30~79歳の女性に聞いた「『働くこと』に関する意識実態調査」 ~世代間で異なる、理想の働き方と現実のギャップを浮き彫りに~
2021.11.09 11:00
女性誌部数No.1(※1)の「ハルメク」を発行する株式会社ハルメク(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:宮澤 孝夫)生きかた上手研究所と、在宅ワークをはじめ、自分らしい働き方を希望する女性向けのコミュニティサイトを運営している株式会社キャリア・マム(本社:東京都多摩市、代表取締役:堤 香苗)は、30~79歳の女性470名を対象に「『働くこと』に関する意識実態調査」をWEBアンケートにて実施いたしました。
(※1)日本ABC協会発行社レポート37.3万部(2020年7月~12月)
【調査サマリ】
■世代共通で多かった働く理由は「社会とつながりを持ちたい」「自分で自由に使えるお金が欲しい」。世代別でみると、30~40代は「生活」「貯蓄」「育児・家事・介護から離れたい」、50代は「生活」「貯蓄」、60代は「健康」のためが目立つ。
→「現在、働いている理由」全体平均でのTOP3は、「社会とつながりをもちたいから」「現在の生活のためにお金が必要だから」「生活にメリハリをつけたいから」。
■「現在の働き方に満足している人は全体の6割超。60代以上では、50代以下と比較して満足度が高い。
→「満足している」理由は、30~50代では「家庭との両立が無理なくできている」等が、60代以上では「自分の知識や経験を活かせる」「人とのつながりが感じられる」等が見られた。一方、「満足していない」理由では、「もっと働きたい(収入を得たい)」と、「もっと自由な時間が欲しい」の両方が挙がった。
■「働く時間」の現実と理想にギャップがある人は全体の66.7%。その内容は年代で異なり、30~40代では「現実<理想」、50代では「現実>理想」となった。
→30代・40代では「現実<理想(仕事に当てている時間が理想より少ない)」の割合が他年代より高かった(30代:70.0%、40代:48.1%)。一方、50代では「現実>理想(理想よりも多くの時間を仕事に当てている)」の割合が39.0%と他年代比で高かった。なお、「現実=理想(ギャップがない)」割合が最も高かったのは60代で、48.8%だった。
【調査背景】
内閣府「男女共同参画白書 令和3年版」によれば、2020年の15~64歳女性の就業率は70.6%であり、2000年の56.7%から13.9ポイント上昇しています。また、社会の高齢化に伴い65~69歳女性の就業率も上昇傾向にあります(2000年:25.1%、2020年:39.9%)。このように、女性が働くことが当たり前になった一方で、家事・育児・介護等家庭と「働くこと」の両立に悩む女性も少なくありません。
そこで、ハルメク 生きかた上手研究所と株式会社キャリア・マムは、「働くこと」の実態、「働くこと」に対する意識(理想の働き方、働く理由等)が年代で異なるのではないかという仮説に基づき、30~70代女性を対象に、「『働くこと』に関する意識実態調査」を共同で実施しました。
※調査主体の「株式会社ハルメクホールディングス 生きかた上手研究所」所長 梅津 順江、「株式会社キャリア・マム」代表取締役 堤 香苗への取材、コメント提供も可能です。
【調査概要】
調査の方法:WEBアンケート
調査の対象:30~79歳の女性 470名(回答者属性については後述)
調査実施日:2021年9月24日~9月28日
調査主体 :株式会社ハルメクホールディングス 生きかた上手研究所・株式会社キャリア・マム
※本リリース内容を掲載いただく際は、出典「ハルメク 生きかた上手研究所・キャリア・マム調べ」と明記をお願いいたします。
◇ 世代共通で多かった働く理由は「社会とつながりを持ちたい」「自分で自由に使えるお金が欲しい」。
◇ 世代別でみると、30~40代は「生活」「貯蓄」「育児・家事・介護から離れたい」、50代は「生活」「貯蓄」、60代以上は「健康」のためが目立つ。
・「現在、働いている理由」TOP3は、「社会とつながりをもちたいから」「現在の生活のためにお金が必要だから」「生活にメリハリをつけたいから」。
・年代別に見ると、30~40代は「生活のため」「貯蓄のため」「育児・家事・介護から離れたい」、50代は「生活のため」「貯蓄のため」、60代以上は「健康のために頭を使いたい」「健康のために外出したい」が相対的に多い。
現在、働いている理由
■現在、働いている理由(年代別、上位10位)
30~79歳 現在働いている女性(複数回答):322名
現在、働いている理由(年代別、上位10位)
◇ 現在の働き方に満足している人は全体の6割超。
◇ 60代以上では、50代以下と比較して満足度が高い。
・現在の働き方に「満足している」割合は、全体で63.4%。
