~2012年夏 トレンドウォッチレポート~ 今年も節電の夏で、食のクールビズ拡大中! 「冷やしごはん」去年本格デビューした冷やし系メニュー 人気の「冷やしごはん」を大調査
2012.06.06 14:00
女性とメディアに特化したマーケティングを手がけるトレンダーズ株式会社(東京都渋谷区)は、去年に続き節電が呼びかけられる今年の夏の食トレンドとして、去年ブレイクした「冷やしごはん(冷たい米飯)」に注目。今回は、内食と外食の両方に注目し、5つの視点から分析しレポートします。
今年の夏も、去年に続き電力の供給不足が報じられ、節電の夏となりそうです。去年は東京など関東エリアだけの節電でしたが、今年の夏は沖縄をのぞく全国に拡大され、地域により15%もの節電が求められるなど、日常生活での徹底した節電対策が求められます。
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ウーロン茶の梅茶漬け
今年も節電の夏となることが予想される中、食品メーカーや外食店では、早くもさまざまな「冷やしメニュー」が登場しています。今年は「泡が凍ったビール」や「冷たいカップラーメン」など、去年以上にユニークな「冷やしメニュー」が話題になっており、一層の賑わいを見せています。
「冷やしメニュー」の中でも、カラダを内からクールダウンさせ、料理でも熱をあまり使わない節電対策メニューとして、去年登場した「冷やしごはん」は、手軽で誰でも取り組める“食のクールビズ”として、今年はさらに注目されそうです。
トレンダーズでは、(1)主婦の意識調査 (2)一般家庭での実態 (3)トレンド評論家の予想 (4)飲食店の夏限定メニュー (5)料理研究家のレシピ提案 という5つの視点から、2012年夏のトレンドキーワードとして「冷やしごはん」をレポートにまとめました。
■レポート内容
視点1 主婦調査 「冷やしごはん」認知率は7割!主婦の支持も!
視点2 一般家庭 余り物を賢く活かす、家族にも好評のエコメニュー!
視点3 トレンド評論家 牛窪恵さんに聞く、「冷やしごはん」拡大の理由&今年の夏の予測!
視点4 飲食店 外食店でも続々登場!夏限定「冷やしごはん」メニュー!
視点5 料理研究家 松田美智子先生が教える、夏バテ防止&おもてなし絶品レシピ!
~ 500人の主婦「冷やしごはん」調査 ~
■視点1 主婦調査 「冷やしごはん」認知率は7割!主婦の支持も!
2011年から節電傾向が続いていますが、2012年の夏も96.6%の主婦が「節電意向」を示し、節電を意識する家事は、1位が「洗濯」(28.9%)、僅差で「料理」(21.6%)が2位に選ばれており、そのうち75.5%が「調理時間が短いメニューを選ぶ」と答えています(出典「モバイル電子チラシサイトのシュフモ:2012年主婦の全国節電調査」)。
去年夏の節電メニューとしてクローズアップされた「冷やしごはん」メニュー。今年の夏、主婦たちは「冷やしごはん」メニューをどう活用するのか、調べてみました。
<調査概要>
●調査対象:20代~40代の既婚女性500名
●調査期間:2012年4月10日(火)~12日(木)
●調査方法:インターネット調査
<調査総括>
1)主婦の約7割(69.8%)が「冷やしごはん」を使ったメニューを認知。
2)去年、「冷やしごはん」メニューを食べた主婦は3人に1人(30.9%)。ダントツ人気は「冷やし茶漬け」(81.4%)。
3)「冷やしごはん」メニュー、「去年」初めて食べた主婦が約半数(48.5%)。うち8割(80.9%)は「今年も食べたい」!
