メタボリックリスク保有者の割合京都支部が西日本で最も少ないと...

メタボリックリスク保有者の割合 京都支部が西日本で最も少ないという好結果に

3年間にわたる京都支部の独自調査で、将来の心疾患リスクの高さが判明 働き盛り世代からの健康づくりが求められる

全国健康保険協会(協会けんぽ)が、2020年度に健診を受けた40歳~74歳の方のメタボリックリスク保有者の割合を調査したところ、京都支部の割合が西日本で最も少なく、全国でみても男性が3番目に、女性が2番目に少ないという好結果となりました。

全国でも健康度が高い調査結果の一方で、高齢者層の心疾患による入院費は全国平均に比べて高いという結果も出ています。働き盛り世代では健康に見えていても、将来的なリスクが潜んでいる場合もあります。京都支部では、健診結果を複合的に判断し、健康に向けた行動を促す取り組みを実施していきます。


【本リリースのポイント】

●メタボリックリスクの低さ、京都支部は西日本1位 

●3か年にわたる、京都支部の健康課題分析事業  ~心疾患リスクが高い傾向~

●健診項目単体ではなく複合的に未来のリスクを把握し、京都支部のリスク層を特定 

 ~女性より男性、業種では道路貨物運送業のリスクがやや高い~

●高リスク者へ早期のアプローチを行い、健康経営を後押し    

 

■メタボリックリスクの低さ、京都支部は西日本1位

当協会では、生活習慣病リスクとして、「メタボリックリスク」「メタボリック予備群」「腹囲リスク」「血圧リスク」「代謝(血糖)リスク」「脂質リスク」の6つの指標で判定しています。(判定基準は「参考資料1」参照)

京都支部は、指標1のメタボリックリスク保有割合の低さで、男性が全国3位、女性が全国2位となっています。メタボリックリスクだけでなく、生活習慣病リスクすべてにおいて、全国でもとてもリスクが低い(良い)状態であることがわかります。(「参考資料2」参照)


【生活習慣病リスク保有者割合(2020年度)】

左:男性、右:女性


■3か年にわたる、京都支部の健康課題分析事業 ~心疾患リスクが高い傾向~

健診データにおける生活習慣病リスクは全国でトップクラスに低く、健康な人が多いという好結果の一方、協会けんぽが実施した医療費の地域差分析によると、京都支部の年齢階層別の1人当たり医療費では、60歳以上の階層(特に65歳以上の階層)で全国平均を大きく上回っており、高齢者層の疾病リスクが高い傾向がみられました。


【年齢階層別加入者1人当たり医療費の全国平均との乖離率】  

また、疾病ごとにみると、特に心疾患における死亡率の地域差が大きいことがわかっており、京都支部のデータヘルス計画(「参考資料3」参照)においても、心疾患の死亡率を引き下げることを目標に、加入者の健康づくりに取り組んでいます。

そういった背景の下で、京都支部ではエビデンスに基づいた健康推進を加入者の皆様に行うため、2019年度より3か年にわたって心疾患リスク分析事業に取り組んでいます。

2019年度事業として、まず60歳以上の医療費を引き上げている要因の整理を行いました。疾病別・診療種別などの要因を考慮して調査をしたところ、心疾患にかかる入院医療費が、最も全国平均との乖離が大きいことがわかりました。(「参考資料4」参照)

単なる医療費の大小ではなく、全国平均と比べて最も医療費の地域差が大きい疾病を調べることで、「京都支部」の健康課題を改めて認識することができました。


■健診項目単体ではなく複合的に未来のリスクを把握し、京都支部のリスク層を特定

  女性より男性、業種では道路貨物運送業のリスクがやや高い~

2019年度事業において、医療費の引き上げに心疾患の入院リスクが寄与しているということが分かったところで、2020年度事業においては心疾患リスクの高いターゲットを特定し、京都支部のサポートを特に注力すべき層を独自に割り出しました。

(2019年度の京都支部健診受診者217,651人を対象に分析)

ターゲットの特定にあたっては、データヘルス計画の中位目標として設定しているコレステロール値と心疾患の関係に着目し、日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」の「包括的リスク評価-危険因子の評価」の指標におけるリスクモデルである「相対危険度(※)」の考え方に基づいて、動脈硬化性疾患のリスクの高い対象者を独自に算出しました。

京都支部で算出をしたところ、血圧・総コレステロール値と心疾患(冠動脈疾患)との関連性において、京都支部健診受診者の32.1%が相対危険度1.8以上2.8未満のイエローゾーン、全体の6.5%が相対危険度2.8以上のレッドゾーンであることがわかりました。