・50代以下の各年代では「満足している」割合が6割未満なのに対し、60代では78.0%、70代(※参考値)では83.3%と、満足度が相対的に高い。
・満足度に対する回答理由を見ると、「満足している」回答者では、30代~50代で「家庭との両立が無理なくできている」等が、60代以上で「自分の知識や経験を活かせる」「人とのつながりが感じられる」等が見られた。一方、「満足していない」回答者ではその理由として、「もっと働きたい(収入を得たい)」と、「もっと自由な時間が欲しい」の両方が挙がった。
現在の働き方に対する満足度
注:30代、70代はn数が少ないため参考値である。
■現在の働き方に対する満足度の回答理由(自由記述から抜粋)
30~79歳 現在働いている女性:322名
<現在の働き方に対する満足度>
●満足(「満足している」「やや満足している」)
<記述概要>
・家事・育児を中心としながらも、自分が今まで勉強してきた知識を生かした仕事ができているからです。(30代後半、在宅ワーカー)
・働く時間、家族との時間をしっかり区切って生活ができているから。(40代前半、契約・嘱託社員)
・仕事、家事、自由な時間を自分で決めて、スケジュールを組めるので満足している。(50代後半、在宅ワーカー)
・持っている知識と経験がすべて活かされる内容の仕事だから。(60代前半、契約・嘱託社員)
・人との繋がりで自分の気持ちも潤っているから(70代前半、パート・アルバイト)
<現在の働き方に対する満足度>
●不満(「満足していない」「あまり満足していない」)
<記述概要>
・無理なく働くことを第一に考えていましたが、明らかに収入の面で問題があります。(30代後半、パート・アルバイト)
・もう少し働きたいが、扶養内という制限があるから(40代後半、パート・アルバイト)
・業務的に物足りなくなってきている。(50代前半、パート・アルバイト)
・年齢を感じ疲れてきているから(60代前半、正社員)
・もっと自由な時間が欲しいから(60代後半、自営業・自由業)
◇ 「働く時間」の理想と現実にギャップがある人は全体の66.7%。
◇ その内容は年代で異なり、30~40代では「現実<理想」、50代では「現実>理想」。
・1日24時間を100%とした場合の「働く時間の割合」について、「理想」と「現実」のギャップを算出した結果、「現実>理想」の人は全体の27.6%(n=89)、「現実=理想(ギャップがない)」人は33.2%(n=107)、「現実<理想」人は39.1%(n=126)。全体の66.7%で、「働く時間」の現実と理想にギャップがあった。
・働く時間の理想と現実のギャップは年代差が大きく、30~40代では「現実<理想(仕事に当てている時間が理想より少ない)」の割合が他年代比で高かった(30代:70.0%、40代:48.1%)。一方、50代では「現実>理想(理想よりも多くの時間を仕事に当てている)」の割合が39.0%と他年代比で高かった。なお、「現実=理想(ギャップがない)」の割合が最も高かったのは60代で、48.8%だった。
1日における「働く時間」の割合:現実と理想のギャップ
注1:「現実」の割合については、「現在あなたの、金銭的な対価をともなう仕事の割合は、1日24時間を100%とした場合、何%ですか?」という設問で、「理想」の割合については、「理想的なあなたの金銭的な対価をともなう仕事の割合は、1日24時間を100%とした場合、何%ですか?」という設問で聴取した。
注2:30代、70代はn数が少ないため参考値である。
【専門家の見解】
ハルメク 生きかた上手研究所 所長 梅津 順江(うめづ ゆきえ)
2016年3月から現職。主に年間約900人の50歳以上のシニア女性を対象にインタビューや取材、ワークショップを実施
ハルメク 生きかた上手研究所・所長・梅津 順江氏
株式会社キャリア・マム 代表取締役 堤 香苗(つつみ かなえ)
学生時代からフリーアナウンサーとして活動し、2000年8月に株式会社キャリア・マムを設立。結婚や出産に関わらず、仕事と家庭のどちらも大切に自分らしく働きたい女性たちに働く機会を提供することを志し、株式会社キャリア・マムを設立。内閣府「女性のチャレンジ支援賞」ほか、受賞歴多数。
株式会社キャリア・マム 代表取締役 堤 香苗
「働く理由」の年代差の背景にあるのは、制約の有無や世代の価値観。
女性が働くコツは、多様性としなやか(柔軟)さ。そして、したたかさもあわせ持つこと。
梅津:「現在、働いている理由」の1位は「社会とつながりをもちたいから」でした。日本の女性は、家庭や地域など閉ざされた社会のウエイトが高いと考えられます。そのため、女性は限られた社会だけでなく、別のコミュニティにも属したい、刺激が欲しいという欲求があると読めました。働くことで、家庭や地域では得られない所属欲求、承認欲求を満たしたいのではないでしょうか。堤社長はどのように受け取られましたか?
