PinSプロジェクトの転校生は大友良英さんに決定! -Professionals in School Project 2020-
2020.12.24 10:30
特定非営利活動法人インビジブル(以下、「インビジブル」)は2020年のプロフェッショナル・イン・スクール プロジェクト(通称:PinS<ピンズ>プロジェクト)の転校生として、富岡町立小中学校に音楽家の大友良英さんを迎えることとしましたので、お知らせします。
■PinSプロジェクトとは? ―富岡町立小中学校にプロフェッショナル転校生―
2018年4月に始まったこのプロジェクトでは、東日本大震災・福島第一原発事故から7年ぶりに再開した福島県双葉郡富岡町の富岡町立小中学校を舞台に、アート、建築、音楽、職人などクリエイティブな職種の各界のプロが「プロフェッショナル転校生」として、教室を仕事場としながら、子どもたちと学校生活を共にしていきます。
「教えない教育」を念頭に、知識や指導を大人が教えすぎないことで、子どもの観察・洞察力、そして本来ひとりひとりが持っている発想力を能動的に見出す機会となることを願っています。
仕事場は校長室の隣にあります。給食をとったり、地域の方が集まったりする多目的スペースと隣接しているため、必然的に様々な立場の人の交流が生まれる、学校のリビングルームのような空間となっています。小中学校(富岡校・三春校)合わせて50数名の、小規模なこの学校を拠点として、富岡町の未来を描きながら、既存の枠の外で物事を考えることを得意とするクリエイティブな思考を持つ人たちが関わることが大切であると思っています。
■プロフェッショナル転校生・大友良英(おおとも よしひで)さん
<コメント>
小学校3年で福島市に転校、10代を福島市で過ごしました。その後は福島を出て世界中さまざまなところに行きましたが、震災後再び福島と縁ができたことがきっかけとなり、半世紀ぶりにまた福島に転校することになりました。
今度は富岡の小中学校です。本物の小中学生のようには体も頭も動きませんが、いろんな人を巻き込みつつ、地元のみなさんや、生徒のみなさんと一緒に音楽部をつくることくらいは出来るかもしれないなと思ってます。
ときどきふらっと現れる転校生ではありますが、よろしくお願いします!
photo by Soshi Setani(YATSUI FESTIVAL!2018)
●大友良英
音楽家 ギタリスト、ターンテーブル奏者 プロデューサー
1959年生まれ。映画やテレビの音楽を山のように作りつつ、ノイズや即興の現場がホームの音楽家。ギタリスト、ターンテーブル奏者。活動は日本のみならず欧米、アジアと多方面にわたる。美術と音楽の中間領域のような展示作品や一般参加のプロジェクトやプロデュースワークも多数。震災後は故郷の福島でプロジェクトFUKUSHIMA!を立ち上げ、現在に至るまで様々な活動を継続中。2013年「あまちゃん」の音楽でレコード大賞作曲賞を受賞。2014年よりアンサンブルズ・アジアのディレクターとしてアジア各国の音楽家のネットワークづくりに奔走。2017年札幌国際芸術祭の芸術監督。2019年NHK大河ドラマ「いだてん」の音楽を担当。また福島市を代表する夏祭り「わらじまつり」改革のディレクターも務めた。
■PinSプロジェクトの運営
このプロジェクトは、インビジブルのクリエイティブディレクターであり、アーティストの菊池宏子と、理事の赤司展子の2名が中心となり、進めています。さらに、今年度から、地元の団体である「ふたばいんふぉ」と連携して運営しています。
*ふたばいんふぉ・・・双葉8町村の現状を共有し、広く伝えるために、民間団体である双葉郡未来会議が運営者となって開設された総合インフォメーションセンター。アーカイブ機能だけではなく、住民目線での捉え方、伝え方を住民自らが発信することで、よりダイレクトに双葉郡のリアリティを届け、また町村の枠を超えた住民同士の理解を深めることにも繋がっている。
●菊池宏子
菊池はアーティストとして活動する傍ら、コミュニティ開発やエデュケーション事業にも関わってきた。米国在住20年を経て、2011年、東日本大震災を機に東京に戻り現在に至る。
菊池宏子
<コメント>
