日本初となる横隔膜ペースメーカ「NeuRx」の導入開始　 9月5日開催の「第55回日本脊髄障害医学会」にて出展

2020.09.04 10:15

USCIジャパン株式会社(本社：東京都渋谷区代々木、以下、USCIジャパン)は、日本では初となる横隔神経電気刺激装置「NeuRx(ニューアールエックス)横隔膜ペーシングシステム」(以下、NeuRx)の導入を開始いたしました。NeuRxは2020年9月5日の「第55回日本脊髄障害医学会」に出展いたします。

URL： https://www.neurx.info/

使用イメージ

NeuRxは、人工呼吸器に依存される患者様が一時的に人工呼吸器から離脱することを可能とし、患者様および介護者様のQOLを向上する新たな呼吸補助手段となる事が期待される医療機器です。2017年10月10日の薬事承認取得を経て2019年9月1日より保険収載となりました。このことで、日本初の承認機器として普及を進められることとなりました。

横隔膜ペースメーカは海外においては1970年代より開始された治療法で、既に二千症例以上もの実績があります。国内では映画【人魚の眠る家：2018年】においても、横隔膜ペースメーカの存在が紹介されておりましたが、これまでには医師による個人輸入など数例の実施に留まっておりました。

今回、国内初の横隔膜ペースメーカの導入に至った背景としましては、2008年7月に厚生労働省主催の「第8回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」で、横隔膜ペースメーカが取り上げられたことがあげられます。検討会において、適応疾病の重篤性：A評価、医療上の有用性：A評価、検討対象として選定すべき優先度：1とそれぞれの評価項目で最も高い評価を得て、高いニーズと有用性が認められておりました。しかし、採算性の問題などで取り扱う企業が現れないといったことが課題となっていました。その中でUSCIジャパンとして、世の中で必要とされるものに携わることが出来るといった点に事業の意味を見出し国内導入を進めることとし、薬事承認や保険適用を進めて参りました。

NeuRxは「横隔神経の電気刺激により横隔膜の収縮が可能な、人工呼吸器に依存する(1)脊髄損傷、(2)中枢性低換気症候群」の患者様が適用の対象となります。横隔膜に植え込まれた電極に電気刺激が送られて、横隔膜が収縮することで呼吸補助を行います。電極の植え込み手術は、腹腔鏡を用いて約2時間程度の所要時間、また比較的低侵襲に行う事が可能です。電極は横隔膜に左右2本ずつ経皮的に植込まれ、体外式のペースメーカにより電気信号が送られます。術後に横隔膜のリハビリトレーニングを実施して、在宅での管理も可能となります。本品を使用している間は、人工呼吸器を一時的に離脱することが可能となり、患者様のQOLが大幅に改善されることが期待されます。体外式パルス発生器は、小型(重さ：約250g、サイズ：8cm×13.7cm×3.4cm)で携帯性に優れており、外出も容易となります。駆動には市販の単2サイズのアルカリ乾電池やリチウム電池を用いることから、生命維持装置として重要な課題である災害時の電源確保といった点においても比較的容易に対応が可能です。NeuRxは、モータ等の駆動が無いことから、これまで人工呼吸器の音を気にしていたような場面でも周囲を気にすることなく使用することができます。また、介護者様にとっても人工呼吸器と比較してケアの負担軽減が期待される機器であります。