堤:経営者の視点から見ると、「仕事が好きだから」の割合が低かったのが残念でした。働く女性が年代問わず「仕事が好き」と思えるよう、企業が就業者に、お金以外でどんな価値を提供できているのか、提供すべきなのかを考えさせられました。
梅津:「現在、働いている理由」では、30~40代は生活や貯蓄のため、60~70代は健康のためと、年代差が明確に出ましたね。若い世代は育児等、色々な制約があり、自分のことだけ考えていられないのでしょう。対して60代以上は、自分の体のことが第一になります。仕事は頭を使える、生活リズムを保てるきっかけになります。年代差についてはいかがでしょう?
堤:今の60代以上は、専業主婦が一般的な女性の生き方だった最後の世代といえます。そうした世代の時代背景も、30~40代と比較して「働いている理由」の切迫感が少ない理由の1つかもしれませんね。今の30代以下は、「共働きで、子育ても夫婦で行う」というライフスタイルを当たり前だと思っています。もし10年後に同じ調査をしたら、結果は大きく変化するのではないでしょうか。
梅津:定期的に観測していったら面白そうですね。今回の結果から、女性の働き方は「ゆるやか」「バリバリ」の対比でみる時代ではなくなってきたと改めて感じました。「そこそこ」「時々」「だましだまし」など、働き方が多様になってきたということでしょう。そしてずっと同じパターンではなく柔軟に変化していっていい。まさに「プチダイバーシティ」です。
堤:私は「流され上手」になる働き方を推奨していきたい。働いていると色々なことがあるし、自分をとりまく環境も変わっていきます。そんな時、変化する状況に流されないように踏ん張ると疲れてしまう。あまり真面目に考えすぎず、時には状況に身を任せるような「適当さ」が必要と思います。
梅津:「柔軟さ」と「多様さ」がキーワードかもしれません。女性が働くコツは、「しなやかさ」と「したたかさ」を持つこと。そして多様な働き方ができる社会にしていくことも重要ですね。
堤:一人ひとりが望む働き方を実現できるよう、企業側も努力を続けていかなければいけませんね。身が引き締まります。
■女性誌部数No.1! 50代からの生きかた・暮らしかた応援雑誌「ハルメク」
50代からの女性が前向きに明るく生きるための価値ある情報をお届けしています。健康、料理、おしゃれ、お金、著名人のインタビューなど、幅広い情報が満載です。また、雑誌「ハルメク」の定期購読者には、本誌とともに提供するカタログと、オンラインでの通信販売を行っています。販売している商材は、ファッション・インナー・コスメ・美容・健康など多岐にわたり、独自のシンクタンクである「ハルメク 生きかた上手研究所」を通じて利用者の声を徹底的に調査、反映した商品開発で、多くの女性から支持を得ています。
■「また働きたい」という女性の希望を多様な働き方でかなえる「キャリア・マム」
在宅ワークや起業など自分らしい働き方を希望する女性向けのコミュニティサイトを運営( http://www.c-mam.co.jp/ )。会員数は現在11万人。育児や介護といったライフステージの変化に関わらず、キャリアを継続できるよう時間や場所に柔軟な働き方を推進しています。大量のタスク業務(入力やコール等)の代行を行うBPO事業や、ライティングやデザインといったクリエイティブ業務などで、女性たちの活躍する機会を創出。現在では自治体や官公庁より在宅ワーク就業支援や教育訓練に関する事業や創業支援事業などを受託運営し、多くの女性たちの再就業を支援しています。
【回答者属性】
属性) 年齢構成
属性) 就業状況
参考:就業状況(総務省)
属性) 1週間あたりの就業日数
属性) 1日あたりの就業時間