つ「高粘度液体(図1)」を用いた消防技術を産学共同で開発しました。


この技術は昨今問題視されている文化財等の火災の拡大や延焼を防止することに効果を持つものです。また、この技術を利用した装置は、横浜市が整備中の金沢八景権現山公園(所在地:神奈川県横浜市金沢区)にある旧円通寺客殿に寄贈されることが決定しました。

なお、本開発に関する研究の一部は、消防庁「消防防災科学技術研究推進制度」による研究成果であり、実験については東京理科大学の協力(松山 賢教授及び火災安全科学研究拠点の施設の利用)を得ています。



【本件のポイント】

●工学院大学の後藤 治教授(総合研究所)・田村 雅紀教授(建築学部建築学科)・村上 正浩教授(建築学部まちづくり学科)らの研究グループが、能美防災株式会社と産学共同で新たな消防技術を開発。


●今回開発した技術により、茅葺き屋根などの伝統的建造物に対して付着性の高い「高粘度液体」を用いることで延焼防止・燃焼抑制効果を発揮(図2)。これまでの技術と異なり、「高粘度液体」は水に比べて流れ落ちにくいために散布量が少なく済み、水源の節約が可能。


●この技術を利用した可搬型装置のプロトタイプを、横浜市が整備中の金沢八景権現山公園(所在地:神奈川県横浜市金沢区)にある旧円通寺客殿に寄贈することが決定している。


図1 高粘度液体


図2 茅葺き屋根の燃焼抑制実験


【本件の概要】

工学院大学の後藤 治教授(総合研究所)・田村 雅紀教授(建築学部建築学科)・村上 正浩教授(建築学部まちづくり学科)らの研究グループが、能美防災株式会社と産学共同で、茅葺き屋根など伝統的建造物における発災時の延焼防止・燃焼抑制効果を持つ「高粘度液体(図1)」を用いた新たな消防技術を開発しました。今回開発した技術は、昨今問題視されている文化財等の火災の拡大や延焼を防止することに効果を持つもので、茅葺き屋根などの伝統的建造物に対して付着性の高い「高粘度液体」を用いることで延焼防止・燃焼抑制効果を発揮します。


なお、本開発に関する研究の一部は、消防庁「消防防災科学技術研究推進制度」による研究成果であり、実験については東京理科大学の協力(松山賢教授及び火災安全科学研究拠点の施設の利用)を得ています。


「高粘度液体」とは水に無機物を分散させた粘度の高い液体で、燃焼している表面部分はもちろん、付着時に空気の進入を遮断するため内部への火の燃え広がりを抑制する効果が期待できます。茅葺き屋根の燃焼面に水と高粘度液体を一定時間散布した場合の燃焼状況について実験を行った結果を(図2)に示しています。


この液体は水での洗浄も容易で建造物への跡残りもほとんど見られず、水と無機物から成るため環境への負荷もありません。また、茅葺き屋根の延焼防止・燃焼抑制には大量の水が必要ですが、「高粘度液体」は水に比べて流れ落ちにくいため散布量が少なく済み、水源の節約が可能となります。


この技術を利用した可搬型装置のプロトタイプを、この度、横浜市が整備中の金沢八景権現山公園(所在地:神奈川県横浜市金沢区)にある旧円通寺客殿に寄贈することが決定しています。この装置は管理者・自主防災組織が使用することを想定しており、取り扱いやすいよう車輪のついた動かしやすい装置となっています。

カテゴリ:
技術・開発
タグ:
教育 建設 社会(国内)
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