4)約7割が「冷やしごはん」メニューを「他人に勧めたい」(66.0%)。涼しいし、簡単だし、夏バテにも効くし、おいしい。
5)もうすぐ夏の定番メニュー!? 3人に1人(36.2%)が定番化を予想。
◆主婦の約7割が「冷やしごはん」を使ったメニューを認知
去年の節電対策やスーパークールビズ対応の夏メニューとして、飲食店や家庭で登場した「冷やしごはん」ですが、主婦たちの約7割が「知っている」(69.8%)と回答しています。節電による暑さ対策メニューとして「冷やしごはん」は多くの主婦から認知されています。
◆去年、「冷やしごはん」を食べた主婦は3人に1人。ダントツ人気は「冷やし茶漬け」
「冷やしごはん」を使ったメニューを知っていると答えた主婦(349人)の中で、去年、「冷やしごはん」を食べた主婦は30.9%と3人に1人。
また「冷やしごはん」メニューを食べた場所は「飲食店」(17.6%)よりも「家庭」(89.8%)が圧倒的に多く、自分なりに工夫したオリジナルの「冷やしごはん」を手作りして食べていることがわかります。
どのような「冷やしごはん」を食べたかをあげてもらうと、家庭では「冷やし茶漬け」(81.4%)が圧倒的に多く、次いで「冷やしカレー」(15.5%)、「冷やし雑炊」(14.4%)が続きます。また、飲食店でも家庭と同様に「冷やし茶漬け」(31.6%)がトップで、「冷やしカレー」(21.1%)、「冷やしカツ丼」「冷やしクッパ」(同率15.8%)、「冷やしリゾット」(10.5%)の順となりました。
◆「冷やしごはん」を「去年」初めて食べた主婦が約半数。うち8割は「今年も」食べたい!
「冷やしごはん」をはじめて食べた時期を聞くと、約半数が「去年」(48.5%)と答えており、去年をきっかけに始まった夏の新しい食トレンドであることがわかります。
一方、冷や汁など伝統的な郷土料理などでしょうか、「10年以上前」(17.5%)から食べている人も少なくありません。
「冷やしごはん」は、夏食のトレンドであると同時に、日本人にとってはどこか懐かしさを感じるメニューであることから、受け入れられやすいのかもしれません。去年初めて食べた人の約8割が「今年も食べたい」(80.9%)と望んでいます。
◆人に勧めたい「冷やしごはん」。涼しいし、簡単だし、夏バテにも効くし、おいしいし。
「冷やしごはん」を食べた人に、他人に勧めたいかどうかを聞くと、約7割が「勧めたい」(66.0%)と答えています。その理由をみると、「涼しさ」(64.6%)や「手軽さ」(53.8%)だけでなく、「食欲が落ちたときにも効果的」(44.6%)という機能性や、食の楽しみである「おいしいから」(43.1%)という理由から勧めたいという人が約半数もいます。
◆夏の定番メニュー入り!? 「冷やしごはん」でおいしく夏を乗り切れ!
最後に、主婦全員を対象に「冷やしごはん」を使った料理は、夏の定番料理になりつつあるかどうかを聞いたところ、約4割が「定番になりつつある」(36.2%)と答えています。夏の暑さ対策に、節電対策に、おいしく夏を乗り切るお手軽メニューとして、今年の夏も「冷やしごはん」はますます人気を博しそうです。
~ 一般家庭の「冷やしごはん」実態 ~
■視点2 一般家庭 余り物を賢く活かす、家族にも好評のエコメニュー!
夏の新・定番食として、主婦層から支持されている「冷やしごはん」。実際どんなメニューが作られているのでしょうか。普段のメニューとして「冷やしごはん」を作っている主婦歴8年の岩崎さんと、主婦歴4年の中村さんに、家庭でよく作る「冷やしごはん」を紹介していただきました。
◆同じ食材でもひと工夫で大変身。軽く食べたいプチ夜食にもおもてなしメニューにも
<残り物から賢いエコメニューへ。「冷やしごはん」のイメージが向上>
去年の節電と暑さ対策をきっかけに、「冷やしごはん」をつくるようになった岩崎さん。「以前は残り物とか手抜きとか恥ずかしいイメージがあったけれど、今はエコの一環で残り物の有効活用です」と、「冷やしごはん」の活用に積極的です。
<残り物をひと手間かけてオシャレメニューにアレンジ 主婦の知恵>
