コンペティション受賞14作品を発表。日本グランプリに、VRア...

コンペティション受賞14作品を発表。日本グランプリに、VRアニメーション作品が初受賞!新しいメディアによる、新しい物語の描き方に評価

11月9日からオンライン開催!11月19日まで。

11月5日(金)から、空港現地とオンラインのハイブリットで開催されている「第8回 新千歳空港国際アニメーション映画祭」では、8日(月)、本年のコンペティション授賞式を新千歳空港ポルトムホールで行いました。94の国と地域から応募された2,243作品から、一次審査によって92作品がコンペティションに選出され、長編・短編アニメーションのグランプリを含む14の受賞作品を決定しました。

コンペティション短編部門

グランプリ

作品『Easter Eggs』
作品『Easter Eggs』
ニコラス ケペンズ(Nicolas Keppens)氏
ニコラス ケペンズ(Nicolas Keppens)氏
 コンペティション短編部門グランプリは、ベルギーの作家 ニコラス ケペンズ(Nicolas Keppens)氏の『Easter Eggs』が受賞しました。
 国際審査員を務めた山村 浩二 氏は「選び抜いた色の構成で見せる画面は、絵としての美しさを保ちつつ、それが描かれたものであることを観客に意識させることで、批評的客観性を持って、映画と対峙させる力を持っている。情けない日常、取り立ててドラマを持たないようなささやかな出来事を、大変洗練された上品な演出とビジュアルによって、映画的な幻想のレベルに押し上げた。」と評しました。

 受賞について、ケペンズ氏はビデオメッセージで、自身の作品づくりに日本映画からの影響を大きく受けていることに触れ「新千歳空港国際アニメーション映画祭は本当に素晴らしい映画祭と聞いているので、次はぜひ直接伺いたい」とコメントしました。

日本グランプリ

『Replacements』
『Replacements』
ジョナサン ハガード(Jonathan Hagard)氏
ジョナサン ハガード(Jonathan Hagard)氏
日本グランプリには、日本在住のジョナサン ハガード(Jonathan Hagard)氏の『Replacements』が受賞。この作品は360度映像で構成させるVR作品であり、本映画祭でVR作品がグランプリを受賞するのは初となります。これまで作品応募にGIF・VR作品の枠を設けてきた本映画祭ならではの授賞となり、新しいメディアによる新しい物語の語り方として評価されました。

 ジョナサン氏は制作背景について「祖母が住んでいたジャカルタの記憶をもとに、一時代を作品で残したかった。最初はVRで作るつもりはなかったが、一つの家族だけでなく風景や社会の移り変わりを描くにあたって、その全てが大切であり、作品に中心となるものを必要としない全天球のVRを使った。また、VRは自らがアクターとなって、時間旅行をすることもできる。」と語る本作 。

 国際審査員のシュ ゲンドウ(朱彦潼)氏は、「観客の位置は変わらないが、周りの環境は徐々に変化し、最終的に全部置き換えられる。作者は時代ごとの特徴をよく調べ、建物から小道具まで丁寧に描き、時代の変化や人々への影響をさりげなく示した。背景の変化によって、ここに住む家族や隣人たちは何を経験したのか、この国が何を経験したのか、常に連想させる。写実的なタッチで淡々とした日常、過去への郷愁、そして時代と対抗できない小さな個人であることの無力さを表した。」と述べました。

コンペティション長編部門

グランプリ

『シチリアを征服したクマ王国の物語』
『シチリアを征服したクマ王国の物語』
ロレンツォ・マトッティ(Lorenzo Mattotti)氏
ロレンツォ・マトッティ(Lorenzo Mattotti)氏
 コンペティション長編部門グランプリを受賞したのは、フランス・イタリアの作家、ロレンツォ・マトッティ(Lorenzo Mattotti)氏の『シチリアを征服したクマ王国の物語』です。
 “面白くて、悲しい”クマ王国の物語や、クマから人間に向けられるまなざしを通じて、多様な文化の中で他者を受け入れることの⼤切さを伝える本作について、審査員を務めたアニメーション作家 水江 未来 氏は、「私たちは一つの大きな物語の中を生きているわけではなく、一人一人に物語が独立していて、それらが交差して響き合って存在しているのだと思います。しかし、私たちが人類の歴史を振り返るとき、国ごとに集約された大きな一つの物語になってしまいます。私たちは、その集約された大きな物語を丁寧にほどきながら、そこに存在する物語の一本一本の糸を見出していくことで、多角的に歴史に向き合い、そして、初めて他者を理解することが出来るのだと思います。」と評しました。
 本作は、2022年1月より全国映画館にて順次公開を予定しています。

