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明治大学理工学部 楠瀬博明教授が 日本物理学会の第27回論文賞を受賞

 明治大学理工学部物理学科・楠瀬博明教授の論文(東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻・速水賢講師との共著)が日本物理学会の第27回論文賞を受賞しました。この賞は、独創的な論文により物理学に重要な貢献をした功績に対して日本物理学会から贈られるものです。

 

 受賞対象の2018年掲載論文「Microscopic Description of  Electric and Magnetic Toroidal Multipoles in Hybrid Orbitals (混成軌道系における電気及び磁気トロイダル多極子の微視的記述)」は、これまで微視的表現が知られていなかったトロイダル多極子について、その量子力学的な表式を導出したもので、物質の磁気的・電気的性質を等価に扱う微視的な枠組みを提案し、電子の自由度が創出する物性を統一的に扱う基盤を提供した独創的な論文です。

 この論文は、電流を使わず磁石の流れによって情報・エネルギーを伝達する、熱振動を電気に変換する、音を磁石に変えるなど、さまざまな機能性物質の背後にある原理の物理学的な理解を促進するだけでなく、その原理に基づき持続可能な社会を実現する上でも重要なエナジーハーベスティング等の基盤づくりにも貢献すると期待されます。

 なお、授賞式は日本物理学会第77回年次大会期間中の3月17日にオンラインで行われました。

 

論文題目:Microscopic Description of  Electric and Magnetic Toroidal Multipoles in Hybrid Orbitals

著者名:Satoru Hayami and Hiroaki  Kusunose

掲載紙:J. Phys. Soc. Jpn. 87, 033709 (2018) 

DOI:10.7566/JPSJ.87.033709

 

第27回(2022年)論文賞授賞論文(一般社団法人日本物理学会ホームページ)

https://www.jps.or.jp/activities/awards/ronbunsyo/ronbun27-2022.php

 

楠瀬博明教授のコメント

 長年温めてきたアイデアが結実した論文に対してこのような栄誉ある賞を賜り、大変嬉しく思っています。社会が進化するにつれて世の中が複雑化し研究の細分化も進む中で、多くの物性現象の互いの結びつきを理解しやすくする統一的な見方を発見できたことは、自身の達成感もさることながら、物質のもつ無限の可能性を引き出すための基盤を提供する意義深い成果と考えています。物理学のもつ知的好奇心の探求と社会基盤への本質的な貢献という役割を意識して、さらなる挑戦を続けていく所存です。


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