新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する 藍由来抽出物の不活化効果を確認 寿スピリッツ株式会社と奈良県立医科大学との 共同研究により実証
2021.01.06 15:00
寿スピリッツ株式会社(本社:鳥取県米子市、代表取締役社長:河越 誠剛)は、公立大学法人奈良県立医科大学及び一般社団法人MBTコンソーシアム協力のもと、藍由来抽出物が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の不活化※に効果があることを確認しました。
当社では、これまでも長く藍の研究を行い、近年では新たなポリフェノールを発見するなど、健康食材としての可能性に注目し、エビデンスの取得に注力し、いち早く産学連携を進めてまいりましたことから、この度の共同研究において、本結果を得るに至りました。
なお、使用している藍は、とくしま安2農産物(安2GAP)※の認証を受けたものです。
[注]
1.奈良県立医科大学(理事長・学長 細井 裕司):昭和20年4月設立、橿原市
2.MBTコンソーシアム(理事長 細井 裕司):医学的知識をすべての産業に投入してイノベーションを起こすMBT(Medicine-Based Town、医学を基礎とするまちづくり)の理念を達成するために設立された一般社団法人で、現在ほぼすべての業種から170社以上が参加。
3.ウイルスの不活化:ウイルスの感染性を失わせること
4.とくしま安2農産物: GAP(GoodAgriculturalPractice/農業生産工程管理)を導入し、「食品安全」に加え、「環境保全」や「労働安全」に配慮した優れた農業生産体制で生産された農作物。徳島県が検査・認定する制度。
藍由来抽出物による新型コロナウイルスに対する不活化効果の評価
[奈良県立医科大学 微生物感染症学]
◆研究目的
藍由来抽出物が持つ新型コロナウイルスに対する感染抑制能を明らかにすること。
◆試験ウイルス
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2;2019-nCoV JPN/TY/WK-521株)
新型コロナウイルスをVeroE2/TMPRESS2細胞に感染させ、細胞変性効果が確認されたものを回収し、濃縮・精製した。これを試験ウイルス液とし、試験まで-80℃のフリーザーに凍結保存した。
なお、SARS-CoV-2は国立感染症研究所より、VeroE6/TMPRSS2細胞は、国立研究開発法人医療基盤・健康・栄養研究所JCRB細胞バンクよりそれぞれ入手した。
◆試験内容
・ウイルス液100μlと試験品(1%または0.1%)100μlを表1の作用時間で接触させた。
なお、試験品は以下の通りである。
藍抽出物DIAION処理品:藍の地上部を熱水抽出し、DIAION HP-20カラムで糖、タンパク質などの夾雑物を取り除いた試料
藍由来ポリフェノール:上記の藍抽出物DIAION処理品をさらに精製し、4つの3,5,4'-トリヒドロキシ-6,7-メチレンジオキシフラボン配糖体を含む試料
・作用時間後に反応停止を行いVeroE6/TMPRSS2細胞に感染させ、ウイルス感染価を測定した。
表1 ウイルス感染値の推移
表2 ウイルスの不活化効果と減少率
・不活化効果(Mv)=log(Ct/C0)-log(Nt/N0)
=logCt/Nt Ct:コントロールt時間後の感染価
C0:コントロール0時間後の感染価
Nt:試験品t時間後の感染価
N0:試験品0時間後の感染価
・減少率=(1-1/10対数減少値)×100%
◆結果
表1~2に示した通り、新型コロナウイルスに対し、30分の接触で95%以上の感染価減少率を示したのは、藍由来ポリフェノール1%で7.00×104PFU/mL(減少率97.454%)、藍抽出物DIAION処理品1%で7.00×104PFU/mL(減少率97.454%)、藍抽出物DIAION処理品0.1%で5.00×104PFU/mL(減少率98.181%)であった。
◆まとめ
本試験で使用した藍由来抽出物のなかで、藍由来ポリフェノール1%、藍抽出物DIAION処理品1%、藍抽出物DIAION処理品0.1%は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に接触させることにより、不活化させる効果が見られた。これらを使用することにより、物質の表面についた新型コロナウイルスによる接触感染防止に有効であることが期待される。
なお空間に浮遊するウイルスへの効果、人体への影響については、検証を行っていない。
◆補足資料
検査の様子
検査の様子 2
徳島県産藍葉
藍の生産農場