SDGsの浸透と共に、ソーシャルプロダクツが拡大 「生活者の社会的意識や行動を探るためのアンケート調査」の 結果を公開!
被災地を消費で応援する「復興支援商品が選ばれる」ためには、 「Why」と「How」の情報発信が重要!
2022.03.22 10:00
一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会(略称:APSP、所在地:東京都中央区、会長:江口 泰広)は、株式会社SoooooS.カンパニー(所在地:東京都中央区、代表取締役:木村 有香)と合同で、2012年から継続している「生活者の社会的意識や行動を探るためのアンケート調査」の結果を公開しました。本調査は、2021年9月(10回目)と11月(11回目)の2度にわたり実施をしています。
【調査結果のポイント】
(1) SDGsの認知率が昨対比で2倍近くまで上昇
(2) SDGsを認知している人のソーシャルプロダクツ購入率は51.7%、認知していない人の2倍以上
(3) ソーシャルプロダクツが購入される理由は、「共感」と「実感」
(4) ソーシャルプロダクツが購入されない理由は、「情報発信」「販路」の不足
(5) 「生活者の関心」を踏まえた社会貢献活動が、ソーシャルプロダクツの購入を促進
(6) 「なぜ取り組むのか(Why)」と「どのように解決するのか(How)」の積極的な情報発信が、ソーシャルプロダクツの購入を促進
(7) 「東日本大震災からの復興につながる商品」でも「Why」と「How」の重要性を確認
【ソーシャルプロダクツとは】
社会的課題の解決につながる商品・サービスを指します。フェアトレードやオーガニック、エコ(環境配慮)、復興支援といった、人や地球、地域社会に配慮があり、SDGs(持続可能な開発目標)の達成につながる商品・サービスの総称です。
※ソーシャルプロダクツの定義: http://www.apsp.or.jp/socialproducts/
【調査結果】
(1) SDGsの認知率が昨対比で2倍近くまで上昇
SDGsについて、「よく知っている」「おおよそ知っている」と回答した人の割合は、それぞれ15.5%、34.2%でした。2020年7月に実施した調査の結果(「よく知っている」:8.3%、「おおよそ知っている」:18.0%)と比較すると、2倍近くまで認知率が上昇し、約半数の人がSDGsを内容も含めて知っていることが明らかになりました。
(1) SDGsの認知率
(2) SDGsを認知している人のソーシャルプロダクツ購入率は51.7%、認知していない人の2倍以上
SDGsを認知しているかどうかで、ソーシャルプロダクツの購入率※を比較したところ、認知者は51.7%・非認知者は22.8%となり、その差は28.9ポイント(2.3倍)差に及ぶことが分かりました。
各ソーシャルプロダクツの内訳を見ると、SDGs認知者のエコ商品の購入率は40.3%で非認知者との差は25.7ポイント(2.8倍)差、オーガニック商品は29.1%で21.2ポイント(3.7倍)差、地域や伝統に根ざした商品は24.5%で18.2ポイント(3.9倍)差、復興支援商品は18.8%で15.5ポイント(5.7倍)差、フェアトレード商品は17.1%で16.1ポイント(17.1倍)差、障害者支援商品は16.4%で13.8ポイント(6.3倍)差、寄付つき商品は14.4%で11.4ポイント(4.8倍)差でした。
(1)で触れたようにSDGsの認知率は拡大傾向にあることから、ソーシャルプロダクツの市場もそれに伴って拡大していくことが見込まれます。
(2) SDGs認知者・非認知者におけるソーシャルプロダクツの購入率
※ソーシャルプロダクツの購入率は、エコ商品、オーガニック商品、地域や伝統に根ざした商品、復興支援商品、フェアトレード商品、障害者支援商品、寄付つき商品の内、いずれか1つ以上を購入している人の比率を指す。
(3) ソーシャルプロダクツが購入される理由は、「共感」と「実感」
ソーシャルプロダクツの購入経験者にその理由を質問したところ、「人や地球にやさしい取り組みに共感できるから」(47.8%)が最多で、「社会的課題の解決につながると思うから」(34.3%)が次点でした。さらに「取り組みが誠実に行われていると思うから」(23.5%)、「消費者としての責任だと思うから」(20.5%)が続くという結果になりました。
すなわち、人や地球にやさしい取り組みの背景にある想いやストーリーなどに「共感」できるか、そしてその取り組みがしっかりと社会的課題の解決につながっていると「実感」できるかが、購入を促進する鍵になるようです。
