アメリカでも大規模な研究が進められている治療法 対人関係療法によるトラウマ治療を本格スタート
~日常生活の中で起こる「対人トラウマ」を治療~
東京都港区三田に10月オープンした「三田こころの健康クリニック(対人関係療法専門:心療内科・精神科、院長:生野 信弘)」では、治療が非常に困難なうつ病や摂食障害(過食症・拒食症)、双極性障害(躁うつ病)に対して対人関係療法(IPT)[※1]による専門的な治療を提供しています。
このたび、三田こころの健康クリニックでは、アメリカ国立精神保健研究所(NIMH)でも大規模な研究が進行中である「対人関係療法によるトラウマ/PTSDの治療」を開始することになりました。
1.トラウマの診断と治療が注目される背景
<背景>
阪神淡路大震災、東日本大震災という二度の震災でトラウマやPTSDという言葉は一般の人口にも膾炙するようになりました。対処することが出来ないほど大きな衝撃だけがトラウマにつながりやすいのではなく、トラウマは一見何の害もないように見える出来事が原因で起こる、きわめてありふれた現象であることがわかっています。
<トラウマ/PTSDとは>
トラウマは「心的外傷」と訳されるように、衝撃的な出来事(外傷体験)の直後にPTSD[※2]に似た症状が生じることは一般的なことですが、怪我としてのトラウマの症状は時間経過とともに自然に回復していきます。一方、病気としてのPTSDの本質は、一過性の症状や防衛反応が自然に回復しなくなるだけでなく、(慢性の)うつ病、摂食障害(過食症・拒食症)、解離性障害、双極性障害(躁うつ病)など、多彩な「トラウマ関連の病気」を引き起こすことにあります。
この中でレイプやネグレクトも含む小児期の虐待、学校でのイジメ、DV(ドメスティック・バイオレンス)や職場でのさまざまなハラスメントなど、身近な人による「対人トラウマ」は、他人への信頼感だけでなく、自分自身への信頼感も根底から損なわれるものになります。それだけでなく、トラウマの症状は、その引き金となる出来事が起きてから何年も潜伏することがあり、トラウマを受けたのに未だに自覚症状がない人もいるのです。日常でも起こりうるこのようなトラウマによる影響は、心身のバランスを大きく混乱させ、治りにくいうつ病や過食症などの摂食障害、アルコールや薬物依存、不安障害などさまざまな病気を引き起こします。
<トラウマに対する治療の問題点>
トラウマは治療をしなければ人生の質が決定的に低下してしまうほどのダメージであるにも関わらず、「嫌なことは忘れて、前向きに生きていきなさい」という周囲からの抑圧だけでなく、気付かれないトラウマの場合は、治療の場でもさらなるトラウマを受けていることが多くあります。摂食障害などの対人関係療法による治療を希望されて三田こころの健康クリニックを受診し、トラウマ関連疾患と診断された方の中には、他の医療機関で人間としての未熟さ、性格的な問題とみなされ、深く傷つき、それがさらなるトラウマ体験となって悪循環に陥って苦しんでこられた方が少なからずみられます。
<現在行われている治療方法>
現在、アメリカ国立精神保健研究所により、トラウマ体験を繰り返し再現して直面化させることで、記憶(情動)に対する意識的な慣れ(馴化)を形成し、心身症状の条件づけを解消していく持続エクスポージャー療法、対人関係療法、リラクセーション法を比較する大規模研究が行われています。しかしながら、苦痛に耐える事が出来ない、解離性障害の合併、特に「対人トラウマ」に起因するトラウマの人は、持続エクスポージャー療法の脱落率が高いのも事実です。
一方、対人関係療法によるPTSD治療の先行研究では、脱落率の低さ、抑うつ気分、怒りの反応などの症状の改善、対人過敏など対人機能の改善が認められています。対人関係療法による治療はトラウマによる悪循環を打開し、トラウマ体験により失われた信頼感を回復し、生活全般への自信をつけていくことを目指していきますが、トラウマに伴う解離性障害に対しては残念なことにエビデンスが得られていません。
三田こころの健康クリニックでは、対人関係療法によるトラウマ/PTSDだけでなく、解離性障害に対しても積極的な治療を行っています。
2.「心身統合アウェアネス」を併用した「対人関係療法によるトラウマ/PTSDの治療」の受診方法
面接時間:50分/1回
面接回数:14~20回(併存疾患の種類により柔軟に対応)
<「対人関係療法によるトラウマ/PTSDの治療」の特長>