大のアボカド好きの岩崎さん。「冷やし茶漬け」は残ったごはんにクリームチーズ、アボカド、明太子、刻みのり、鰹節をのせ、冷たい麦茶をかけた和洋折衷スタイルで、「夜、子どもたちを寝かしつけたあとのほっとするひととき。ちょっと小腹が空いたときにさらさらと食べる定番メニュー」だそうです。
「アボカドカップのせ冷やしごはん」は、特売の時にまとめ買いしたアボカドを主役にした「冷やしごはん」メニューです。同じ角切りにしたクリームチーズ、アボカド、鰹節と「冷やしごはん」を混ぜたものを、半分に切ったアボカドに盛りつけ、市販のタマネギドレッシングをかけます。角切りのマグロを和えるとボリュームもあり、見た目もキレイでご主人からの評判も上々。残り物にはとても見えない、おもてなしのひと皿として活躍してくれるメニューです。
◆離乳食中のママにオススメ!赤ちゃんもママも「冷やしごはん」なら手軽でおいしく
<離乳食と自分のごはんが一緒に作れる。ママも助かる「冷やしごはん」>
「離乳食を作りながら、一緒に自分のごはんを作ることが目下の課題」という中村さんは、先月1歳を迎えた赤ちゃんのママ。今回の「冷やしごはん」も、離乳食と自分の食事との同時調理という課題から誕生したメニューなのだそうです。
<ママ友にも人気「冷やしごはん」 味付けをかえてパパにも好評>
「冷やしごはんの納豆レタキュウ茶漬け」は、離乳食に使う冷えたごはんと納豆に、レタス、キュウリ、市販のお茶漬けのもとにお茶をかけたもので、赤ちゃんと2人の昼ご飯によく登場するそうです。昼ごはんに納豆を食べるママはとても多く、ママ友に教えてあげたところ、とても好評だったそうです。
「冷やしごはんのほうれん草オムライス」は赤ちゃん用の離乳食メニュー。赤ちゃんが味のない白ごはんと熱い卵焼きのどちらも食べてくれなかったとき、一緒にすれば食べてくれるかも、と思いつき誕生したメニューです。ほうれん草入りの卵を丸く焼いて、上に冷えたごはんをのせて卵で包んだ簡単メニューですが、赤ちゃんも完食。今ではご主人用に味付けしたメニューも好評だそうです。「白ごはんを食べない赤ちゃんは多いので、離乳食中のママにぜひ」と中村さん。ほうれん草の代わりに、小松菜やシラス、チーズでもおいしいそうです。
~ トレンド評論家の「冷やしごはん」予想 ~
■視点3 トレンド評論家 「冷やしごはん」拡大の理由を分析&予測!
今回の調査では主婦の約4割が「冷やしごはん」は夏食として定番化しつつある」と予想していますが、トレンドウォッチャーのプロはどう見ているのでしょうか。マーケティングライターで世代・トレンド評論家の牛窪恵さんに、「冷やしごはん」の動向についておうかがいました。
◆今年の夏は、去年以上に「冷やしごはん」が注目される
今年の夏は、去年並みか例年と同じぐらいの暑さが予想されています。また、節電による“暑い夏”は、去年以上にエリアが拡大し、全国規模になると見込まれています。“冷やし”がこの夏の重要なキーワードになることは確実で、「冷やしごはん」は去年以上に注目されるはずです。
◆飲食店で夏のイベント食として冷やしメニューが拡大。夏の話題として情報ネタにも積極活用
外食においても、「冷やしごはん」はさらに充実するでしょう。
かつて、オフィスが冷えすぎて夏におでんが売れる時代もありましたが、最近は、節電による暑いオフィス環境のため、涼しいメニューが人気となっています。また、今の消費者はイベント感を大切にするので、季節限定メニューが人気です。たとえば、「冷やし中華、はじめました」のポスターを見ると、夏が来たと実感しつい食べたくなるように、「冷やし○○」というメニューは、消費者の気持ちをくすぐり、お財布のひもを緩める効果を持っています。
さらに、夏限定の「冷やしごはん」は、通常のメニューに比べるとマスコミなどで紹介されやすいことから、集客施策としても有効で、ツイッターやフェイスブックなど個人の情報発信ネタにもなりやすい。野村総合研究所によると、ソーシャルメディアでネタにするために何かを消費する「ネタ消費」の経済効果は、3,400億円市場だそうで、お店側も積極的に、夏限定の「冷やしごはん」メニューを仕掛けてくることが予想されます。