具体的にどのような活動内容を展開すれば、ソーシャルプロダクツに対する共感と実感が得られるのか、購入につながりやすいかについては(5)で検討していきます。
(3) ソーシャルプロダクツの購入理由
※10%以上の回答のみ表示
(4) ソーシャルプロダクツが購入されない理由は、「情報発信」「販路」の不足
ソーシャルプロダクツを購入しない理由や不満について質問したところ、「一般的な商品に比べて値段が高い」(30.3%)が1位に挙がりました。企業の立場とすれば、ソーシャルプロダクツはどうしてもコストがかかるため、価格面で消費者に受け入れられないと思いがちです。しかし、1位ではあるものの、その割合は30.3%しかないことに注目してみましょう。
2位「どれが該当商品なのか分からない」(29.0%)、3位「身近に購入できる場所(WEBを含む)がない」(21.0%)といった上位の不満は、ソーシャルプロダクツそのものの問題ではなく、企業側の商品・サービスの提供方法(情報発信、販路など)に関する問題を指摘しています。ソーシャルプロダクツが生活者に選ばれないとすれば、それは価格面ではなく、社会的課題の解決につながる商品・サービスだと認識される情報発信、購入されやすい販路といった企業側の提供方法に問題があることを、生活者は教えてくれています。
具体的にどのような情報発信が、ソーシャルプロダクツの購入につながりやすいかについては(6)で検討していきます。
(4) ソーシャルプロダクツを購入しない理由や不満
(5) 「生活者の関心」を踏まえた社会貢献活動が、ソーシャルプロダクツの購入を促進
(3)や(4)の結果を踏まえ、具体的にどのようなソーシャルプロダクツが購入されやすいのかを探るため、値段が高くても購入したいと思う社会貢献の「活動内容」について、質問しました。
その結果、「自分の関心が高い活動」(40.6%)が突出して高く、「深刻な社会的課題を解決する活動」(28.4%)、「商品や事業を通した活動」(23.9%)、「その企業やブランドらしい活動」(22.0%)の順で続きました。
上記の結果から、ソーシャルプロダクツの社会貢献活動を考える場合、商品のターゲットである生活者の関心が高い活動が大前提と言えそうです。より深刻な社会的課題の解決は、その1つと解釈できるでしょう。さらに、一部の社会的意識が高い生活者は、「自分も参加可能な活動」(17.0%)を望んでいます。そのような人たちと一緒に活動を作っていけば、より生活者の関心や社会のニーズをとらえた活動を展開できると考えられます。
また、企業にとって重要な項目は「商品や事業を通した活動」(23.9%)、「企業やブランドらしい活動」(22.0%)です。この2つと対照的な「商品や事業とは別の活動」(10.4%)は、最下位でした。事業の延長線上に、ブランドの付加価値となる社会貢献活動を据える重要性が窺えます。
(5) ソーシャルプロダクツがどのような社会貢献に取り組めば、値段が高くても購入したいと思うか
(6) 「なぜ取り組むのか(Why)」と「どのように解決するのか(How)」の積極的な情報発信が、ソーシャルプロダクツの購入を促進
(3)や(4)の結果を踏まえ、のぞましい情報発信のあり方を探るため、ソーシャルプロダクツに関する「どのような情報」を知れば、値段が高くても購入したいと思うかを質問しました。
その結果、「活動の具体的内容」(36.3%)、「お金の流れ」(32.3%)、「活動の目的・動機」(30.7%)、「活動の成果」(29.0%)、「活動の背景にある社会的課題」(28.9%)といった項目が高い水準でした。
これらの項目を総合すると、その社会的課題になぜ取り組むのか(Why)、その社会的課題をどのように解決するのか(How)に関する情報を、発信していくことが重要であると考えられます。
(6) ソーシャルプロダクツに関するどのような情報を知れば、値段が高くても購入したいと思うか
(7) 「東日本大震災からの復興につながる商品」でも「Why」と「How」の重要性を確認
「なぜ取り組むのか(Why)」と「どのように解決するのか(How)」に関する情報を発信した場合、そのソーシャルプロダクツの購入意向を促進するかについて、第9回『ソーシャルプロダクツ・アワード2022』の年度テーマであった「東日本大震災からの復興につながる商品」を想定した実験調査を行いました。
<実験調査の概要>
調査における復興支援商品は、ソーシャルプロダクツの中でも生活者の購入経験が比較的多い飲料を対象とし、性別や年代に関わらず購入機会のあるりんごジュースを設定しました。
