高齢者向け住宅施設紹介サイト「ココシニア」をリリース 1,000件を超えるデータから構築したAIが老後の幸せをつくる
2020.09.29 10:00
株式会社ステッチ(東京都千代田区)は、1,000件を超える実際の施設入居者のデータから構築したAIと、入居後の主観的な幸福感をアンケートで取得して分析し、レポーティングすることで、老後の幸せをつくる高齢者向け住宅施設紹介サイト「ココシニア」を9月29日に本リリースしました。事業パートナーとして介護事業が専門の株式会社ケアトーク社と提携し、AIは株式会社AVILENのレコメンドエンジン「AVILEN FALCON」をベースに開発いたしました。
ココシニアサービスイメージ
【要約】
・アンケート調査の結果、親の施設選びでもっとも多くの人が大切にしたのは「施設の雰囲気」で、53.4%。
・1,000件を超える実際の施設入居者のデータから、入居者にもっとも合う施設の雰囲気を分析してAIを構築。「入居者が普段家にいたときの格好」と「施設における他の入居者の日中の格好」が近いほど入居後の幸福度が高まる、などの結果を得た。
・AIレコメンドエンジンが提示する「幸せになる傾向が高いと想定される施設」の「正解率」は75%。
・入居前のAIを用いた幸せになる可能性が高い施設の紹介と、入居後の幸福感のモニタリングを組み合わせて入居後のミスマッチを解消する「幸せサポートシステム」を提供。
アンケート調査を行った結果、親の施設選びでもっとも多くの人が大切にしたのは、費用や立地ではなく、「施設の雰囲気」で、53.4%の人が選択しました(図1)。高齢者向け住宅施設における、雰囲気の重要性は、居住空間や対人関係などからも示されていますが(※1)、現在の施設紹介サイトでは雰囲気という観点は重要視されていません。
「高齢者向け住宅施設を選ぶ際に、大切にしたこと」結果
また、入居者は雰囲気を判断するために施設見学を行いますが、1回の施設見学で、入居後の生活に本当にマッチする施設を探すことは困難です。ココシニアはこの点を社会的な課題であると捉え、実際に施設選びを行った方の1,000件を超えるデータから、入居者さまにもっとも合う施設の雰囲気を分析してAIを構築しました。この分析で、雰囲気を構成する要素(衣食住人)について、興味深いデータが得られました。例えば、「入居者が普段家にいたときの格好」と「施設における他の入居者の日中の格好」が近いほど入居後の幸福度が高まる、などです。
入居後の幸福度に関係するデータ例
この構築したAIで入居者さまのパーソナリティと施設データを分析することで、幸せになる可能性が高い施設をご紹介します。さらに、入居決定時と、入居後2ヶ月後、6ヶ月後に幸福感を測定するアンケートを実施します(※2)。アンケートには、幸福感の測定項目以外にも、「施設のスタッフの笑顔を感じるか」「心配事や愚痴を聞いてあげる人がいるか」「アクティビティへの参加状況」など様々な研究結果から幸福感に寄与する要因を抽出して入れ込んであります。その結果から、幸福感が上がっている要因・下がっている要因を分析して、レポートにまとめ、入居された施設とご家族にお送りし、幸福感が下がっている場合は改善施策をご提案します。
これにより、入居前には幸せになる可能性が高い施設のご紹介をし、入居後には幸福感をモニタリングして、幸せな暮らしをサポートします。ココシニアはこの入居前の幸せにつながる施設選びと入居後の幸福感のモニタリングを組み合わせ「幸せサポートシステム」としてお客様全員にご提供します。これにより、入居後に施設とのミスマッチが発生する可能性を低減していきます。
「幸せサポートシステム」イメージ
■AIアルゴリズムについて
AIは入居される方のパーソナルな情報から幸せになる可能性が高い施設を提示します。その流れは「1.データのインプット」「2.アルゴリズムでの解析」「3.施設の提示」の3ステップです。
1. ご検討されている入居者さまに関する、「お住まいの部屋の数」や「趣味」、「家にいるときの格好」「長く勤めていた職種」などのさまざまな質問への回答を、データとしてインプットします。
2. インプットしたデータを、AIレコメンドエンジンの「AVILEN FALCON」を用いて独自アルゴリズムで解析します。(「AVILEN FALCON」は、あらかじめ大量の施設や過去入居者のデータを用いて、学習させておきます。)
3. 解析の結果、ご検討されている入居者さまが幸せになる傾向が高いと想定される施設を提示します。(現時点では「幸せになる傾向が高いと想定される施設」の「正解率」は75%(※3))
AIアルゴリズム概要
(※1)井上 由起子, 外山 義, 小滝 一正, 大原 一興, 高齢者居住施設における入居者の個人的領域形成に関する考察 : 住まいとしての特別養護老人ホームのあり方に関する研究 その1, 日本建築学会計画系論文集, 1997, 62 巻, 501 号, p. 109-115, 公開日 2017/02/02, Online ISSN 1881-8161, Print ISSN 1340-4210,井上 由起子, et al.“高齢者居住施設における入居者の個人的領域形成に関する考察:住まいとしての特別養護老人ホームのあり方に関する研究 その1.”日本建築学会計画系論文集 62.501 (1997): 109-115.
(※2)高齢者の主観的QOLを測定するPGCモラールスケールをベースにした17項目のアンケート
(※3)ご検討されている入居者さまが、提示した施設に入居し「幸せになるか」「不幸になるか」の2択で判断した場合、75%で正解する
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