◆食の既成概念にとらわれない若者たち 冷やしメニューの拡大と底上げを牽引
この夏は、家庭内の「冷やしごはん」も登場頻度が高くなりそうですが、若者層と主婦層では、「冷やしごはん」に対する意識が少し違っているようです。
まず若者層は、食に対する既成概念に縛られていないので、「冷やしごはん」への抵抗感がほとんどありません。
例えば、上の世代には「カレーは温かいごはんと温かいルーで食べる」、「お茶漬けは熱いお湯で食べる」といった共通認識があり、「冷やしごはん」には“冷や飯”と呼ばれるネガティブなイメージがあります。
しかし、若者世代は、ごはんは温かくなければというこだわりが弱いので、レトルトの白かゆを温めずにそのまま食べるなど、「温める手間がかからなくて楽だし、冷たいほうが夏は食べやすくていいじゃん」と受容。「冷やしごはん」メニューのバリエーションを増やし、底上げにつながっているようです。
◆家族の健康管理と節電対策 「冷やしごはん」の賢いイメージが、主婦の気持ちをがっちりキャッチ 冷やしで賢く(cool & clever)がキーワードに
主婦の場合は、若者ほど簡単ではありません。主婦も外で働くことが一般的となり、掃除や洗濯にかける時間や手間はどんどん省力化されています。しかし、料理だけは手抜きをすることに罪悪感を感じ、家族のためにひと手間かけることが良しとされています。とは言え、「30分以上調理することは苦行」という主婦の言葉に代弁されるように、料理にも手間暇をかけたくないのがホンネです。このジレンマを解消してくれるのが、『節電の夏、カラダを中から冷やして暑い夏を乗り切るための「冷やしごはん」』という大義名分です。「冷やしごはん」が節電による暑さ対策であり、家族の健康を気遣うメニューとして位置づけられることで、「冷やしごはん」の持つ手抜き感や罪悪感が薄れ、“賢い選択”となり、“冷やしで賢く cool & clever”が主婦たちの気持ちにヒットしたようです。
◆食卓の余り物を上手に活用できる エコノミー&エコロジーな「冷やしごはん」
食卓の余り物を有効活用できる点も主婦にうれしいポイントです。食品を捨てることに罪悪感を感じる主婦にとって、余り物で手軽にできる「冷やしごはん」はお助けメニュー。時間のない朝も「冷やしごはん」なら前日の余り物で手軽に食べられ、昼ごはんは、もともと余った食材をうまく食べきるタイミングなので「冷やしごはん」に最適です。
余り物をうまく活用できるエコノミー&エコロジーな「冷やしごはん」メニューの需要度はかなり高いと思われます。
◆「冷やしごはん」は家族円満にも貢献!? 家族のタイムラグ食にもおいしく対応
一方、夕食での「冷やしごはん」は、余り物活用というよりは、家族がバラバラにごはんを食べる時間差食べの需要が大きいと思います。温める必要のないごはんや食材をキッチンに用意しておけば、家族が自分の都合で自由に食べられるので、お互い気を遣わずに食事ができます。夜中の電子レンジの“チン”という音は、寝ている家族を起こしてしまうので、「温め直しはしない」お父さんが意外と多いもの。
温める必要のない「冷やしごはん」なら、お父さんの小腹を満たすとともに、家族の安眠を妨げないタイムラグ食、家族円満メニューと言えるのかもしれません。
◆この夏のヒット予想 つけだれスタイルの「冷やしごはん」メニューがブレイクしそう
この夏ヒットしそうな「冷やしごはん」のスタイルは、ごはんの上に色々な食材をのせ、つけだれをかけて食べる「ごはん版冷やし中華」的なものではないでしょうか。つけだれの味を変えることで、同じ食材でも食べ飽きずおいしくいただけるような食べ方提案です。
冷たいごはんにはレジスタントスターチという食物繊維のような働きをする成分ができ、ダイエットにも期待できるということですが、このような健康価値や栄養的なトピックスが世の中的に認知されると、「冷やしごはん」の正当性も高くなり、積極的に食べる人たちも増えると思います。
◆ロウワーミドル層の食卓需要にもマッチ 「冷やしごはん」がグローバル食市場を変える!?
