働き方改革を考える東京都主催イベント 『ライフ・ワーク・バランスEXPO東京2020』を開催
『個』を生かす『組織』をつくる~ 東京ライフ・ワーク・バランス認定企業の大賞決定等
東京都では、2月6日(木)に東京国際フォーラムにて「ライフ・ワーク・バランスEXPO東京2020」を開催しました。前身の「ライフ・ワーク・バランスフェスタ東京」から数えて12回目を迎えた本年は「『個』を生かす『組織』をつくる、これからの未来の働き方」と題し、場内の各ステージ・エリアにてさまざまな情報発信や交流会などを行いました。
メインステージでは「令和元年度東京ライフ・ワーク・バランス認定企業認定状授与式」を執り行い、認定企業7社の中から最も優れた取組をした企業を「大賞」、優良で特色ある取組をした企業を「知事特別賞」として発表・表彰しました。
認定状授与式
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展示・交流スペース
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その他メインステージでは、カゴメ株式会社取締役会長 寺田 直行氏による基調講演や、「多様な人材を巻き込む」「成長を引き出す」「柔軟な働き方を創造する」というテーマを掲げ、著名人・有識者を招いてテーマごとに3つのパネルディスカッションを実施しました。
またサブステージでは「個を生かすミニセッション」として、テレワーク導入時のポイント、育児と介護の「ダブルケア」時代のキャリアデザイン、男性の育休取得の秘訣など各種ミニセミナーが開かれた他、「TOKYO働き方改革宣言企業」を中心とした参加者同士がディスカッションを行う参加型の交流会を開催し、いろいろな立場から、働き方改革やライフ・ワーク・バランス推進のための活発な意見交換が行われました。
パネルディスカッション
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ミニセミナー
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交流会
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展示エリアでは、東京都関係団体・企業や、令和元年度ライフ・ワーク・バランス認定企業が、ライフ・ワーク・バランスや働き方改革に役立つ事例を各出展ブースで紹介しました。
働き方改革エリア
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また、「働き方改革エリア」では、「Creative Work Style」をスローガンに、サテライトオフィスや社員の労務管理サービスといったテレワークの実践に役立つツールや、家庭と仕事の両立に役立つサービスの紹介など、目で見て体験できる展示を実施、創造的な働き方を提案しました。
企業におけるライフ・ワーク・バランスの推進が加速する中、今後重要視される「個」を大切にする働き方を実現するためのヒントやアイデアがあふれる会場となり、多くの来場者が熱心に情報収集を行う姿や、意見交換を行う様子が各所で見られました。
●東京ライフ・ワーク・バランス認定企業認定状授与式
令和元年度認定企業7社のうち「大賞」と「知事特別賞」の2社へ、東京都産業労働局長より認定状が授与されました。「大賞」と「知事特別賞」を受賞した企業の代表者は、ライフ・ワーク・バランスに取り組んだきっかけや、取組内容・成果などを紹介しました。
令和元年度 東京ライフ・ワーク・バランス認定企業(7社)
・大賞 :株式会社グリフィン
・知事特別賞:株式会社DACホールディングス
・株式会社木元省美堂
・ジョブサポートパワー株式会社
・株式会社パセリ
・株式会社ブレイクスルー・ネットワーク
・特定非営利活動法人放課後NPOアフタースクール
認定企業の取組等の詳細は、「TOKYOはたらくネット 令和元年度ライフ・ワーク・バランス認定企業紹介ページ」( https://www.hataraku.metro.tokyo.jp/hatarakikata/lwb/ikiiki/nintei20/index.html )を御覧ください。
※「東京ライフ・ワーク・バランス認定企業」とは?