【京都支部の心疾患(冠動脈疾患)の「相対危険度」】

また2021年度事業では、これまでの分析結果の深掘りとして、心疾患(冠動脈疾患)の高リスク者(「相対危険度」レッドゾーン・イエローゾーン)の内訳も分析しました。男女別でみると、男性全体の42.9%・女性全体の31.3%が高リスク者となっており、男性の方が心疾患リスクが高いことがわかりました。

業態別にみると、業種により1.8以上のリスクに達する年齢層に差があることがわかりました。「相対危険度」は加齢とともにリスクが高くなる傾向がありますが、電気・ガス・熱供給・水道業は70歳以上の年齢層でも相対危険度1.8以上の対象者は50%未満であることがわかりました。一方、道路貨物運送業は相対危険度1.8以上が全体の50%となる年齢がほかの業種に比べ早いことがわかっており、他業種に比べ早期の対策が必要といえます。(「参考資料5」参照)


なお、今回の分析結果は健診データを協会けんぽで把握している方のみが対象であり、健診未受診の方は含んでおりません。

 

■高リスク者へ早期のアプローチを行い、健康経営を後押し

以上のように、現在の健診結果の数値が良いからと安心することなく、働き盛りの若い世代から将来の健康リスクを見据え、健康づくりに取り組むことが必要です。

 

協会けんぽ京都支部では、健診結果項目をそれぞれ単体で見るのではなく、複合的に捉えて潜在的な高リスク者を把握することで、これまで協会けんぽが実施している特定保健指導等の既存事業でフォローしきれていない層に対しての早期におけるアプローチや、加入者の属性ごとの特徴の分析によるエビデンスに基づいたターゲティングを行ったうえでの加入者の健康づくり推進が可能となりました。

これからも健診未受診の方への受診勧奨をさらに推進するとともに、分析から導き出された高リスク者に対し、これまで健診結果をみただけではわからなかった新たな視点からの情報をご提供します。また、リスクのある個人への対応にとどまらず、高リスク者を抱える事業所に対してもアプローチし、健康経営を推進してまいります。


全国健康保険協会(協会けんぽ)概要

健康保険法に基づいて設立され、約240万の事業所と約4,000万人の加入者からなる日本最大の医療保険者であり、主に中小企業で働く方とそのご家族が加入しています。47都道府県支部で構成されており、その中で京都支部では約5万4,000事業所・約89万人の方が加入しています。


全国健康保険協会 京都支部 お問い合わせ 075-256-8630(代)




参考資料1 生活習慣病リスクの判定基準等

メタボリックリスク該当者:

 腹囲リスク該当かつ血圧、代謝、脂質のうち2つ以上のリスクに該当する者

メタボリックリスク予備群:

 腹囲リスク該当かつ血圧、代謝、脂質のうち1つのリスクに該当する者

腹囲リスク:男性85cm以上、女性90cm以上

血圧リスク:収縮期130mmHg以上または拡張期85mmHg以上または服薬

代謝(血糖)リスク:空腹時血糖100mg/dl以上

脂質リスク:中性脂肪150 mg/dl以上

【データの概要】

対象者:

 全国健康保険協会の加入者(本人・家族)のうち、2020年度の健診受診者

 約246,000名(40歳~74歳)

リスク保有者割合:

 上記「判定基準」該当者の年齢調整平均値


参考資料2 全支部のリスク保有割合と全国平均(メタボリックリスク保有者の割合)

男性 (単位:%)

女性 (単位:%)


参考資料3 データヘルス計画

【データヘルス計画とは】

医療保険者が保有する健診結果や医療情報(レセプト)等のデータを分析・活用して、加入者皆様の健康づくりや重症化予防等の保健事業を効果的に推進するために作成する計画。6年を1期として医療保険者が策定することとされており、協会けんぽ京都支部においても、平成30年より第2期のデータヘルス計画を策定。

【京都支部 データヘルス計画(第2期)】

・上位目標 心疾患の年齢調整死亡率を引き下げる

・中位目標 LDLコレステロール140mg/dl以上の者の年齢調整割合を

      全国平均以下に引き下げる

上記の目標を達成するための下位目標を設定しています。詳しくはこちら

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/kyoto/behealthy/HP.pdf)をご覧ください。

※上位目標は概ね10年以上経過後に達成を目指す目標であり、中位目標は6年後に達成を目指す目標です。


参考資料4 疾病別医療費の地域差

参考資料5 属性別の相対危険度

【男女別「相対危険度」】

【全体の男女別・年齢階層別「相対危険度」】

【業種別「相対的危険度」】(一部抜粋)


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