社会的に世帯年収300万円台のロウワーミドル層が増えており、20代では正社員に限っても、約7割がロウワーもしくはロウワーミドルです。これらの世帯からは余り物を有効活用でき、節約メニューにバラエティ感を出せる調味料や食べ方提案が求められています。
この層へのアプローチは、アジア市場にも適用できることから、食品メーカーの取り組みも過熱し、市場はかなり大きなものになると予想できます。今は徐々に広がりを見せている「冷やしごはん」メニューですが、もしかすると、グローバル食マーケットを開拓する食提案になるかもしれません。
◆牛窪恵(うしくぼ・めぐみ)さん
世代・トレンド評論家。マーケティングライター。有限会社インフィニティ代表。東京女学館大学講師。大学卒業後、大手出版社、フリーライターを経て、2001年、マーケティングを中心に行う有限会社インフィニティを設立。現在、「日経ウーマンオンライン」「日経消費ウオッチャー」「日経エコロジー」「プレジデント」「AERA」ほかに連載、定期寄稿中。「おひとりさま(マーケット)」(05年)、「草食系(男子)」(09年)は、新語・流行語大賞に最終ノミネートされた。NHK総合「サキどり↑」、テレビ朝日「あさナビ」「モーニングバード」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」ほかでコメンテーター等を務めている。トレンド、マーケティング関連の著書も多数。12年5月に『「ゆるオタ君」と結婚しよう!~AKB男は夫向き?』(講談社)が発売された。
~ 人気飲食店の、今年の夏限定の「冷やしごはん」メニュー ~
■視点4 飲食店 外食店でも続々登場!夏限定「冷やしごはん」メニュー
去年のトレンドレポートで紹介した飲食店の冷やしメニュー。今年もさらにパワーアップして、夏限定の冷やしメニューが続々誕生しています。都内の人気飲食店の夏限定「冷やしごはん」をご紹介します。
◆奄美鶏飯冷やし茶漬け
奄美・薩摩料理 麹蔵 有楽町晴海通り店
東京都千代田区有楽町1-6-4 千代田ビルB1F
03-5510-5577
http://www.koujigura.jp
平日 ランチ11:30~14:30 ディナー16:30~23:30
土・日・祝 ランチ11:30~14:30 ディナー14:30~23:30
薩摩軍鶏や鹿児島産黒豚など地物素材を使った島料理がサラリーマンに人気の「麹蔵」。今回の「奄美鶏飯冷やし茶漬け」(ランチ、ディナーとも1,260円/9月上旬までの期間限定)は、奄美のおもてなし料理として有名な「鶏飯(けいはん)」を熱々スープではなく冷やした鶏ガラスープをかけていただきます。鶏肉、錦糸卵、パパイヤの浅漬け、九条ネギ、煮椎茸、青さのりと具材もたっぷり。「豪華なお茶漬け、おもてなしスタイルを冷たいスープですがすがしく、暑い時期に食がすすみますよ」と料理長の石川さん。今年から始めた夏の新メニューですが、お客様からの反応も良く、早くも人気上昇中。「麹蔵」姉妹店でも実施中です。
◆氷リゾット ~9種の夏野菜とグリルチキンのスープ仕立て~
N_1155
東京都目黒区中目黒1-1-55
03-3760-1001(N_1155) 03-3708-7400(N_7110)
http://www.n1155.jp
平日 ランチ11:30~14:30L.O. ディナー18:00~22:30L.O.
日・祝 ランチ11:30~15:00L.O. ディナー18:00~22:30L.O.
土曜日ランチと月曜日定休
去年に続き今年も登場の夏限定冷やしリゾット。今年は野菜の種類を増やし、トマトペーストで味付けだしをかき氷状にして盛りつけることで、見た目の涼感も演出。アンチョビと合わせた玄米ごはんに、トマト、きゅうり、ナス、茗荷、とうもろこし、サニーレタス、ベビーリーフ、鶏肉をのせた「氷リゾット ~9種の夏野菜とグリルチキンのスープ仕立て~」(ランチ、ディナーともに1,300円予価)。契約農家から届く食材をいちばんおいしい組み合わせで提供するので、日により食材が変わるところもリピーターにはうれしいサプライズ。「だしを氷状にしているので冷たさが保たれ、節電の暑さ対策にも最適です」と料理長の熊谷さん。夏にクールな美容食です。
◆エビと夏野菜の冷製豆乳リゾット
C’s fort(シーズフォート)
東京都港区北青山3-9-2 AQUA1F
03-6427-4600