東京都が認定した、従業員が生活と仕事を両立しながら、いきいきと働き続けられる現場を実現するために、優れた取組を実施している中小企業等のことです。
●メインステージの基調講演・パネルディスカッション概要
*司会進行・メインMC
魚住 りえ氏(フリーアナウンサー/スピーチ・ボイスデザイナー)
●基調講演「『働き方』の改革を超える『生き方』の改革」寺田 直行氏
(カゴメ株式会社 取締役会長)
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<内容抜粋>
2014年の社長就任時から2019年12月退任まで、働き方の改革に取り組んだ。カゴメの特徴は、働き方改革を経営戦略としてとらえトップ自ら推進したことと、収益構造改革との両輪で回したことだ。
社長就任当時は非常に業績が悪く、緊急的な対応が必要だった。主な取組の1つめは、無駄、無理、むらを減らすこと。即実施したのは、午後8時以降の残業禁止。社員が仕事の期限を決めるようになり、残業代も削減できた。2つめは社長直轄の組織としてダイバーシティ推進室を立ち上げたこと。女性の活躍は経営革新、風土の革新をもたらす。さらに、これからは外国人の活躍も必要。多様性がなければ、イノベーションは起こらない。他にもスケジューラーの活用、サマータイム、在宅勤務など、あらゆることにトライし、アンケート結果でよかったものは本格導入を進めている。
繰り返し発信したのは、働き方の改革は生き方改革であるということ。仕事だけが人生ではない。仕事をしている時は仕事に集中し、仕事を離れたら自分の楽しむことをやる。社会と接することで人間力を鍛えてほしい。ダイバーシティやAI化が進むほど、個人の能力が問われる。令和の時代は縮小淘汰の時代。会社をどう変えて、働き方をどう支えていくか、大きな転換点に差し掛かっている。社会で通じる、会社を変えるような強い個人をどう作っていくかが、企業の勝ち残りのためには必要だ。
●パネルディスカッション「ライフ・ワーク・バランスで多様な『個』と共に働ける組織を目指す」
<内容抜粋>
青野 慶久氏(サイボウズ株式会社 代表取締役社長)
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サイボウズは離職率28%という時期を経て定着率を高めるために、今では100人100通りの働き方を認めている。1人1人のわがままに応えていくと、従業員に感謝の気持ちが生まれ、モチベーションが上がり、危機があるときにも乗り越えられるエンジンになってくれる。実際、離職率は下がり、業績は上がっている。
自分自身も典型的なワーカホリックだったが、子育ての大変さを目の当たりにして育児に関わるようになった。子どもがいると、学校や役所に行くなど、地域に出るようになる。それで初めて社会人になったと感じた。商売人は社会の困りごとを解決してお金をもらうので、男性もどんどん社会に出ていったほうがいい。自分自身も、自分の会社がどう利益を出すかというレベルから、社会の未来を見据えて意思決定するようになり、経営者としてのステージが上がった。
小室 淑恵氏(株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長)
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支える側の労働力より支えられる側が多くなっている時代に、日本が再び成長するためには、これまで労働参画できていなかった潜在労働力をきちんと支える側の分母に入れることと、共働きしながらも、2人以上の子どもを産み育てられるようにすることが必要だ。つまり、現在と未来の経済の支え手を両方キープするということ。男性が休日に6時間以上家事育児に参画している家庭では、8割の家庭で第二子以降が生まれている。男性は育児にものすごく必要な存在であり、実は男性の働き方改革こそが大事。これには社会全体で働き方を変える必要がある。
企業にとっても、働き方を変えて多様性を確保し、イノベーションを起こせないと、生き残れない時代になってくる。働き方改革に取り組んだ結果、採用に困らなくなったり、売上が上がったりしている事例は多数ある。誰かの一言で変わった会社はたくさんある。ぜひ声を上げてほしい。
*モデレーター
福満 景子氏(フリーアナウンサー)
●パネルディスカッション「『個』のモチベーション向上で、生産性の高い組織をつくる」
<内容抜粋>
島田 慎二氏(株式会社千葉ジェッツふなばし 代表取締役会長)
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「好きな人」が集まっている業界は、やるべきことより好きなことをやってしまいがちで、生産性が低い。千葉ジェッツの経営で最初にやったことは、無駄をなくすこと。短い時間で生産性が上がったら給料がよくなる給与制度にしたり、賞与に反映されるようにしたりと、成果をちゃんと還元したら、社員の意識が変わった。その結果、顧客満足度も上がり、売上も上がった。
また1on1のミーティングを行った。これは雑談ではなく、目的達成のためのコミュニケーション。人は永続的には頑張れないので、「すべきこと」と「どう評価されるか」を明確に示すことが大事。何かを実現できた自己肯定感が蓄積されて自信となり、その自信がモチベーションになり、成果を生み出しやすい個を作りだしていく。
