GSアライアンスが3Dプリンター用の 天然バイオマス系生分解性樹脂インクを開発
2021.08.04 10:30
GSアライアンス株式会社(脱炭素社会構築のための環境、エネルギー分野の最先端材料、技術を研究開発する化学会社)の田中 大貴 研究員と森 良平 博士(工学)は、天然バイオマス由来の3Dプリンター用のインクを開発しました。
セルロース系生分解性樹脂で作成した3Dプリンター成形品
人口爆発が原因の1つともなっている地球温暖化、気候変動、海洋や環境中のマイクロプラスチック問題を含む環境破壊は深刻になりつつあり、生態系を破壊する壊滅的なレベルになりつつあります。地球温暖化の主な原因となっているCO2は、石油由来の化学製品を生産、消費することによりますます増えていきます。カーボンニュートラルの天然バイオマス由来の化学製品を使用することは、大気中のCO2をこれ以上増やさないための1つの手段です。20世紀から人類が生産、消費してきた石油由来の化学製品の代表的なものはプラスチックであり、現在では海洋や環境中のマイクロプラスチックの原因として大きな問題になっています。GSアライアンスは、これまで100%天然バイオマス系生分解性プラスチック、樹脂、コーティング材料、色材インク、塗料などを開発してきました。この度、当社は天然バイオマス系の生分解性樹脂製3Dプリンター用のインクを開発しました。
3Dプリンターにおいて、熱溶解積層方式(FDM方式)の場合は、熱で溶ける樹脂を細長い紐状にした、フィラメントと呼ばれる素材を使用します。フィラメント素材としては熱可塑性樹脂が用いられます。用いられる熱可塑性樹脂としてはABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂やPLA(Poly Lactic Acid)樹脂が最も一般的でしたが、耐候性の強いASA (Acrylate Styrene Acrylonitrile)、樹脂、耐熱、耐薬品性の強いPP(Polypropylene)樹脂、PC(Polycarbonate)樹脂やナイロン樹脂、その他アクリル樹脂、PETG (Glycol-modified PET)、熱可塑性ポリウレタン、金属なども3Dプリンターで造形できるようになっています。
3Dプリンター用のフィラメント素材を石油由来ではない、生分解性樹脂にするという観点から製品を開発した研究開発は最近始まった感がありますが、GSアライアンスは、当社のセルロース系生分解性樹脂をフィラメント素材として開発しました。
厳密には既に使用されているPLA樹脂が天然バイオマス系生分解性樹脂ではありますが、PLA樹脂はトウモロコシなどの人間の食糧にもなるバイオマスから作られていることに課題があります。その点、当社の開発したセルロース系生分解性樹脂製のフィラメント素材は、人間の食糧にはならない非可食性の天然バイオマスであるセルロースを主成分としているので、環境にも人間の食糧問題に対しても有利になります。
GSアライアンス株式会社は脱炭素社会に向けた具体的な技術(本件を含めた石油由来化学製品を置き換えるための天然バイオマス系化学製品群、次世代型二次電池、燃料電池、太陽電池、人工光合成や量子ドット、金属有機構造体などの最先端材料)を提供することをビジョンとしており、UNIDOのプラットフォームであるSTePPやWIPO GREENなどの国連関連機関に登録されている技術もあります。またGSアライアンスは現在、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指すスタートアップ企業として採択されており(UNOPS GIC KOBE)、国連機関の支援の下、国内外の事業展開を進めており、引き続き、世の中の石油由来の化学製品を天然バイオマス由来に置き換える努力を続けていきます。
【会社概要】
商号 : GSアライアンス株式会社(Green Science Alliance Co., Ltd)
(冨士色素株式会社グループ)
代表者 : 代表取締役 森 良平 博士(工学)
所在地 : 〒666-0015 兵庫県川西市小花2-22-11
事業内容: 脱炭素社会構築のための環境、エネルギー分野の最先端材料、
技術の研究開発
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