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人生100年時代 未来ビジョン研究所が「新大人緊急調査」を実施  コロナのファクターX原動力は中高年“自己管理”パワー

行動自粛の契機は「緊急事態宣言」を上回る「テレビとの相乗効果」

人生100年時代 未来ビジョン研究所(代表:阪本 節郎)は、2020年6月11日~6月13日、及び、2021年3月19日~3月26日に、40-70代の中高年大人世代を対象として「コロナ過での行動」に関するインターネット調査を実施し、2021年4月12日に調査結果を発表いたしました。

いま、この世代は大きく変化し、高齢社会を大きく変えようとしています。2年後には、国民全体の平均年齢が50歳に達し、4年後には団塊ジュニア(真性)もすべて50代以上となって、日本の人口構造が劇的に変化します。それ以上に生活者の意識と行動が変化しています。新型コロナウイルスはさらにその変化を加速させています。


●新大人緊急調査 2021/03/19~26 全国男女 1,308s

●新大人調査   2020/06/11~13 全国男女 1,864s


直近の“コロナ第三波の直下”、“第一波・第二波の間”の2つの調査からそのことを明らかにして行きます。

コロナウイルスに関して、とくに日本の感染者数の少なさが世界からも注目されています。これを「ファクターX」として京都大学の山中教授をはじめとする研究もなされています。

これに対し、上記の当研究所の調査および公的データの分析から次のことが明らかになりました。


(1)「ファクターXの原動力」として40-70代「中高年大人世代」の自粛すなわち“中高年「自己管理」パワー”が日本の感染者数の少なさを生んだ。


(2)その行動自粛の契機は「テレビのワイドショー」が1位で、2位の「緊急事態宣言」を上回った。

「自己管理」は「テレビとの相乗効果」だといえる。


(3)中高年大人世代自身は自分たちだけではなく「(若者も含めた)全世代が頑張ったからだ」と認識し、40-70代の半数強が「日本人の誇り」だと思っている。


(4)「自己管理」自体も「自分のため」だけでなく「人に迷惑をかけたくない」という気持ちがある。

世界では、アメリカ、欧州各国、中国は50・60代ないし50・60代以上の感染者数が多い。



<日本で当初から60代以上の感染者が少なかった理由>

最初の感染者がダイヤモンド・プリンセス号で、60・70・80代の感染者が多く、それをテレビのワイドショーで見たために、この年代の最初の自粛行動を生んだとみられます。


「自己責任の米国」/国民皆保険がなく、最初の感染爆発時に診療がすすまず、感染拡大につながったとされます。「自己責任」は社会的リスクと隣り合わせといえるかもしれません。


「アジア諸国」/感染者数が少ないとされますが、台湾・韓国・中国など初期から強力な政府主導型。


「日本」/他国にはない「中高年大人世代」の自発的な“自助”としての「自己管理」。

この世代はポストコロナでも「マスク」と「ソーシャルディスタンス」を続けたいとしています。



<調査結果/コロナ禍での行動・行動を控えるようになったキッカケ>

日本では、「中高年大人世代」の「自己管理」が徹底されています。40-70代では6月時点(第一波・第二波の間)で9割強とほとんどの人が新型コロナウイルスで、消費や外出・旅行などの行動を控えるようになりました。我慢していることとしては、1位「人に会うこと集まること」、2位「旅行」、3位「レストラン」、4位「街に出ること」、5位「商業施設やデパート」と「人と会うこと」「不要不急の外出」を控えるという自己管理を徹底させています。男女別にみると女性がやや高いといえます。


消費や外出・旅行などの行動を控えるようになりましたか、という質問には、40-70全体で、93.3%が控えたと答えました。男女別では女性が96.6%と相対的に高いといえます。年代別には、40代94.0%、50代91.0%、60代93.8%、70代94.4%と大きな差はなく、ひとしなみに行動を控えていることがわかりました。

我慢していることとしては、1位「人に会うこと集まること」62.8%、2位「旅行」58.4%、3位「レストラン」55.7%、4位「街に出ること」54.9%、5位「商業施設やデパート」51.8%とそれぞれ半数以上の割合で我慢をしています。男女別には、やはり女性が相対的に高く、年代別には年代が上がれば上がる程高く70代が最も高い傾向にあるといえます。


図1


直近3月(第三波直下)の調査で、「40-70代が行動を控えるようになった要因」としては、「テレビのワイドショー」が1位となり、2位の「緊急事態宣言」を上回りました。3位は「ネットニュース」、4位が「政府や自治体のテレビを通じたお知らせ」、5位が「新聞記事」と、「テレビ」の力の大きさが、示されました。また、デジタル志向がこの年代でもあらわれているのと同時に、新聞記事も合わせた既存マスメディアも力になったことがわかりました。

この影響力が最も高い「テレビのワイドショー」で「参考にしている」のは、「感染症医療専門家」が圧倒的に高いといえます。2位が「感染症以外の医療専門家」で、これに3位「キャスター・アナウンサー」が続いています。