2015年から双葉郡の学校教育関連の活動に関わり、2017年富岡町教育振興計画検討委員会(通称:富岡町のまなびを考える会)の委員長を務め、学校再開に向けた「コミュニティの拠点となる学校」を目指すアクションプランの構築に携わりました。この経験からの最大の学びは、多くのものを失った町だからこそ、教育にも社会基盤(コミュニティ)においても、型破りな思考、発想、視点が必要不可欠だと実感し、新たな価値観を創出する力のあるアートが、抜本的な課題解決の糸口を見つける触媒、きっかけ、策になり得ると考えています。
目標の一つに、活動開始から10年間コミットし、富岡町再開後の軌跡を「富岡町立小中学校芸術祭(仮)」というフレームに落とし込み、より多様な人々が町に訪れる機会をつくりたいと考えています。
PinSでは、毎年プロフェッショナル転校生は学校に残すための作品を制作し、それは滞在期間中の経験をアーカイブする意図もあります。また作品を残すことが持続的かつ継続的に行われることで、子どもたちとの日常生活の歴史や記憶がきざまれた作品が学校に集積されます。PinSを通じて再開後の記憶遺産を残し、「コミュニティの拠点となる学校」から新たな町の文化をつくり出す足がかりになることを願っています。
●赤司展子
赤司は、経営コンサルティング会社PwC Japanから福島県双葉郡教育復興ビジョン推進協議会へ出向したことを契機に、「学びの多様化」に取り組むため2018年独立。同時にインビジブルの理事に就任した。
赤司展子
<コメント>
富岡町との関わりは双葉郡の教育復興に携わった2014年から始まっています。多様な多世代との交流そして本物との出会いを子どもたちに届けたい、というのがこのプロジェクトを企画し続けている理由です。
そして、どんなに企画してもその想定を超えてセレンディピティが起こるのがPinSです。プロとの関わりの中で子どもの新しい一面が引き出されるこの活動を、地域さらには世界に発信したいと思っています。
(プロフィール詳細) https://invisible.tokyo/team
■(参考)富岡町の小中学校
東京電力福島第1原発事故後、避難先の三春町に残した三春校が2022年3月に閉校となることを踏まえ、富岡町立の富岡一、富岡二両小と富岡一、富岡二両中をそれぞれ統合し、2022年4月に開校する予定である。富岡一小、二小、一中、二中の4校が合同で校舎として使っている一中を引き続き使用する。新たな小、中学校の校名は、小学校が「富岡小学校」、中学校が「富岡中学校」となることが決まった。
■PinSプロジェクトの経緯
NPO法人インビジブルは、富岡町と包括協定を結び、「コミュニティの拠点となる学校」づくりに取り組んでいます。
<これまでのプロフェッショナル転校生>
2018年 林敬庸(はやし たかつね)/西粟倉村(岡山県)を拠点に90年以上にわたり神社/仏閣、住宅などの建築物を造り続ける大工の家系の3代目
2019年 加茂昂(かも あきら)/油絵画家、
宮島達男(みやじま たつお)/現代美術家
Pins転校生(林敬庸)と子どもたち
PinS転校生(加茂昂)
PinS転校生(宮島達男)と子どもたち
■NPO法人インビジブル サポーター(賛助会員)募集中!
NPO法人インビジブルは、様々な課題を抱える組織やコミュニティとアートを触媒にしたプロジェクトを協働することで、まだここにない未来をつくる挑戦を続けています。アートによって思いがけない偶然や出会いを創り、その機会によって個人が持つ可能性を開くことから、新しい未来が始まると私たちは信じています。
会員種別は個人会員6,000円(一口以上、500円/月)、法人会員60,000円(一口以上、5,000円/月)の二種です。
お申し込みはこちらから→ https://invisible.tokyo/supportus
【法人情報】
法人名 : 特定非営利活動法人インビジブル
所在地 : 東京都中央区日本橋堀留町2-4-5 長谷川ビル5階
理事長 : 山本曉甫
設立 : 2015年7月
事業内容:
・都市や地域が持つ可能性や顕在化されていない課題発見のためのラボ事業
・アートを触媒に課題解決を目指すパートナーシップ事業
・個々人の創造性を向上させるための教育事業
SNS: https://www.facebook.com/invisibletokyo/
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