組織は個人の集合体。高いレベルの個がなければ良い組織は作れない。個人が生産性を上げて結果が出てくるような組織を作ることができれば、経営がうまくいったも同然。本当に良い組織を作ろうと思ったら、個にフィーチャーするところから始めるのがいちばん良い。
中竹 竜二氏(公益財団法人日本ラグビーフットボール協会 コーチングディレクター)
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強いチームの特徴は、他より生産性の高い練習をやるということ。生産性を上げるために必要なことは、やりがいを持たせることと物事を進捗させることの2つに絞られる。人間のやりがいを生むのは、没頭感・貢献感・成長感の3つで、これはスポーツでもビジネスでも同じだと思う。没頭感は、時間を忘れて夢中になってしまうものを会社の中で見つけられるかどうか。会社の中で好き嫌いを本気で語る場を作らないと、没頭感は見つけられない。貢献感はリーダーの「あなたが頑張ってくれているからうれしい」という一言が相当なインパクトを与える。成長感は、日々進捗していることを確認できるかどうか。これはモチベーションを保つために非常に重要で、上司に求められるのは、何が進捗したか、何が解決したかなど、変化を聞くことだ。
良い組織をつくるには大義が大事。売上何億、シェアナンバーワンという数字目標を超えたときに何が起こるか、というビッグピクチャーがないと人は動かない。その次のステップとして、ビッグピクチャーに向かうための現状把握、達成するための策、具体的なアクションと落とし込んでいくことが重要だ。
*モデレーター
網野 麻理氏(株式会社プライムコム代表取締役/一般社団法人働きやすさ推進協会理事)
●パネルディスカッション「柔軟な『働き方』を創造し、『個』の強みを生かす組織をつくる」
<内容抜粋>
井手 直行氏(株式会社ヤッホーブルーイング 代表取締役社長)
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「知的な変わり者」になるということを大事にしている。日本の社会は、平均点より下の人に「平均点を上げろ」と言うが、「苦手なことはほっといていいから、得意なことを変人と言われるくらい伸ばそう」と言っているうちに、これが社風になった。得意なこと・好きなこと・強みを伸ばすために「仕事の20%は好きなプロジェクトに手を挙げてやっていい」という制度がある。会社で大事な課題を誰かが問題提起し、そこに集まるメンバー同士であれば、もともと興味があり、それが得意だと思って手を挙げるので、楽しい。どんどん強みを伸ばしていき、そのうち強みのすごいところを見つけたら、そこの達人になる。「そこの世界ではスティーブ・ジョブスかビル・ゲイツになれ」と言っている。
そうは言っても会社の目指す方向があり、その方向でいろいろな強みが発揮できることが大事だと思っている。同じ方向を向いている中でどんどん個性を出していくという点には気をつけている。
島田 由香氏(ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役 人事総務本部長)
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ハッピーな人は生産性が3割高く、営業成績は37%高く、創造性は3倍。これはカリフォルニア大学の研究により学術的に分かっている。できないことをやらせるよりも、得意なこと、好きなことにフォーカスして、そこでどんどん結果を出すほうがいい。追求してほしいのは、働きやすさではなく、働きがい。自分のスキルとやることの難易度のバランスがいいと、ランナーズハイのような状態に入る。その状態を続けていけると、集中し、没入し、結果が出る。結果が出て成長を感じられると、働きがいを感じ、意義や意味を感じる。意義や意味を感じられている状態は幸福度ともすごく関係する。ハッピー、ハピネス、ウェルビーイングがこれからの経営には欠かせないキーワード。この感覚が理解できるリーダーかどうかで組織は大きく変わる。
強みを出しているときはポジティブな感情を感じており、その状態が続くと、より健康になる、パフォーマンスが上がる、レジリエンスが高くなる、社会的行動が増えるというデータが出ている。すごい相乗効果を生むので、ぜひ強みを伸ばしていってほしい。
*モデレーター
山岡 仁美氏(人財育成コンサルタント/株式会社グロウス・カンパニー+ 代表取締役)
■イベント概要
主催 : 東京都
共催 : 子育て応援とうきょう会議
後援 : 東京商工会議所、一般社団法人東京経営者協会、
東京都中小企業団体中央会、東京都商工会連合会、
東京都商工会議所連合会、一般社団法人東京工業団体連合会、
東京中小企業家同友会、日本労働組合総連合会東京都連合会、
東京地方労働組合評議会、公益財団法人日本生産性本部、
独立行政法人労働政策研究・研修機構、
公益財団法人21世紀職業財団、内閣府男女共同参画局、
厚生労働省、東京労働局、九都県市、
公益財団法人東京しごと財団、
公益財団法人東京都中小企業振興公社、
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
日時 : 2020年2月6日(木)10:00~18:00
会場 : 東京国際フォーラム ホールE(1)
入場料 : 無料
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