http://csfort.fumotoya.com
11:00~22:00 定休日なし
ワンコインランチやお総菜が人気のデリスタイルのカフェ「C’s fort」の冷やしごはんは、雑穀米にエビ、パプリカ、ズッキーニをのせ豆乳をかけて仙台味噌を溶きながら食べる和洋折衷スタイル。店長の中山さんが、去年、被災地支援に行った先の農家の方に教えていただいた「水ごはん」をカフェ風にアレンジしたメニューです。温かいごはんは洗うことで、冷たくさらさらになり、冷やしごはんによく合うのだそう。「味の決め手は仙台味噌。自分で味噌を溶きながら食べるという新しい食べ方提案です」と中山さん。自分仕様の味付けが楽しめる目にも鮮やかな「エビと夏野菜の冷製豆乳リゾット」(500円)は、9月上旬までの期間限定メニューです。
◆贅沢6種のネバトロ冷やし茶漬け
酒菜庵 ちゃぼうず
東京都中央区銀座1-4-6 ナスダビル2F
03-3567-0007
http://r.gnavi.co.jp/a510200
月~金 17:00~24:00
土 17:00~23:00
日曜定休
*姉妹店
・串揚げ×鉄板焼 ちゃぼうず
・鶏かじ一杯 ちゃぼうず
旬の食材とおいしさを最大限に生かす調理法。人気の銀座の隠れ屋割烹「酒菜庵 ちゃぼうず」。女性の夏の三大トラブルである、夏バテ、冷え、むくみに効果があるネバネバ食材(もずく、山芋、おくら)と、海草のアオサを寒天で固めたものを氷に見立て、鰹のだし汁をかけ、いくらと沢庵の食感も楽しめる「贅沢6種のネバトロ冷やし茶漬け」(980円)は、9月上旬までの期間限定メニュー。「女性2~3名でシェアできるボリュームなので、女子会の〆メニューにもオススメ」と総料理長の萩原さん。姉妹店でも総料理長考案の冷やし茶漬けが召し上がれ、「ちゃぼうず冷やし茶漬けラリー」を実施。3店舗の冷やし茶漬け制覇で、素敵な特典がもらえます。
~ 料理研究家 松田美智子先生直伝「新・冷やしごはん」レシピ ~
■視点5 料理研究家 夏バテ防止&おもてなし絶品レシピ!
身近な材料で手軽に作れる「冷やしごはん」ですが、手軽さゆえに、マンネリしがちで手抜きに見えがち。そこで、料理研究家の松田美智子先生に、新しい「冷やしごはん」レシピを教えていただきました。
◆ちょっとした工夫で、「冷やしごはん」がさらにおいしくいただけます
「冷やしごはん」は、簡単で楽でおいしいことが魅力です。火を使わずに手軽にでき、余った食材を上手に使い切れます。また、栄養や彩りも工夫でき、おもてなし料理にもなるので、夏の暑さ対策におすすめの食べ方です。
一品目は、梅干しを使った冷やし梅茶漬けです。梅干しを叩いてじゃこと合わせたトッピング味噌は、夏の常備菜として冷蔵庫に作り置きしておくと、ごはんやお刺身などにも使えて便利です。梅干しのクエン酸は夏バテ防止に効果的な成分ですが、大葉やショウガと合わせると、食欲増進にも役立ちます。じゃこの他、干物や明太子などうまみ成分が出る食材を使うと、おいしくなる上に、タンパク質補給で夏バテ防止効果が高まり、残り物もうまく使い切れて一石三鳥です。塩味が足りなければ醤油を使うのも良いでしょう。緑茶は時間がたつと色が悪くなってしまうので、お湯で茶葉から入れたウーロン茶を冷やして使うのがオススメです。他にも、麦茶や番茶でもおいしくいただけると思います。お酒を飲んだ後の〆にもよく合います。今回は黒米と丸麦を加えた雑穀ごはんで作りましたが、白米ごはんに比べると食感も楽しめ、栄養価も高くなります。雑穀は、キビやアワなど粘りがあるものと麦のように粘りがないものがあるので、うまくブレンドしてお使いください。
◆ウーロン茶の梅茶漬け
●材料(1人分)
梅干し(種を取って果肉をたたいたもの)…大さじ1
じゃこ…大さじ2~3
大葉(洗って千切りにしたもの)…1/2束
ショウガ(みじん切りにしたもの)…大さじ1
きゅうり(5mmの角切り)…1/2本
土鍋で炊いた雑穀ごはん…お茶碗1杯
白ごま…適宜
ウーロン茶…適宜
●つくり方
1.梅干しの果肉を叩き、じゃこ、大葉の千切り、生姜のみじん切りを合わせて、トッピングみそを作ります。
2.冷やしごはんに、1.のトッピングみそ、きゅうりの角切り、白ごまたっぷりをのせ、冷たいウーロン茶をかけて、ごはんと具材をよく混ぜていただきます。
◆女子会やママ会に彩りも鮮やかな“食べるガスパチョ”旬の野菜をたっぷりと!
