RDE規制に対応した、自動車の開発効率向上に貢献する 「RDE+」を本格展開
車両の路上走行試験を試験室内で高精度に再現
2020.09.29 10:30
株式会社堀場製作所(本社:京都市南区吉祥院宮の東町2、代表取締役社長 足立 正之、以下当社)は、路上走行時の排ガスを測定するRDE(Real Driving Emissions)規制に対応する新アプリケーション「RDE+」を9月28日より国内向けに本格展開します。
RDE規制は世界的な環境規制強化を背景に2017年にヨーロッパで施行され、今後も各国で導入拡大※1が見込まれています。複雑な試験要件が課されており、自動車業界における開発期間の長期化および開発コストの増加が課題となっています。
「RDE+」は、当社独自の計測アルゴリズムである「トルクマッチング法」と、当社の計測機器・ソフトウェアを最適に組み合わせ、車両の路上走行試験を試験室内で高精度に再現します。今後は、車両開発の初期設計段階から仮想環境で走行試験を行うアプリケーションの展開も予定しています。
これによって開発コストの低減および開発効率の向上に貢献し、2023年に売上高約35億円をめざします。
※1 2022年日本、2023年インド、中国でRDE規制が導入される予定
試験室内で路上走行試験を再現する様子
【新アプリケーションの特長】
独自の計測アルゴリズムにより、試験室内で高精度に路上走行を再現
路上走行を再現するシャシダイナモメーター、自動運転システム、車載型排ガス測定装置などを、データマネジメントシステムで統合管理することで、路上走行試験を試験室内で高精度に再現します。
従来の手法は、路上走行における勾配や風向き、路面状況といったさまざまな要素を再現するため、手間、時間、コストがかかっていました。トルクマッチング法(特許※2取得済み)は、これらの複雑な環境条件を省き、車速とアクセルペダル開度に着目することで、高精度に路上走行試験を再現することができます。また、エンジン単体での路上走行試験の再現も可能です。
今後は、車両開発の初期設計段階から仮想環境で路上走行試験を行うモデルベース開発を支援するアプリケーションも展開し、さらなる開発フロントローディングに貢献します。
フロスト&サリバン※3の調査によると、「RDE+」の全アプリケーションを導入することで、試作車両製作コストの低減(最大75%)などに貢献し、新車開発プロジェクトあたり最大18億円のコスト削減が見込まれています。
※2 PCT/US2018/067636、PCT/US2018/067652
※3 Frost & Sullivan米国を本拠とする調査およびコンサルティング会社
RDE+イメージ図
【当社 取締役(自動車計測事業管掌)長野 隆史コメント】
クリーン化や次世代モビリティなど様々な技術・製品開発が求められる自動車産業においては、開発効率の向上が急務です。
RDE規制の対象となる内燃機関車には電動車両の主役であるプラグインハイブリッド車、ハイブリッド車も含まれており、今後も市場の多数を占めていきます。「RDE+」の展開は自動車全体の環境性能向上に寄与するものだと確信しています。
本アプリケーションは、当社が長年培ってきた内燃機関車両開発のための分析・計測技術と2015年に買収したMIRA社(現ホリバ MIRA社:イギリス)の自動車開発のエンジニアリング・コンサルティング技術などを組み合わせて実現しています。
今後も当社グループのシナジーにより次世代モビリティ開発のフロントローディングに貢献し、自動車産業の「信頼できるパートナー」としての地位を確立します。
詳細情報:実路試験の台上化(RDE+)