「対人関係療法によるトラウマ/PTSDの治療」は、なかなか治らない慢性のうつ病や摂食障害(過食症・拒食症)、生きづらさを感じている人や、対人関係が重要なテーマになる「対人トラウマ」を有する場合に最適な治療となります。
対人関係療法はトラウマ体験そのものではなく、現在の対人関係に焦点を当てて治療を進めるため、安心や安全を実感していくことにより自尊心や信頼感が回復する過程で、とくに対人過敏を中心とする不安・緊張や抑うつ感(回避・麻痺症状や覚醒亢進症状)などの良好な改善がみられます。
三田こころの健康クリニックでは対人関係療法に加えて、トラウマ体験の記憶想起(フラッシュバック)やトラウマ関連の身体症状に対して、身体感覚(フェルトセンス)への気付きを重視するプロセス・ワークやマインドフルネスなど、ボディ・サイコセラピーに基づく心身統合技法を併用しています。「心と身体の持つアウェアネス(叡智)」に注目し、すべての人の中に内在する自然治癒力(レジリエンス)やエネルギーをエンパワーメントすることで、トラウマ/PTSDだけでなく解離性障害に対しても、より安全なプロセス治療が可能となりました。
[※1]対人関係療法(Interpersonal Psychotherapy:IPT)とは
大うつ病性障害に対する期間限定の精神療法として開発され、現在では認知行動療法(CBT)と並んで科学的に効果が実証されたエビデンス・ベイストな精神療法の双璧をなしています。大うつ病性障害のほか、摂食障害(過食症・拒食症)、双極性障害(躁うつ病)、トラウマ/PTSD、不安障害などにも適応が拡大されています。
日本で「対人関係療法(IPT)」を専門に提供しているクリニックは、三田こころの健康クリニック(心療内科・精神科)の他、水島広子こころの健康クリニック、メンタルクリニックエルデの3クリニックのみですが、「対人関係療法によるトラウマ/PTSD治療」で「心身統合アウェアネス」の技法を併用できるのは、三田こころの健康クリニックだけであり、これによりトラウマ関連の解離性障害に対する対人関係療法による治療も可能となりました。
[※2]PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは
アメリカ精神医学会の診断基準DSM-IV-TRでは、トラウマ(心的外傷)とは「実際に命に関わるようなできごと(または重症を負うようなできごと)、あるいは自分または他人の身体の保全に迫る危機を、自らが体験したか、目撃したか、直面し、その人の反応は、強い恐怖、無力感、戦慄に関するものである。」と定義されています。
主症状は、1.再体験症状(フラッシュバックや悪夢、子どもの場合はトラウマを表現する遊びの繰り返し)、2.回避・麻痺症状(健忘、孤立感、感情の範囲の縮小、未来が短縮した感覚)、3.覚醒亢進症状(不眠、苛立たしさまたは怒りの爆発、集中困難、警戒心、驚愕反応)などが1ヶ月以上持続し、著しい苦痛をもたらしているか、生活上大きな支障をきたしていると定義されています。重症例や慢性例では周囲に対する注意の減弱(ぼうっとしている)、現実感消失、離人症、解離症状がみられ、幻聴や妄想がみられることもあり、統合失調症と誤診されることも多いのが現状です。
■三田こころの健康クリニック(対人関係療法専門:心療内科・精神科) 概要
診療所名: 三田こころの健康クリニック
標榜科目: 心療内科・精神科
所在地 : 〒108-0073 東京都港区三田2丁目11-7
藤和シティスクエア三田ノースウイング903
院長 : 生野 信弘
設立 : 2011年10月
URL : http://www.ipt-clinic.com/
診療時間: 火~金 10:00~14:00 15:30~19:30
土 10:00~15:30
休診日 : 月曜・日曜・祝祭日
クリニック概要:対人関係療法による治療専門クリニック
トラウマ関連疾患(PTSD[心的外傷後ストレス障害]を含む)、摂食障害(過食症・拒食症)、うつ病、慢性うつ病(気分変調性障害)、に対する対人関係療法、双極性障害(躁うつ病)に対する「対人関係・社会リズム療法(IPSRT)」などの専門的治療を行う完全予約制のクリニックです。
取材依頼・商品に対するお問い合わせに関しては
プレスリリース内にございます企業・団体に直接ご連絡ください。
記事掲載数No.1!「@Press(アットプレス)」は2001年に開設されたプレスリリース配信サービスです。専任スタッフのサポート&充実したSNS拡散機能により、効果的な情報発信をサポートします。(運営:ソーシャルワイヤー株式会社)