二品目は、トマトやゴーヤなど夏野菜がたっぷりとれるガスパチョ風スープとごはんを合わせた、おもてなしメニューにもなる一品です。トマトは90%以上が水分なので、塩と合わせることでたっぷりの汁が出ます。今回は塩の代わりにナンプラーを使うことで、うまみ成分も加わり、ダシや調味料を使わなくてもおいしく仕上がります。
ナンプラーがないときには、醤油や味噌で代用できます。ゴーヤのかわりにキュウリ、ナスのかわりにセロリなど、旬の夏野菜でアレンジしてみてください。また、ツナのかわりに生ハムやサラミ、アボカドを入れたり、オリーブオイルやパルメザンチーズもよく合います。くりぬいたトマトに詰めて出せば、よりパーティー風に演出できます。
彩りもキレイな洋風スープごはんですが、汁ものに香りを添え、味を引き立てる和食の「吸い口」(お茶漬けにおけるわざびの役割)に見立て、割コショウを添えています。ピリっとした辛みがアクセントになり、おいしさを引き立てます。
◆食べるガスパチョごはん
●材料(1人分)
大きめのトマト…1個
ゴーヤ…1/4本
ナス…1/2本
ミョウガ…1本
ツナ缶(小)…1/2缶
ごはん…お茶碗1杯
ナンプラー…大さじ1
タバスコ…お好みで
天然塩、こしょう…適宜
●つくり方
1.トマトは皮と芯をのぞいてざく切りにします。ゴーヤは半分に切りワタを取って半月状の薄切にし、塩をふり水分が出たら軽く押さえます。ナスも半月型の薄切り、塩をふり水気が出たら絞ります。ミョウガも縦半分にし薄切りにして水にさらし、ペーパータオルで水気を絞ります。ツナ缶は油を切っておきます。
2.ナンプラー、こしょう、タバスコと1.を合わせ、室温で30分ほどおき、トマトの水分を出してスープ状にします。
3.ごはんは、ざるでさっと洗いぬめりを落とし水気を切り、2.のトマトソースをかけて、よく混ぜていただきます。
◆松田先生直伝「冷やしごはん」メニューをおいしくする、ひと工夫メモ
●ごはんは土鍋で炊く
土鍋で炊いたごはんは、冷えても固くならず、ごはんの甘みがあり、ねばねば感もなく、「冷やしごはん」に最適です。
炊飯器で炊いたごはんを使うときは、ざるに入れ、木べらでごはんをひと粒ずつばらばらにする感じで水洗いして使います。
●食感を工夫する 3つの食感でおいしさアップ
「3つ以上の食感があるとよりおいしくなる」というのは料理業界の定説で、世界のエル・ブジも認めています。サラサラと食べるお茶漬け風の「冷やしごはん」でも、じゃこやごま、あられなどを入れて食感の変化を楽しみ、おいしさをアップさせましょう。
●ジュレやみぞれ仕立てで涼感と新鮮さをプラス
「冷やしごはん」に氷を入れるとき、水ではなくお茶やスープで作った氷を使うと味が薄まりません。また、スープをゼラチンで固めてジュレ風にしたり、凍らせてみぞれ風にしてごはんにかけていただくのも、見た目も涼しげでおいしさもアップします。
●おいしく魅せるプチテク
丼を使う場合は天高に盛り、器に対してごはんをめいっぱい盛らない方がおいしく見えます。器も冷蔵庫で冷やしておくと、より冷たさが楽しめます。また、色のキレイなメニューはガラスの器を使い、見た目の涼しさと彩りを楽しみましょう。
◆松田美智子(まつだ・みちこ)先生
料理研究家。日本雑穀協会理事、テーブルコーディネーター、女子美術大学講師。大学卒業後、ホルトハウス房子先生に師事し、各国の家庭料理を学びながら、日本料理、中国家庭料理も学ぶ。93年より「松田美智子料理教室」を主宰。季節感を大切に、お洒落で作りやすい料理づくりを心掛け、「楽しく作って、美味しく食べて、体も心も健康」をモットーとする。最近は、日本のスローフードをテーマに、素材の味、風味を活かした理にかなった調理法を追求中。現在、メニュー開発、システムキッチンの開発、料理本やエッセーの執筆、雑誌、テレビ、CM出演、講演やパーティープロデュースなど、多岐にわたって活動中。12年5月に『定番ごはん20セレクション』(さくら舎)が発売された。