大和ハウス工業とNTT Com、IoTを駆使した物流施設のDXを推進

~マルチテナント型物流施設「DPL新富士II」において熱中症、インフルエンザの発生リスクを見える化する「倉庫環境監視IoTソリューション」を運用開始~

 大和ハウス工業株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:芳井 敬一、以下 大和ハウス工業)とNTTコミュニケーションズ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:丸岡  亨、以下 NTT Com)は、大和ハウス工業が開発したマルチテナント型物流施設(※1)「DPL新富士II(※2)」において、熱中症、インフルエンザの発生リスクを見える化するNTT Comの「倉庫環境監視IoTソリューション」(以下 本ソリューション)を、2021年8月23日より運用開始します。

 本ソリューションの導入は、テナント企業が安心・安全に利用できる物流施設の実現を目指し2020年12月に実証実験を行った、AIによるマスク着用および混雑度判定(※3)に続く両社の取り組みです。


1. 背景

 大和ハウス工業は、物流のDX化を加速するために、2021年7月、建築事業本部内に「物流DX推進グループ」を新設し、デジタル技術の活用による物流ソリューションの提案を推進しています。

 NTT Comは、事業ビジョン「Re-connect X(TM)」にもとづき、お客さまのDXを支援するサービスやソリューションを提供することでニューノーマルの世界におけるサステナブルな未来の実現に貢献しています。

 両社は、本ソリューションを「DPL新富士II」に導入することで、マスク着用に伴う体温上昇によりリスクの高まりが指摘されている熱中症や、冬に流行時期を迎えるインフルエンザの発生リスクを見える化することで、テナント企業がこれまで以上に安心・安全に利用できる物流施設の実現を目指します。

 

2. 本ソリューションの特長と「DPL新富士II」におけるユースケース

 本ソリューションは、施設内の温度や湿度など環境データを測定するセンサーとIoTプラットフォーム「Things Cloud(R)」(※4)を活用し熱中症やインフルエンザの発生リスクをリアルタイムに見える化するものです。リスクの段階に応じて、テナント企業・管理者が施設内の温度コントロールや換気を行うことで、熱中症やインフルエンザの発生リスクを未然に低減することができます。

 本ソリューションで使用するセンサーは、一定照度以上であれば光を動力に駆動するため電池交換が不要です。また、センサーは、無線通信機能を備えているため、施設内のレイアウトを変更することなく導入可能です。「DPL新富士II」におけるユースケースは以下の通りです。


(1)熱中症の発生リスク見える化

 施設内に設置されたWBGTセンサー(※5)が環境データを測定するとともに、熱中症発生リスクを示す暑さ指数(※6)を算出します。算出した暑さ指数を「Things Cloud(R)」で収集・蓄積し、「ほぼ安全」・「注意」・「警戒」・「厳重警戒」・「危険」の5段階でモニターに表示します。また、リスクの段階に応じてテナント企業、管理者に対しアラートメールを送付します。

 

(2)インフルエンザの流行リスク見える化

 施設内に設置された温湿度センサー(※7)が環境データを測定します。測定したデータを「Things Cloud(R)」で収集・蓄積の上、インフルエンザ流行リスク指数(※8)を算出し、「ほぼ安全」・「注意」・「警戒」の3段階でモニターに表示します。また、リスクの段階に応じてテナント企業、管理者に対しアラートメールを送付します。


<本ソリューションのイメージ図>


<モニター表示例>

熱中症発生リスクの表示例 

インフルエンザ流行リスクの表示例


3. 今後の展開

 両社は、本ソリューションの継続的な改善に取り組むとともに大和ハウス工業が運営する全てのマルチテナント型物流施設への導入を検討します。また、物流施設内のサーキュレーター(※9)やシャッターと本ソリューションを連動させ室内環境を自律的に制御し最適化する仕組みの構築や、AIなどの先進技術を活用した物流施設のさらなる高付加価値化、維持運用メンテナンスの省力化、SDGsへの対応に向けた検討を進める予定です。

 

(※1):マルチテナント型物流施設とは、複数のお客さまが入居できる物流施設のことです。

(※2):「DPL新富士II」の概要は以下の通りです。

 所在地:静岡県富士市厚原1699-1

 交通:新東名高速道路「新富士インターチェンジ」より約0.8km

 敷地面積:44,161.87平方メートル(13,358.96坪)

 延床面積:99,202.78平方メートル(30,008.84坪)

 構造・規模:プレキャスト・プレストレストコンクリート造 免震構造 地上4階建て

 設計・施工:株式会社安藤・間

 着工日:2018年11月15日

 竣工:2020年4月28日                               

「DPL新富士II」外観:


(※3):関連する報道発表は以下の通りです。

マルチテナント型物流施設「DPL市川」においてAIを活用した実証実験を開始(2020年12月)

https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2020/1203.html

(※4):「Things Cloud(R)」は、NTT Comが提供するIoTプラットフォームの名称です。デバイス接続からデータ収集、可視化、分析、管理などIoTの導入に必要な機能・プロセスを、ノンプログラミングで簡単・短期間に実現できる機能やテンプレートを提供します。

(※5):WBGT(Wet-Bulb Globe Temperature)センサーとは、環境データを測定するとともに、暑さ指数を算定するセンサーです。

(※6):暑さ指数とは、日射や地面からの照り返しによる熱の暖かさを示す黒球温度、大気中に含まれる水蒸気が飽和する温度を示す湿球温度などを元に算出する熱中症発生リスクを示す指標です。31℃以上で「危険」、28~30.9℃で「厳重警戒」、25~27.9℃で「警戒」、21~24.9℃で「注意」、21℃未満で「ほぼ安全」を示します。

(※7):温湿度センサーとは、温度と湿度を測定する機能を備えたセンサーです。

(※8):インフルエンザ流行リスク指数とは、空気に含まれる水蒸気の質量を示す絶対湿度によりインフルエンザの流行リスクの高さを示す指標です。絶対湿度が7g/平方メートル以下で「警戒」、7g/平方メートルを越え11g/平方メートル以下で「注意」、11g/平方メートルを越え17g/平方メートル以下で「ほぼ安全」を示します。

(※9):サーキュレーターとは、空気を循環させる装置のことです。


関連リンク

・「Things Cloud(R)」Webサイト

https://www.ntt.com/business/services/ai-iot/iot/things-cloud.html

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