審査員特別賞

『幾多の北』
『幾多の北』
山村 浩二 氏
山村 浩二 氏
 そして、審査員特別賞には、山村 浩二 氏による初の長編作品 『幾多の北』が選ばれました。
「“長編”の重要な要素であるはずのストーリー性からの逸脱という挑戦が、その新しいあり方を提示している。」と審査員の細川 麻沙美氏から評されました。
(ほか、各賞についての審査員によるコメント全文は、本映画祭の公式サイトでご覧いただけます)

オンライン開催がスタート。「オンライン上映チケット」は、11月9日(火)より発売(〜19日まで)

 昨年に引き続き、空港実地・オンラインのハイブリット開催になった本映画祭。授賞式の総評で、審査委員長を務めた山村 浩二 氏は、限定的ではあるものの対面での作品審査や、劇場でプログラムを鑑賞することの素晴らしさを噛み締めながら「“物語”というキーワードが今改めて浮き上がってきているのではないか。物語は人それぞれ、さまざまなレベルで思い浮かべることであり、また私たちはなんらかの物語を必要としていて、届ける手段としてアニメーションは大変に有効だということを感じた。物語という時間軸をもった芸術であるからこその醍醐味を、色々な技法、アプローチで見せてもらった。光と影を通じて物語を考えさせた作品と作家にリスペクトを」と締めました。
第8回新千歳空港国際アニメーション映画祭 授賞式
第8回新千歳空港国際アニメーション映画祭 授賞式
 本年映画祭のオンライン開催は2021年11月9日(火)から11月19日(金)まで、アワード受賞作を含むコンペティション ノミネート作品やこの4日間で開催された無料・有料トークライブの見逃し配信(アーカイブ)など、100以上のアニメーション作品やプログラムが視聴期間中見放題(一部は13日、14日で終了)となります。※長編作品・日本グランプリ作品を除きます
詳細は、映画祭公式サイト( https://airport-anifes.jp/ )をご確認ください。
※日本グランプリ『Replacements』は空港開催限定

第8回新千歳空港国際アニメーション映画祭 受賞者一覧

コンペティション短編部門

グランプリ『Easter Eggs』/Nicolas Keppens/0:13:53/ベルギー

<ストーリー>
中華料理店はもぬけの殻。ピンさんもいない。エキゾチックな鳥の檻が大きく開いている。何が起こったのか誰も知らない。二人の友人、ジェイソンとケビンは、これは鳥を捕まえて大金で売る絶好のチャンスだと考える。しかし、それは、それほど簡単なことではない...。

日本グランプリ [VR] 『Replacements』/Jonathan Hagard/0:12:00/日本

<ストーリー>
ジャワの家族とその近所を、日常的に観察する。世代を重ね、入れ替えを繰り返している様子が描かれていく。ルーツ、時間、変化についてのVRストーリー。

新人賞 『The Fourth Wall』/Mahboobeh Kalaee/ 0:09:50/イラン

<ストーリー>
家、家族、関係、欲望、願い……すべてはキッチンに集約されている。吃音の少年はそこで一人、想像力を働かせて遊ぶ。
『The Fourth Wall』
『The Fourth Wall』
Mahboobeh Kalaee
Mahboobeh Kalaee

審査員特別賞

審査員特別賞(山村浩二)『Hide』/Daniel Gray/ 0:11:00/フランス
審査員特別賞(岩井澤健治)『骨噛み』/矢野ほなみ/ 0:09:45/日本
審査員特別賞(朱彦潼)『Steakhouse』/Špela Čadež 0:09:30/スロベニア
『Hide』
『Hide』
『骨噛み』
『骨噛み』
『Steakhouse』
『Steakhouse』