1位「テレビのワイドショー」は全体で56.8%と半数以上の人がそれによって行動を控えたとしていて、42.8%の2位「緊急事態宣言」を14%も上回りました。年代別にみると、「テレビのワイドショー」も「新聞記事」も70代が最も高いのですが、「テレビのワイドショー」に関しては、40代もやや高い、といえます。「ネットニュース」に関しては、40・50・60・70代と年代別にほぼ同レベルであることが特徴的です。「ワイドショー」で参考にしいるのは、「感染症医療専門家」が67.3%ときわめて高く、年代別には60・70代が74%と最も高くなっています。これは、その年代が新型コロナ感染により敏感だということにも起因していると思われます。


図2


<公的データ分析結果>

日本は、第一波、第二波、第三波を通じて、60代以上の感染者が少ないといえます。

東京都(左下図)では、第一波は50代以上も比較的高めですが、その収束期の6月からは50代以上の感染者は少なくなりました。上図で50代は60代以上に比べると全体にやや高いのですが、それでも他の年代よりは低めとなる傾向がみられます。

人口(右下図)との比較でみると人口の少ない20代、30代と人口の多い50・60・70代で人口と感染者数が反比例していることがわかります。そのことが世界各国(次頁)との大きな違い、とみられます。「中高年大人世代」の「自己管理」がこの結果を生んだといえます。

第三波が最も感染者数が高いわけですが、第一波、第二波を通じて、60代以上の感染者数は少ないといえます。第一波の東京都の月別年代別感染状況の推移をみると50代以上の割合は、5月の計49%に対して、第一波収束期の6月は計18%と少なくなっています。上図で50代は、60代以上に比べると、感染者が全体にやや増加しがちですが、それでも他の年代に比べると低めとなる傾向があります。第三波ではそれまでに比べ高齢者全体の感染者数もその初期には増えましたが、中盤から後半では自粛に転じたといえます。


図3


現在、世界で最も感染者数が多いのは、アメリカですが、感染爆発の初期において、65歳から74歳が年代別では最も高くなっています。その後も50-64歳は年代別で2位の高さであり、64-75歳は低くなっていますが、人口の割合いに比例しているといえ、人口の割合と反比例している日本とは大きな違いといえます。

また、感染初期から深刻なイタリアをはじめ欧州各国における60代以上の感染者数の割合は、日本の約2倍あります。そもそもコロナウイルスは最初に中国で爆発的に感染者が増大しましたが、その中国では60代が20・30代よりも高く、40代と同レベルで、年代別では、50代が1位、60代が2位となっています。


図4


<調査結果/感染者数少なさ要因・自分が変わったこと・コロナ後の心がけ・日本人としての誇り>

日本の感染者数の少なさの要因として、40-70代の当事者世代は、「国民(全世代)が頑張ったから」がダントツの1位となっています。2位が「医療機関ががんばったから」であり、3位が「国民(主に中高年大人世代)が頑張ったから」ですが、3位はかなり低いといえます。当事者世代は自分たちが頑張ったのではなく、若い世代を含めた全世代が頑張ったと思っているといえます。

「国民(全世代)が頑張ったから」はとくに70代が高いといえます。「国民(中高年大人世代)」も70代が高いといえますが、前者のほうが圧倒的に高いことがわかります。


図5


「新型コロナウイルスで自分自身が変わったこと」のなかで、「人に迷惑をかけないようにしたいと思った」が40-70代の1位となりました。一般に中高年世代は自分がかからないようにしたい、と思うので「自己管理」をすると思われがちですが、必ずしもそれだけでなく、「他人に移したくない」という気持ちも強いといえます。移す対象は同世代もあるでしょうが、若者や子供もあるとみられます。

「人に迷惑をかけないようにしたいと思った」は40・50・60・70代の年代差があまりなく、各年代を通じてほぼ同レベルでそう思っているといえます。


図6


ポストコロナで気をつけたいことの1位は「外出の際のマスク」71.1%、2位は「ソーシャルディスタンス」58.4%。ごく一部に高齢者のカラオケ感染が見られ話題にもなりましたが、圧倒的多数の中高年大人世代は、「マスク」と「ソーシャルディスタンス」というニューノーマルの基本的な行動を自発的にしようとしています。とくに女性が高いといえます。

男女別では、「マスク」女性79.3%、男性63.0%と16.3%の差があり、「ソーシャルディスタンス」で女性64.5%、男性52.3%と12.2%の差があります。女性のほうによりその意識が高いといえます。また年代別では、下図のグラフにあるように40代と50代がほぼ同水準で、60代、70代と年代が上がるにつれて高くなる傾向があります。


図7


コロナ禍での医療従事者に対しては、「頭が下がる」「よく頑張ってくれた」がほぼ同率1位、「もっと報酬などで報いてあげたほうがいい」が3位、「医療従事者がいたからなんとかしのげた」が4位です。その他のネガティブな見方についてはゼロに近い回答といえます。

