KPMGコンサルティング、 経理財務部門の未来に関するグローバルサーベイ(日本語版)を刊行
2020.03.11 11:00
KPMGコンサルティング株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮原 正弘、以下、KPMGコンサルティング)は、KPMGグローバルが経理財務部門の上級職員および経営幹部を対象に実施した意識調査「Future Ready Finance Survey 2019:経理財務部門における未来への準備度調査」の日本語版を刊行しました。
テクノロジーの急速な進化、新たな規制改正、ビジネスモデルの変化、データ活用のニーズの高まりなどにより、経理財務部門に求められる役割やスキルが変わってきています。こうした状況は、経理財務部門が企業内でリーダーシップを発揮するかつてない機会であり、適切な業務モデル、ツール、人材を整えれば、決して不可能なことではありません。KPMGが提唱する経理部門の未来(Future of Finance)イニシアティブは、こうした状況に適応して企業内でリーダーシップをとるために、経理財務部門がどのように進化を遂げるべきかを明らかにすることを目的として開発されました。
本調査から得られたデータからは、急速に変化する現在の事業環境に経理財務部門がどう対処しているかだけでなく、新しいテクノロジー、データ&アナリティクスなどの導入状況、AIが人材に及ぼす影響などについてあきらかになりました。
■「Future Ready Finance Survey 2019」の主な調査結果
<経理財務部門の優先課題>
経理財務部門が現在最も重点を置いている取り組みについては、「D&Aへの投資による全社的なインサイトの提供」と「IA(Intelligent Automation)への投資により財務の効率性を高める」が共に36%と最も高く、次いで「計画立案と予測の正確性の改善」(34%)、「IAへの投資によるコスト削減・効率化」(31%)、「経理財務の人材への投資によるスキルアップ」(30%)と続いており、事業に関するより良い意思決定の実現によって経理財務部門の提供する価値を向上させたいという考えが伺えます。
しかし実際は、オートメーション化の推進のような取り組みを中心とした、コスト削減に焦点を当てたイニシアティブで成功率が高く、特に優先順位はイニシアティブの中で最も低い(17%)「基幹会計システムの支援を目的としたブロックチェーン活用」が最も成功率が高い(37%)結果でした【図1】。
また経理財務部門は、自社が破壊的なテクノロジーに対応し、イノベーションを実現できるようにするため非常に強力な支援を提供していると回答している組織は27%に留まり、サポートが不足していると認識しています。
【図1】イニシアティブの優先課題とそれぞれの成功率の比較
<データの活用>
AI(人工知能)及びML(機械学習)への投資目的として上位3項目が「分析を改善する(33%)」、「予測を改善する(31%)」、「計画立案を改善する(30%)」でした。最先端技術の活用を、過去を振り返るだけの記述的分析よりも、将来を見据えた予測・処方的分析に重点を置いていることがわかりました【図2】。
【図2】AI及びMLへの投資目的上位3項目
<AIが人材に及ぼす影響>
本調査において回答者の78%が経理財務部門の人材は、AIによってより付加価値の高い戦略的な役割を担えるようになると回答しています。
大半の組織は、オートメーション化によって、経理財務部門の人材の11~20%の職務内容が変更されるか、人員が削減されるなど影響を受けるであろうとし、スキルの再教育対象や余剰人員となることを想定しています【図3・4】。
業務のオートメーション化により付加価値の高い戦略的な役割を担えるようになると想定しているとはいえ、新しい役割を担うためのスキルを習得させる必要があります。今後は、従来の限定的な領域に特化したスキルよりも、例えばデジタル化されたプロセスを管理するための能力、社内外のデータを分析して事業部門に重要なインサイトを提供する経理財務業務を熟知したデジタル専門家やデータサイエンティストなどが必要となると考えられます。しかし、求められるスキルは需要が高く、供給が不足しています。そのため、社内からのスキル人材を確保する負担を軽減するために、外部ビジネスパートナーやマネージドサービスを活用することが望ましいと考えます。
【図3】AIが人材に及ぼす影響:大きな影響を受けるであろう人材の割合
【図4】AIが人材に及ぼす影響:再研修またはスキルの再教育を受ける人材の割合
<Future Ready Finance Survey 2019「経理財務部門における未来への準備度調査」について>
本調査は、業種も地域もさまざまな経理財務部門の上級職員および経営幹部を対象に、優先事項、課題、そして今後の可能性に関しての調査です。地域別割合は米州31%、EMEA33%、アジア太平洋36%、総回答数は859名です。
本レポートは下記URLよりダウンロードいただけます。
https://home.kpmg/jp/ja/home/insights/2020/02/finance-survey-2019.html
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