日本人による政府や企業などに対する信頼度は、コロナ禍でさらに低下
~すべての情報源への信頼が過去最低レベルに急落 ジャパン・ブランドに対する信頼度も、自他ともに下落~
エデルマン・ジャパン株式会社(東京都港区、代表取締役:メイゲン・バーストウ) は本日、世界 28カ国*、約33,000 人を対象に実施した信頼度調査「2021 エデルマン・トラストバロメーター」の日本の調査結果を発表しました。調査は2020年10月19日から11月18日にかけて実施されました。
今年の調査結果からは、コロナ禍前に実施された昨年の調査結果で上昇傾向にあった、日本人の政府、企業、メディア、NGO/NPOに対する信頼度が、全体として低下に転じたことが明らかになりました。信頼度指標「トラスト・インデックス」(国民の自国の政府、企業、メディア、NGO/NPOに対する信頼度の平均値)は、昨年より2ポイント低下し、40ポイントとなりました。
(*調査は28カ国で実施しましたが、有効回答数が不十分な1カ国は結果に反映せず、27カ国によるデータを集計)
◆菅政権発足後も、政府への信頼度は引き続き低下―海外からの日本政府への信頼度は比較的高い
日本人の自国の政府に対する信頼度は37%で、前年比で6ポイント低下したことが明らかになりました。2020年5月に発表した「2020 エデルマン・トラストバロメーター 中間レポート(5月版):信頼とCOVID-19パンデミック」(調査対象11カ国、調査実施期間:2020年4月15日~4月23日)では、新型コロナウイルスによるパンデミックの状況下において、各国で自国政府に対する信頼度の記録的な上昇を見せる中、日本は唯一信頼度が低下しました(-5ポイント、38%)。そして、2020年9月の菅政権発足後に行われた今回の調査において、政府に対する信頼度は回復することなく引き続き低下しています。
しかし、今回初めて他国の政府に対する信頼度を調査したところ、海外からの日本政府に対する信頼度は27カ国平均で56%となり、カナダ64%、ドイツ61%、オーストラリア60%に次いで高い信頼度を記録する結果となりました。国別に見ると、日本政府に対する信頼度が6割を超えているのは27カ国中12カ国で、最も高いのがインドの85%、最も低いのが韓国の16%でした。
◆情報源に対する信頼度は急落、日本人は他の調査対象国と比較して「情報衛生」状態が悪い
パンデミックがインフォデミックを引き起こし、真偽の定かでない情報が溢れる中、全ての情報源に対する信頼度は過去最低レベルにまで急落しました。日本人の検索エンジンに対する信頼度は前年比で12ポイント低下して40%となり、トラディショナルメディアに対する信頼度は9ポイント低下して32%と過去最低を記録、ソーシャルメディアに対する信頼度は9ポイント低下して23%、オウンドメディアにおいては14ポイント低下して21%となり、2018年以来となる信頼度が最も低い情報源となりました。
今回の調査では、初めて人々の「情報衛生」の状態についても調査しました。4つの基準を設けて測定し、1)ニュースを積極的に収集しているか、2)エコーチェンバー現象*を避け、自分とは異なる考え方を取り入れているか、3)情報の真偽を確かめているか、4)不確かな情報を拡散していないか、を調べました。本調査によると、この4つのうち3つを実施しており、情報衛生の状態が「良い」とされた日本人回答者は19%にとどまり、27カ国平均の26%を下回りました。一方で、4つのうち1つしか実施していない、もしくは何も実施していない、情報衛生の状態が「悪い」とされた日本人は56%で、27カ国平均の39%を大幅に上回りました。
(*自分の興味関心に近いコミュニティや情報源ばかりにアクセスすることで、自分の主義主張と似た意見や情報ばかりが流入する現象)
◆ジャパン・ブランドに対する信頼度の低下が顕著に
エデルマンが調査した4つの組織や機関の中で、日本では企業に対する信頼度は依然として最も高いものの、 前年比で3ポイント低下し46%となりました。各産業に対する信頼度も、コロナ禍で現在企業が直面する課題を反映してか、全ての業界において大幅に下落しました。
本拠地別のグローバル企業に対する信頼度を見ると、日本企業に対する信頼度は27カ国平均で60%と比較的高く、スイス、ドイツ、カナダ、オーストラリアに次ぐ5位に位置しています。しかし、その信頼度は前年比で8ポイント低下しており、調査対象国の中で最も大きな下落を見せていることが懸念されます。また、日本人が最も信頼しているのはジャパン・ブランドであることに変わりはないものの、日本人の日本企業に対する信頼度は14ポイントも急落し、調査史上最低の50%となりました。国別に見ても、日本企業に対する信頼度は、27カ国中24カ国において低下しています。
