株式会社エクスプローラ、準天頂衛星システム「みちびき」の 測位補強サービスを用いたトレーラシャーシや 物流コンテナの駐車位置確認システムの実証に成功
~ 「みちびき」の新たなサービス開発の実証実験に参画 ~
2020.06.05 12:00
画像技術をコアにシステム開発を展開している株式会社エクスプローラ(本社:北海道函館市、代表取締役社長:矢吹 尚秀、以下 エクスプローラ)は、内閣府および準天頂衛星システムサービス株式会社が公募する、みちびきの利用が期待される新たなサービスや技術の実用化に向けた実証実験に応募し、「『みちびきのサブメータ級測位補強を付加した無線ICタグ』による物流管理」が採択され、開発を進めてまいりました。
このたびエクスプローラは、この実証実験においてみちびきのサブメータ級測位補強サービス(以下 SLAS)(※1)に対応した「無線ICタグ」および「駐車表示用スマホアプリ」を連携したトレーラシャーシや物流コンテナ(以下 シャーシ等)の駐車位置確認システムの開発に成功しましたので、お知らせいたします。
この実証実験の結果を踏まえ具体的な製品化を行うことで、シャーシ等輸送時の駐車場での捜索時間や順番待ち時間の削減など物流業界におけるトラック運転手の負荷軽減を目指してまいります。
「みちびき」活用による衛星測位サービス(画像提供:内閣府宇宙開発戦略推進事務局)
「『みちびきのサブメータ級測位補強を付加した無線ICタグ』による物流管理」のコンセプト
●開発の背景
既存の港湾部でのシャーシ等の駐車管理は、管理人が目視で駐車位置の確認を行い、トラック運転手に駐車番号と車両番号を記載した手書きの札を渡すケースが多くあります。しかし、広い駐車場での位置管理は間違えが起こりやすく、またシャーシ等が指定の場所に駐車されてない場合はトラック運転手が管理人と一緒にコンテナを捜索することもあります。配達期限などの制限のある輸送案件の場合、このような時間ロスは極力減らすことが求められます。
従来の駐車位置確認のイメージ
GPSを用いればこのような問題は解決できると考えられますが、既存の測位方法では10m程度の誤差があるため、シャーシ等の駐車位置を正しく示すことができず、またシャーシ等には電源がないため、常時測位を行うことができません。
みちびきSLASとGPSの精度の違い
●駐車位置確認システムの開発
このような課題を解決するために、エクスプローラはSLASに対応した「無線ICタグ」を開発しました。この「無線ICタグ」は、低消費電力・長距離伝送を特徴とする無線規格「Sigfox(※2)」と組み合わせることで、シャーシ等に設置したまま3~5年程度の電池駆動を実現することができます。また、専用スマホアプリに駐車場の緯度経度を登録することで、駐車位置を表示することが可能となります。
今後は社会実装を目指した製品化設計を行い、2020年中に量産出荷開始を予定しています。
駐車位置確認システムの使用イメージ
●「『みちびきのサブメータ級測位補強を付加した無線ICタグ』による物流管理」のイメージ動画
●専門用語説明
※1 サブメータ級測位補強サービス
一般に、GPSなどによる1周波の衛星測位では、誤差は10m程度になると言われていますが、サブメータ級測位補強により、誤差1m以下で測位を行うことが可能となります。
詳細については、「みちびき(準天頂衛星システム)公式サイト サブメータ級測位補強サービス」をご覧ください。 https://qzss.go.jp/overview/services/sv05_slas.html
※2 Sigfox
Sigfoxとは、フランスのSigfox社が提供しているIoT向けの無線通信規格。低消費電力で広域をカバーする無線通信、LPWA(Low Power Wide Area)の一つで、低価格・低消費電力・長距離伝送を特徴としたグローバルIoTネットワークです。日本においては、免許不要の920MHz帯を利用し、最大通信速度は100bps(上りのみ)、伝送距離は最大数十kmになります。
●株式会社エクスプローラについて
エクスプローラは1992年に創業し、放送機器、医療機器、音響処理装置などの組込み機器のハード・ソフト設計、試作製造から量産やOEM供給まで手掛けています。FPGAやDSPに関する豊富な設計実績を持ち、最先端の画像・音声処理に関し高い技術力と実績を有しています。また、設計・製造受託だけでなく、自社製品の開発にも力を入れております。なお、エクスプローラは2012年7月に半導体をコアにシステム提案、設計開発サービスを提供する株式会社PALTEKのグループ会社となりました。
エクスプローラに関する詳細は、 https://www.explorer-inc.co.jp/ をご覧ください。