欧州「GAIA-X」のコア技術「IDSコネクター」と 「DATA Trust(R)」を具現化した「SDPF」を連携させる データ流通の実証実験を開始
~データ提供者の権利を守りながら国際間でデータが分野横断で 利活用される社会を実現する基盤の開発~
2020.09.28 15:00
NTTコミュニケーションズ株式会社(以下 NTT Com)は、世界各国・地域ごとに整備が進むデータ基盤との相互接続性を担保したセキュアなグローバルデータ流通管理基盤※1の開発に貢献するための第一歩として、International Data Spaces Association(以下 IDSA)※2と協力し、2020年10月1日より実証実験を開始します。
実証実験(以下 本実験)では、欧州のデータ基盤「GAIA-X」※3のコア技術「IDSコネクター」※4と、秘匿性の高いデータを安全に流通させる「DATA Trust(R)」※5の構想を具現化した、「Smart Data Platform(SDPF)」※6を用いた試験環境を構築し、法令や契約にもとづき各データの利用権限を適正に制御できる仕組みの実用性・運用性の検証を行います。本実験を通じて、国際間のデータ流通の要件を洗い出し、日本と世界各国・地域のデータ基盤を円滑に連携するための、グローバルデータ流通管理基盤の開発に貢献し、社会的課題の解決に寄与します。
1. 背景
近年、IoTやAIなどの技術の進展に伴い、製造・物流・交通・医療・エネルギー・都市・行政などさまざまな分野の課題を解決するために、データ利活用が一層の広がりを見せています。より高度で多目的にデータを有効利用するためには、収集したデータを円滑かつ安全に、業界や国境を越えて産業間や分野間で横断的に流通させる仕組みが必要です。また、データの提供者と利用者の権利を保護するため、各データを、いつ、どこで、誰が、何の目的で、どのような条件で利用できるのかを規定し、そのルールを順守させる必要があります。
現在、世界各国・地域でそのようなデータ基盤の構築に向け法制度や技術の整備が進められており、今後、日本国外の企業・拠点とデータ流通を伴うビジネスを行う際には、各国・地域の法令に準拠しなければならなくなると想定されます。
2. 本実験の概要
本実験では、国際間のデータ流通を必要とする具体的なユースケース(輸出した機械のリモート監視など)に即した試験環境を構築し、その実用性・運用性の検証を行います。加えて、実用性・運用性・利便性を高めるためにグローバルデータ流通管理基盤に求められる要件と課題の抽出を行います。
(1) 本実験の開始日
2020年10月1日
(2) 本実験のイメージ
試験環境には、「GAIA-X」のコア技術である「IDSコネクター」のほか、NTT Comのネットワークや「SDPF」、IoTプラットフォーム「Things Cloud(R)」などを組み合わせて使用する予定です。
NTTソフトウェアイノベーションセンタ※7と連携し、まず初めに日本国内の試験環境のサーバーに「IDSコネクター」を実装し、ユースケースを想定し試験環境内に構築したシステム間の相互接続試験や各データの利用権限の制御などの検証を行います。その後、ドイツにあるIDSAでの試験環境や、「スイスイノベーションパーク・ビール/ビエンヌ」※8に構築する試験環境との相互接続を順次行い、NTT Comのネットワークを介した国際間での各データの利用権限を適正に制御できる仕組みの実用性・運用性の検証を行います。
3. 今後の展開
本実験から得た知見や結果をもとに、さらなる検証・検討を進めるために、「IDSコネクター」を用いてハードウェア・ソフトウェアの相互接続性を検証できる試験運用環境(テストベッド)を構築し、国内外の企業・団体と協力してグローバルデータ流通管理基盤の共同開発に取り組む予定です。また、「ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会」※9を始めとして、今後、国内外で活発に活動していく団体や企業と協力しながら、グローバルデータ流通管理基盤の要件抽出を行います。これにより、産官学連携で基本的仕様の策定を支援してまいります。
NTT Comはこれらの取り組みを通じ、あらゆる分野で、国内および国際間で広くデータを流通させるプラットフォームの開発に貢献することで、さまざまな社会的課題を解決し、Smart Worldの実現に貢献していきます。
※1:「グローバルデータ流通管理基盤」とは、世界各国が国益や人権を守りながらデータを安全・公正・適切に国際流通できるようにするため、各国・地域のデータ基盤を相互に連携させるための機能を指します。
※2:「International Data Spaces Association」は、企業と企業が安全にデータを交換するためのオープンなアーキテクチャーの設計やデータ主権を保証する取り組みを行っています(所在:ドイツ、ベルリン)。大手ソフトウェア会社、システム会社など、21カ国以上、120以上の企業および業界組織などが参画しています。
※3:「GAIA-X」とは、ドイツ政府とフランス政府が2019年10月に発表した、EU規模でのデータの共有や利活用を支援するための分散型データ基盤を構築する構想です。
※4:「IDSコネクター」とは、IDSAが提供する「GAIA-X」のコア技術となるソフトウェアで、データを送受信するクラウド、エッジコンピューター、デバイスなどに実装し適切に設定を行うことで、法令や契約にもとづき各データへのアクセスを制御できる仕組みです。
※5:「DATA Trust(R)」は、日本電信電話株式会社の登録商標です。
※6:「Smart Data Platform(SDPF)」とは、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に必要なすべての機能をワンストップで提供する、NTT Comの次世代のプラットフォームです。
※7:「NTTソフトウェアイノベーションセンタ」は、NTTの研究所のひとつで、DX加速から、将来の社会基盤となるソフトウェア基盤、AI基盤、次世代コンピュータに至るIT基盤技術の研究開発に取り組んでいます。
※8:「スイスイノベーションパーク・ビール/ビエンヌ」とは、産業指向の一次的な応用研究と開発の実行および支援を行う、スイスの民間非営利団体です。
※9:「ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会」とは、2015年に政府主導で設立された産業IoT(モノのインターネット)、ロボットなどの利活用を推進する民間団体です。NTT Comは昨年10月より「グローバルデータ流通管理基盤検討サブWG」の事務局として活動しています。
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