また調査では、近年ソーシャルプロダクツにおいても購入方法として増えているオンラインショップでの購入場面をシナリオとして提示しました。復興支援商品(りんごジュース)に関して、「その社会的課題になぜ取り組むのか(Why)」、「その社会的課題をどのように解決するのか(How)」、「復興支援に取り組んでいる事実のみ」の情報発信がされている3つの商品ページを作成し、回答者を均等に割り振り(N数=900、各300)、それぞれ提示しました。
調査の回答者には、オンラインショップにおける購入場面のシナリオと「Why」「How」「事実のみ」いずれかの商品ページの情報を読んでもらった後(下図参照)、「この商品を購入したいと思いますか?」という質問に対して、「そう思う・ややそう思う・どちらとも言えない・あまりそう思わない・そう思わない」を選択してもらいました。
アンケートで提示した商品ページ
<実験調査の結果>
「この商品を購入したいと思いますか?」という質問に対して、回答者全員(N=900)では「Why」「How」「事実のみ」それぞれにおける「そう思う・ややそう思う」の回答に大きな差は見られませんでした。しかし、復興支援商品に関心がある回答者(N=282)においては「Why」「How」の情報発信の方が、「事実のみ」よりも「そう思う」の回答が多く見られました。
このことから、生活者がソーシャルプロダクツに関心を持った後、購入場面におかれた際、その社会的課題になぜ取り組むのか(Why)、その社会的課題をどのように解決するのか(How)に関する情報※が発信されていることで、よりそのソーシャルプロダクツへの「共感」や「実感」が湧き、購入促進につながる可能性が考えられます。
※情報の例
社会的課題になぜ取り組むのか(Why):活動の目的・動機、実現したい未来 等
社会的課題をどのように解決するのか(How):活動の背景にある問題、活動の内容・方法・成果 等
購入意向(全体)
購入意向(復興商品に関心あり)
【本調査の概要】
調査名 :第10回「生活者の社会的意識・行動」に関する調査
調査対象:全国の10~60代の男女50人ずつ(計600人)
調査期間:2021年9月9日~9月13日
調査方法:インターネット調査
調査会社:株式会社アスマーク
対応項目:調査結果(1)(2)(3)(4)
調査名 :第11回「生活者の社会的意識・行動」に関する調査
調査対象:全国の20~60代の男女90人ずつ(計900人)
調査期間:2021年11月5日~11月9日
調査方法:インターネット調査
調査会社:株式会社アスマーク
対応項目:調査結果(5)(6)(7)
【過去の「生活者の社会的意識・行動に関する調査」結果】
2012年: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000004647.html
2013年: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000004647.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000004647.html
2014年: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000004647.html
2015年: https://www.atpress.ne.jp/news/63217
2016年: https://www.atpress.ne.jp/news/100738
2017年: https://www.atpress.ne.jp/news/128586
2019年: https://www.atpress.ne.jp/news/204171
https://www.atpress.ne.jp/news/214498
2020年: https://www.atpress.ne.jp/news/241161
【一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会(APSP)とは】
ソーシャルプロダクツの普及・推進を通じて、生活者や企業などと共に、持続可能な社会の実現を目指す非営利の組織。
<協会概要>
名称 : 一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会(APSP)
設立 : 2012年7月
所在地: 東京都中央区銀座5-12-5 白鶴ビル3F
会長 : 江口 泰広(学習院女子大学名誉教授)
URL : http://www.apsp.or.jp
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