コロナ離婚は本当にあったのか?!離婚ADR(民間調停)の現場...

コロナ離婚は本当にあったのか?! 離婚ADR(民間調停)の現場から令和2年の統計結果を発表!

~2020年6月は申立てが激増!コロナ禍が夫婦関係に及ぼした影響を考察~

法務大臣の認証を取得して活動するADR機関(民間調停機関)である「家族のためのADRセンター」(以下「当センター」、運営:一般社団法人家族のためのADR推進協会)は、今回、コロナ禍がいかに夫婦関係に影響を及ぼしたのか、令和2年の統計結果を発表いたしました。抜粋して紹介いたします。

離婚ADRの取扱い件数が全国一である当センターは、コロナ禍による自粛生活で、夫婦関係に大きくひずみが生じたことを実感する令和2年となりました。



<4月は申立て激減、6月は11倍の激増!9割が妻申立て。自粛生活中の妻に何が起こったのか>

令和2年申立件数

申立人男女比率(月別)

4月にピタっと止まった申立ては、いまだ緊急事態宣言が明けないGWに爆発しました。そして、そのほとんどが妻からの申立てでした。コロナ禍による自粛生活で妻に一体何が起こったのか。妻から語られたのは以下のような言葉です。


「私だって共働きでがんばっているのに、なぜ、増えた家事育児は私の負担なの?平等に分担したいけど話にならない」

「DV傾向のある夫のせいで息が詰まります。逃げ場がありません。いつも監視されているみたい…」

「モラハラ夫がリモート勤務で家の中がいつもピリピリ。私も子どもも息をひそめて生活しています」

「実家に帰りたくてもコロナで帰れない。パートも事実上のクビで賃貸アパートを借りるのも困難。八方ふさがりで別居すらできません」


世間では、コロナ禍で進んだリモート勤務により、夫が家事・育児を積極的に手伝ってくれるようになったという声も聞かれます。しかし、当センターの相談者はそうではありませんでした。相談内容を紐解いてみると、既にあったDVやモラハラ等、対等に話せないという力関係のひずみが、コロナ禍による自粛生活で離婚問題として顕在化したことが分かりました。

一方で、経済的な事情やコロナ禍による移動制限もあり、別居や離婚といった選択肢を取れない弱者の立場の方も増えました。その結果、申立総数は令和元年が111件に対し、令和2年は123件と微増にとどまりました。



<オンライン調停と対面調停の割合も3月を境に逆転>

対面調停とオンライン調停の実施比率

これまで遠方の場合のみ利用されていたオンライン調停が4月以降激増しました。緊急事態宣言が解除になった後、6月及び7月は一時的に対面調停も増えましたが、その後、一貫してオンライン調停が8割以上を占めています。


これまで、対面調停をスタンダードにしていましたが、コロナ禍以降、近隣の利用者であっても、オンラインと対面とを選択できるようにしました。その結果、以下のような理由でオンラインを選択する方が増えました。


・子どもを長時間預ける場所がないが、オンラインなら隣室でテレビなどを見せておける

・移動時間が確保できないが、オンラインなら対応可

・DV被害のため、相手と対面では顔を合わせたくないが、オンラインなら可


また、初回は諸々の不安から対面を選んだ当事者でも、次回以降、オンラインを選ぶ傾向が増加したため、8月以降、再度オンライン利用率が高まったと思われます。



<結論>

―コロナ禍はあくまで付随理由―

離婚理由として「自宅で一緒にいる時間が多くなり、耐えられなくなった」と語る人も多かったように思いますが、その中身を紐解いてみると、コロナ禍で仲が悪くなったというより、これまで蓋をしていた問題が顕在化したという側面が見えてきました。

もちろん、自粛生活によるストレスを受けるのは妻だけではありませんが、立場の弱い者により一層の負荷がかかり、瞬間的に妻からの申立てが激増したと思われます。

コロナ禍により、更に絆が含まった夫婦と、薄氷で持ちこたえていた夫婦が崩壊に向かうのと、二極化したのではないでしょうか。


―意外なニーズが明らかになったオンライン調停―

当初、オンライン調停に懐疑的だったり拒否的だったりする当事者もいました。相手の温度感を感じながら話がしたい、離婚するかもしれない大切な局面でオンラインでは伝えきれない、そういった気持ちからだと思います。

しかし、実際体験してみると、意外と対面と変わらない環境で協議ができることや、コロナ禍以外の様々なニーズをくみ取ることができた結果、現状においても約8~9割がオンライン調停となっています。家庭裁判所がパンク寸前の今、オンライン調停のニーズも見えてきました。


―コロナ禍でも変わらないこと―

令和2年、コロナ禍により生活様式が大きく変わり、夫婦が抱える問題も変化しました。しかし、夫婦問題の根底にあるのは不平等で偏った力関係が原因であることが多く、コロナ禍により問題が顕在化しやすくなったに過ぎないと感じています。

ADRを利用される方々は、夫婦ともに誠実に話し合って解決したいという姿勢をもっておられることがほとんどです。どんな世の中になるのか不確かなことばかりですが、人生の大切な節目に立ち会わせてもらう者として、今後も誠実さを大切に、質が高く利用しやすいオンライン調停を提供していきたいと思います。



■家族のためのADRセンター 概要

所在地     : 東京都千代田区霞が関3-6-14 三久ビル5階

代表      : 小泉 道子

設立      : 平成29年4月

法務大臣認証取得: 平成29年12月(認証番号153号)

事業内容    : 夫婦問題等親族間紛争に関するADR(民間調停)

URL       : http://rikon-terrace.com

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