「頭が下がる」は年代が下がるほど上昇傾向にあり40・50代が最も高いといえます。これに対し、「よく頑張ってくれた」は、年代が上がるほど上昇傾向にあり、70代がとくに高いといえます。これは、40・50代が医療従事者と同年代であるのに対し、60・70代とくに70代は患者になりがちであり、その違いがでていると思われます。


図8


日本の感染者数の少なさについて、40-70代の半数強の52.2%が「日本人として誇りに思う」と答えています。年代別にはあまり差がみられませんが、男女別にみると、ここでも女性が高いといえます。その要因(ファクターX)が、まだよく見えなくても日本の感染者数が少ないという結果については「日本人として誇りを持ちたい」あるいは「持ってもいいのではないか」という気持ちの強さがあらわれている、といえそうです。調査結果にみるように「行動の自粛(自己管理)」自体が9割強の高さだとすれば、「みんなが頑張った行動を誇りに思いたい」という気持ちのあらわれとみることもできそうです。

全体の「非常にそう思う」12.8%「ややそう思う」39.4%を加えると、52.2%と半数を超えます。男女別では、女性で「非常にそう思う」14.6%「ややそう思う」44.4%の計が59.0%、男性で「非常にそう思う」10.9%「ややそう思う」34.5%の計が45.4%と女性のほうが13.6%高くなっています。


図9


<調査概要(1)>

調査対象 :40-70代男女

対象エリア:全国

対象者数 :1,308サンプル

調査手法 :インターネット調査

調査日時 :2021年3月19日(金)~3月26日(金)


<調査概要(2)>

調査対象 :40-70代男女

対象エリア:1都3県(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)および

      全国中小都市(首都圏、熊本市・岡山市以外の政令指定都市、

      岩手県・宮城県・福島県を除く)

対象者数 :1,864サンプル

調査手法 :インターネット調査

調査日時 :2020年6月11日(木)~6月13日(土)



■「人生100年時代 未来ビジョン研究所」(未来ビジョン研)について

「人生100年時代 未来ビジョン研究所」は、2020年4月に設立されました。高齢化がグローバルに進行するなか、世界諸国に先駆けて急速な高齢化の進展するわが国ですが、この人口構造の劇的変化に伴い社会構造も大きく変化して行きます。とりわけそのベースとなる40-70代の生活者の意識・行動が大きく変わろうとしています。これは企業のビジネスやマーケティングにも大きな影響を及ぼし、社会政策等にも大きな変化をもたらします。この中高年大人世代を「新しい大人」ととらえ、これまでにない、新たな時代の扉を多くの人たちや企業とともに開いて行く、そのための研究および事業開発を行っています。


[所長プロフィール]

阪本 節郎

東京都出身。1975年早稲田大学商学部卒業。(株)博報堂入社。プロモーション企画実務を経て、プロモーション数量管理モデル・対流通プログラム等の研究開発に従事。その後、商品開発および統合的な広告プロモーション展開実務に携わり、企業のソーシャルマーケティングの開発を理論と実践の両面から推進。2000年エルダービジネス推進室創設を推進。2011年春、発展的に「博報堂新しい大人文化研究所」を設立。2019年4月 独立し、人生100年時代 未来ビジョン研究所を設立、現在、所長。



■著書

「巨大市場『エルダー』の誕生」(プレジデント社2003年7月、共著、2007年台湾版・2009年韓国版出版)

「団塊サードウェーブ」(弘文堂2006年1月、共著)

「団塊の楽園」(弘文堂2007年2月、共著)

「50歳を超えたらもう年をとらない46の法則」(講談社α新書2014年9月)

「世代論の教科書」(東洋経済新報社2015年10月、共著)

「シニアマーケティングはなぜうまくいかないのか~新しい大人消費が日本を動かす」(日経新聞出版社2016年3月、2016年韓国版・2018年台湾版出版)


図10


■マスコミへのコメント・出演

日経・読売・朝日・産経・日経MJ・ビジネスアイ・日経ビジネス・アエラ・週刊朝日・ワシントンポスト・ウォルストリートジャーナル・M&Mヨーロッパ・CNN・NHK総・NHK教育・テレビ朝日 他


<コラム連載執筆>

●日経MJ新聞「阪本節郎の『新大人』学」(2014.04-2017.03)

●日経新聞「読み解き現代消費」(2014.04-2017.12)



■エルダー関連の公官庁・マスコミ等の委員会委員

<これまでの経歴>

●総務省 高齢者障害者ICT利活用研究委員会

●厚生労働省 介護保険制度下におけるシルバーサービスの振興ビジョン調査研究事業研究委員会

 団塊世代を活用した健康長寿のまちの展開方策に関する調査研究事業研究委員会

●静岡県 しずおかユニバーサルデザイン推進委員会

●互助会保証株式会社(経済産業省揚力)冠婚葬祭産業の中長期展望検討委員会

●日本BS放送 放送審議委員会

●高齢・障害者雇用支援機構「エルダー」編集アドバイザー会議委員


人生100年時代 未来ビジョン研究所ホームページ

https://www.miraivision.net



<問い合わせ先>

Email : setsuo.sakamoto@miraivision.net

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