スペシャルメンション(山村 浩二)

『Orders』
『Orders』
『Orders』/Aleix Pitarch/0:29:46/スペイン

<ストーリー>
2004年4月、金曜日、ピークタイム。ここはアメリカのどこか。電話が鳴っている。電話の向こうの声が話す――「盗難の報告が入った」。

ベストミュージックアニメーション賞

『Czarodzielnica』/Klaudia Ptasińska/0:04:10/ポーランド

<ストーリー>
森の中の家に、生き生きしたダイナミックな自然が侵入し、静かな夜に不安な雰囲気をもたらす。月明かりは、家族の秘密を照らすのか?

コンペティション長編部門

グランプリ 『シチリアを征服したクマ王国の物語』/ロレンツォ・マトッティ/1:21:48/フランス、イタリア

<ストーリー>
とおいむかしのこと、いただきが氷でとざされた高い山に住むクマたちの王レオンスの息子トニオがハンター達によって捕えられてしまう。王は我が子を救出するべく、厳しい冬の飢えと寒さからクマ達を引き連れ、人間が住む平地を目指し山を降りていく。行く手に待ち受けるのは残忍な大公や、化け猫、人食い⻤。ゆうれいもいれば魔法使いもいる。突き進むレオンス王は戦いの末、その国の王として、クマと人間が共存する太平の世を迎えた。クマと人間の共存はやがて――。
(2022年1月14日、全国順次公開)

審査員特別賞 『幾多の北』山村浩二/1:04:00/日本、フランス

<ストーリー>
北はどこの北も淋しい 此処はどこも北なのだ これから話すのは、私が北で出会った人々の記録だ ただ記憶は断片的で、まったく要領を得ない 今はこれが徒労ではないかと焦り始めている 胸の鈍い痛みが 少しずつ形を変えては 時折世界の実存を認識させられる

学生部門

学生グランプリ 『Butterfly Jam』/Shih-Yen Huang/0:06:19/フランス、台湾

<ストーリー>
若い女性が、父親について、そして父親が世話をしなかったペットとの関係を語る。家族がバラバラになっていくなか、動物たちは次々と死んでいく。
『Butterfly Jam』
『Butterfly Jam』
Shih-Yen Huang
Shih-Yen Huang

審査員特別賞 『Love is Just a Death Away』/Bára Anna Stejskalová/0:11:30/チェコ共和国

<ストーリー>
朽ち果てた土地でも愛を見つけることができることについての、優しい物語。
『Love is Just a Death Away』
『Love is Just a Death Away』
Bára Anna Stejskalová
Bára Anna Stejskalová

キッズ賞

『クツの中の石』
『クツの中の石』
『クツの中の石』/Eric Montchaud
0:11:30/フランス

観客賞

『Two Sisters』
『Two Sisters』
『Two Sisters』/Anna Budanova/0:14:10/フランス

他各賞

サッポロビール賞 『わたしのトーチカ』/ 石舘 波子 / 0:14:57 /日本
DNP 大日本印刷賞 『古代戦殻ジェノサイダー 第22話OPED次回予告(再放送)+CM集』/細川 晃佑 / 0:05:20/日本 
北洋銀行賞 『或る日 (2020, 2021)』/大前 奨平 /0:00:38 /日本、ポルトガル
北海道銀行賞 『骨噛み』/矢野ほなみ/0:09:45/日本
北海道コカ・コーラ賞『駐車場でアメを食べたね』/関口 和希/0:06:15/日本
外務大臣賞 『Flowing Home』/Sandra Desmazieres/0:14:25/フランス、カナダ
北海道知事賞 『おうふくにくふうお』/阿部 優花/0:04:00/日本
観光庁長官賞 『はやく学校に戻りたい』/Angel David Hurtado Orozco/0:04:05/コロンビア
新千歳空港賞 『Statues Game』/Hong Xiao/0:05:03/中国

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