NSCはケミカル加工による自在湾曲可能な液晶パネルを開発

NSCはケミカル加工による自在湾曲可能な液晶パネルを開発

株式会社NSC(所在地:大阪府豊中市、代表取締役:川久 慶人)は、ケミカル加工技術の高度化により、大きく曲がる固定曲面の液晶パネルを開発すると共に、更なる高度化により、自在に湾曲させることができる可変曲面の液晶パネルを開発いたしました。

液晶パネルは、ガラス基板を用いているため、湾曲させることが難しいとされる中、ケミカル加工技術の高度化により、曲率半径R100mmの湾曲を実現すると共に、更にその範囲内(最小曲率半径R100mm)で、自在に湾曲させることができる可変曲面の液晶パネルを試作いたしました。

これにより、固定曲面だけでなく、可変曲面が求められる用途にも対応することができるようになります。


【写真】


短辺固定曲面の液晶パネル(曲率半径R100mm)


長辺可変曲面の液晶パネル(最小曲率半径R100mm)



【本件のポイント】

●株式会社NSCは、ケミカル加工技術によるガラス基板製の自在に湾曲させることができる可変曲面の液晶パネルを世界で初めて開発いたしました。


●車載用ディスプレイなど厳しい環境での用途向けに、自在湾曲可能な液晶パネルを安価に提供することが可能となります。



【背景】

車載用ディスプレイは、厳しい環境でも耐える必要があるため、現在は液晶パネルが採用されております。

未来の自動車として、自動車メーカおよび電装メーカの各社からは、搭乗者が自然に情報を見ることができ、且つインテリアデザインにマッチしたディスプレイが提案されており、現在、車載用途の厳しい環境でも耐える曲面ディスプレイの開発が活発に行われております。

しかしながら、現在開発されている曲面の液晶パネルは、曲率半径R800~1000mm程度と湾曲度合いとしては小さく、且つ固定曲面のものであります。

液晶パネルはガラス基板(板厚0.5mm)を二枚貼り合わせた構成(総厚1.0mm)となっており、そのままでは湾曲することが難しい状況です。

湾曲を可能とするためには、微細な傷が無い状態で、総厚を薄くしなければなりません。物理加工(砥粒加工など)ではガラス基板表面に微細な傷が発生するため、この傷を起点として、湾曲時に破壊するリスクが高くなります。

また、大判ガラス基板からパネルを分断する工程でも、物理加工(スクライブ・ブレイク加工など)では、分断面に微細な傷が発生するため、この傷を起点として、湾曲時に破壊するリスクが極めて高くなります。



【開発成果】

株式会社NSCは、大判のままケミカル研磨(化学研磨)する方式を用いたガラス基板の加工技術を保有する企業です。今回、株式会社NSCは、ガラス基板製の液晶パネルの加工に、開発した高度化ケミカル加工技術(ケミカル研磨、ケミカル分断)を導入することにより、安価で自在に湾曲させることができる可変曲面の液晶パネル(最小曲率半径R100mm)の開発に世界で初めて成功いたしました。

本技術の特徴は、通常の厚板ガラス(0.5mm)で液晶パネルを完成(総厚1.0mm)させた後に、ケミカル研磨方式を用いて総厚を0.15mmまで薄くし、ケミカル分断方式を用いて大判ガラス基板からパネルを分断させることにより、自在に湾曲させることを可能にした点です。

この方式の利点は、液晶パネルを作製する際、通常の厚板ガラス(0.5mm)のハンドリングで良いため、薄板ガラス(例えば0.1mm)のようなハンドリング時の破壊の恐れが少なく、またケミカル加工工程(研磨工程および分断工程)を追加するだけであるため、設備投資が少なく、自在に湾曲させることができる可変曲面の液晶パネルを量産できる点です。

また、本技術の本質的な利点としては、物理加工技術と比較して、原理的に微細な傷が発生し難く、本来のガラスの強度を保つことが可能となる点にあります。



【今後の予定】

大判ガラス基板対応の高度化ケミカル加工の量産技術の確立

量産時期:2022年度(目標)



【会社概要】

商号  : 株式会社NSC

代表者 : 代表取締役 川久 慶人

所在地 : 大阪府豊中市利倉1丁目1-1

設立  : 1971年3月11日

事業内容: ケミカル加工技術をベースとしたガラス、金属などの表面処理事業、

      生産ラインなどの装置事業(設計・製作)および排水処理事業

URL   : https://www.nsc-net.co.jp



【お問い合わせ】

株式会社NSC グローバル営業統括本部

Tel  : 06-6862-5025(代表)

e-mail: sales@nsc-net.co.jp



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