◆最も信頼されている「自分の勤務先」の新たな使命
不確実性が高まっている世界において、より身近なものを信頼する傾向は続いており、「自分の勤務先」に対する信頼度は、日本では60%、27カ国平均では76%と、最も信頼されている組織としての地位を維持しています。また、情報源としても「自分の勤務先」が最も信頼されており、日本人回答者の66%が、雇用主から発信される情報であれば、1~2回、目にするだけでその情報を信じると答えています。この結果は27カ国平均の61%を上回っているだけでなく、情報源としての政府(58%)、トラディショナルメディア(57%)、ソーシャルメディア(40%)の信頼度をも上回っています。
コロナ禍の状況は人々の優先事項にも変化をもたらしています。雇用主に対する期待も変化しており、日本において昨年から重要度が最も高まったのは「従業員との定期的なコミュニケーション」で、次いで「従業員と顧客の安全を守る」でした。個人的な重要度の変化を調べたところ、日本では「メディアリテラシーと情報リテラシーを高める」が最も高く、27カ国平均では「自分の家族とそのニーズを優先する」でした。
本調査からは、企業が信頼を獲得する最大の機会は、実証された正確な情報のみがシェアされ伝わるように情報の質を監視することにあるという結果になっています。また、日本人回答者の41%、27カ国平均では53%が、メディアに対する信頼度が急落し、情報の破綻が起きている今、企業がその情報の空白を埋めるべきだと期待しています。
エデルマン・ジャパンの代表取締役社長、メイゲン・バーストウは次のように述べています。「企業と企業のリーダーには新たな使命があり、日本そして世界において社会的課題の解決を主導していくことが求められています。注目すべきは、雇用主は既に従業員からの高い信頼を得ており、大きなチャンスと責任があるということです。企業は、この信頼を基盤として、従業員の声に耳を傾け、その期待に応えることで、信頼をまずここから育てていくことが重要だと考えます。」
エデルマン・トラストバロメーターについて
「エデルマン・トラストバロメーター」は、今年で21年目となるグローバルな信頼度調査です。本調査はエデルマンの調査部門であるEdelman Data & Intelligenceが、2020年10月19日から11月18日にかけて、オンライン調査を実施して集計しています。調査対象は、6,100人の知識層を含む、28カ国の約33,000人です。知識層とは、25歳から64歳で学歴が大卒以上、世帯収入が各国の同世代と比較して上位25%以内、少なくとも週に数回はビジネスや公共政策に関するニュースを見たり読んだりしているか、そうした情報に関心を持っている層を指します。詳細は、https://www.edelman.com/trust/をご覧ください。
エデルマンについて
エデルマンは、企業や組織のブランドとレピュテーションをEvolve, Promote, Protect (進化、促進、保護)するためのコミュニケーションサービスをグローバルに展開しています。世界60都市を超える拠点に所属する約6,000人の社員が、お客様がステークホルダーから信頼を獲得し、確信をもって行動できるよう、コミュニケーション戦略を提供しています。カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルにおけるPR部門のグランプリ受賞をはじめとし、Advertising Age誌の2019年A-List、Holmes Reportの2018年Global Digital Agency of the Yearに選ばれ、GlassdoorのBest Places to Workにもこれまで5度選出されています。1952年の創業以来、変わることなく非上場のファミリー企業であり続けるとともに、専門性の高いサービスを提供するために、リサーチに特化したEdelman Data & Intelligenceや、エンターテイメント、スポーツ、ライフスタイル分野に特化したUnited Entertainment Groupを保有しています。詳細は www.edelman.jpをご覧ください。
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