バルカン音楽アイドル「紗音都」お披露目ライブレポート
AKB48派生ユニット「DiVA」出身の二見夕貴がプロデュースする3人組アイドルユニット・紗音都が、1月22日に東京・渋谷のSHIBUYA DESEOでデビューイベント「紗音都お披露目ライブ『無銭だしゃねしゃね』」を開催した。
紗音都はリーダー・高橋りな、宮凪華巳、成田彩からなるユニット。折り重なるという意味を持つ「紗」に、ファンが自然と集い「音」を楽しめる「都」になりたいと願いを込めてそれぞれの文字をかけ合わせたのが名前の由来で、バルカン地方の青い海や空をイメージした楽曲の数々は、スカ、レゲエ、ヒップホップ、カントリーなどの民族音楽を融合し、エキゾチックなテイストに仕上がっている。
■お披露目のステージではリーダー・高橋が喜びを明かす
平日にも関わらず、彼女たちのお披露目をひと目見ようと多くの観客たちが集まった当日。ステージが暗転しオープニングSEが流れると、ポルカ調のリズムに併せて客席からはたくさんの手拍子が鳴り響いていた。
観客が盛り上げる中、青いスポットを浴びたステージには成田、宮凪、高橋が一人ずつ順番に登場。1曲目の『Heave-ho!(ヒーブホー)』では、ギターサウンドと軽快なドラムの音色が目立つコミカルなリズムに併せて、メンバーたちがフォーメーションをめまぐるしく変えながら舞い、撮影可能であった客席では、一瞬を逃すまいと意気込む観客たちが彼女たちの初ステージを熱心に記録していた。
その後はMCとなり、ユニットについて「地中海にあるバルカン半島の民族音楽をベースとした楽曲を歌っています。他のライブでは味わえない音楽とパフォーマンスに注目してもらえるとうれしいです」と話したのは高橋。
自己紹介となり「東京都出身。最年少。スカイブルーのさやちること成田彩です」と話し、「キャッチコピーがあり“彩り世界にようこそ!”と言ったら、みなさんも一緒にやってください!」と成田が促すと、客席も「ようこそ!」と合唱。宮凪も「岐阜県出身の宮凪華巳、メンバーカラーはオレンジです。好きなモノはポケモンのイーブイです」と続けた。
群馬県出身でメンバーカラーはピンクと伝えた高橋は「今日は天がすべてを赦す“天赦日”と一粒の籾(もみ)が稲穂のように万倍にも増える“一粒万倍日”が重なった年に二度しかない縁起のよい日」と解説。「そんな日にデビューイベントできてうれしいです」と喜びを明かした。
グループは再びパフォーマンスへと戻り、伸びやかな歌声を持ち味とする宮凪のヴォーカルと、ステージを華麗に舞い踊る高橋と成田のダンスが映える異国情緒溢れるリズムのバラード『Volim te(ボリミテ)』を披露。客席へ向けて「ありがとうございました」と感謝を伝え、いったんステージを跡にした。
■プロデューサー・二見夕貴らがステージを盛り上げる
紗音都に続いて、会場ではプロデューサーを務める二見夕貴と元「DiVA」の山上綾加によるトークショーを展開。2014年11月の同ユニット解散後、久びさの再会となったツーショットに客席からは喜びの声が上がっていた。
次に会場を盛り上げたのは、祭り囃子をテーマにした楽曲が目立つ6人組アイドルユニット・JAPANARISM。パフォーマンスでは、盆踊りのような振り付けに併せて客席が右へ左へと大きく揺れ動き、メンバーたちが「ソレソレ!」と煽るたびに観客たちは激しくレスポンスを返しながら、ステージに食らいついていた。
そして、紗音都のお披露目を祝おうと集まったもう一組のアイドルユニット・TJPも客席を鼓舞。MCでは、メンバーたちが「デビューおめでとう」と観客たちと一緒に記念するべき日に向けたメッセージを伝え、エレクトロチューンを中心に記念すべき日のステージをさらに盛り上げていた。
■アッパーチューンからバラードまで様々な世界観で魅了
この日のラストを飾ったのは、二度目の登場となった紗音都。時間も深まりイベント開始当初よりもさらに多くの観客が詰めかけていた中、オープニングSEと共にスポットの灯るステージへ登場したメンバーたちを、客席は大きな拍手で迎え入れた。
1曲目のアッパーチューン『God Soul』では、高橋による疾走感溢れるラップが冴え渡り、拳を振り上げてレスポンスを求めるメンバーにつられて客席の興奮が早くも上昇。自己紹介のMCを挟んで披露したバラードの『Volim te(ボリミテ)』では一変、宮凪の伸びやかな歌声が場内へ響き渡り、エキゾチックさがただようユニットならではの世界観を味わえる一曲に、客席はじっくりと耳を傾けていた。
続く『Heave-ho!』では、軽快なリズムに併せてステージを縦横無尽に動き回るメンバーにつられて客席も高揚。パフォーマンス後、宮凪の「次で最後の曲になってしまいました」というMCを受けて惜しむ声も聞かれたのち、最後の曲となった『やっパッパのパラダイス』では、ポルカやスカのリズムが繰り返されるユニットの持ち味を表した一曲に観客たちも手拍子で応え、各メンバーカラーを示すサイリウムの光が揺れる中、この日すべてのステージが終了した。
■新鮮でありながらクセのある振り付け
開演前、緊張感をにじませていた紗音都のメンバーであったが、終演後のインタビューで高橋は「本番ではみなさんが盛り上がってくれて、他のユニットのファンの方々にも応援していただいてうれしかったです」と吐露。
最後に披露した『やっパッパのパラダイス』が「一番盛り上がった曲」と感想を述べた成田は「レッスンではやったことのなかったアドリブを入れてみたり、3人で助け合いながらステージへ立てました」と手応えを示し、宮凪は「課題もたくさん見えたので、磨くべきところをもっと鍛えていきたい」と今後への思いを語った。
また、昨夏からユニットの振り付けを手がけ、メンバーの成長を見守ってきたプロデューサーの二見は「本番前、みんな緊張していたので“自分たちも楽しみお客さんにも楽しんでもらう”のが一番と伝えました」と明かしたが、実際のパフォーマンスをみて「失敗してしまった場面でも笑顔のまま続けられていたり、レッスンとは異なる成果がみえたので合格点」とユニットを評価。
さらに、グループについて「新鮮でありながらクセのあるニュアンスを感じられるような楽曲とパフォーマンス」と魅力を紹介し、メンバー個々についても「華巳は夏に初めて会った瞬間から歌の上手さを感じていましたが、さらに技術を上げているのでこの先が楽しみ。彩はお客さんを惹きつけられる彼女ならではの力を持っているのが強みで、りなはどこか“自分に自信がない”表情もみえますが、ほっとけなさも魅力なのでこれからが楽しみ」と語り、ユニットの成長へ願いを込めた。
取材・文=カネコシュウヘイ 写真=カネコシュウヘイ、パイン・マツ
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