KPMGコンサルティング、人事部門の現状と未来への展望に関する グローバルサーベイの日本版を発行
―「Future of HR 2020 - 岐路に立つ日本の人事部、変革に向けた一手」―
2020.05.08 10:00
KPMGコンサルティング株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮原 正弘、以下、KPMGコンサルティング)は、「Future of HR 2020 - 岐路に立つ日本の人事部、変革に向けた一手」を発行しました。本調査は、KPMGグローバルが世界各国のHRリーダーを対象に、人事部門の現状と未来への展望を明らかにすることを目的に実施したオンライン調査で、世界全体と日本企業の結果を比較した内容をまとめています。
本調査の結果、日本の人事部門の現状について、“人事部門は「価値提供部門」ではなく「管理部門」とみなされている”、“タレントマネジメントに関する自信度が低い”、“社内において人事が創出すべき新たな価値を模索している”といった特徴があることがわかりました。このような現状の背景には、従業員が類似の価値観や能力を持つ「集団」から異なる価値観や能力を持つ「個」にシフトしており、経営陣や従業員から人事部門に対するニーズに大きな変化が起きていると考えられます。
【「Future of HR」の主な調査結果】
■人事部門は「価値提供部門」ではなく「管理部門」とみなされている
「人事部門は、価値提供部門(バリュードライバー)ではなく管理部門(アドミニストレーター)としてみなされているか?」という設問にたいして、日本ではグローバル平均を14%上回る60%が「強く同意する・同意する」と回答しています。
図1:人事部門は、価値提供部門(バリュードライバー)ではなく、管理部門(アドミニストレーター)としてみなされているか?
図1
■タレントマネジメントに関する自信度が低い
タレントマネジメントに関する自信度の度合いについては、「(必要な人材の)惹きつけ」「離職防止」「育成」の項目において、日本の結果はいずれも「とても自信がある・自信がある」の割合が、グローバル平均より低いことがわかりました。
図2:成長目標の達成に必要なタレントマネジメントに関する自信の度合いは?
図2
■社内において人事が創出すべき新たな価値を模索している
「現在多くの時間と労力を注いでいる施策」について、日本はグローバルと異なり、回答企業の57%が「組織内で価値を創出するための新しい方法の特定」と回答していることがわかりました。
図3:人事部門が現在多くの時間と労力を注いでいる施策は?(複数回答)
図3
【調査結果に基づいた日本の人事部門変革への示唆】
■高まるエンプロイーエクスペリエンス(EX)*への関心
従来の日本企業は、従業員を「集団」で捉える傾向が強くありましたが、労働市場が流動化し、労働者の価値観も多様化してきたことで、会社と従業員の関係が変化してきました。このような変化に対応するために、従業員個人のエンゲージメント(働きがい)を高める大きな要因である「エンプロイーエクスペリエンス」に関心が高まっています。魅力的なEXを提供するには、従業員の期待と実態との間に生じているギャップを把握した上で、人事と現場が一体となり解消していく事が重要です。
*エンプロイーエクスペリエンス(EX):企業とのあらゆるタッチポイントを通じて従業員が感じた価値
■重要視されるビジネスパートナーとしての役割
多くの日本の人事部門は、これまで人事制度の運用等のオペレーショナルな業務を中心に担ってきましたが、企業が従業員に求めるスペックの高度化・多様化により、従来型の人事業務の遂行だけでは経営や従業員への価値を発揮できなくなっています。今後、現場で求められる人材のニーズを把握し、量だけでなく質も見合った人材をタイムリーに供給できる必要性が高まってくることから、現場に寄り添いながら人的問題を解決できるビジネスパートナーとしての役割が重要になってきます。
■人材データ分析の必要性を強く認識
これまでの日本企業の人事(異動配置などの要員構成)は、“勘と経験”に基づいた案の作成と現場間の利害調整が主な役割でしたが、これからの不確実性の時代においては、データによる明確な根拠を基に提言し、意思決定を促すことが求められます。特に優秀な人材のエンゲージメントを高めるためには、従業員の「個」を適正に把握し異動・配置に活かすといった人材マネジメントの高度化は不可欠であり、人材データの活用は例外なくすべての人事部門の重要な課題となっています。
本調査結果を受けて、KPMGコンサルティングのピープル&チェンジ部門をリードしているパートナーの大池 一弥は次のように述べています。
「昨今の人事部門は、より高いレベルでのビジネスへの貢献が求められており、人材育成、働きがいの醸成、生産性の向上など、持続的な強い企業を実現するための本質的な課題に応えていく必要に迫られています。テクノロジーの活用により、潜在課題の発掘や新規課題の立案など、人事でリードできる領域は益々広がっていくと思われます」
【「Future of HR 2020 - 岐路に立つ日本の人事部、変革に向けた一手」について】
本調査は、世界55カ国、総数1,362社。うち日本の回答は65社です。CEO(最高経営責任者)、CHRO(最高人事責任者)、などのHRリーダーを対象に、2019年6月27日~8月4日にかけて実施しました。
本レポートは下記URLよりダウンロードいただけます。
URL: https://home.kpmg/jp/ja/home/insights/2020/05/hr-2020-japan.html
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