協会けんぽ京都支部の令和4年度健康保険料率が決定 5年ぶりに全国平均の10%を下回る
~受診動向の変化や感染症対策等による医療費の減少が影響~
2022.03.29 15:00
令和4年度の全国健康保険協会京都支部の健康保険料率が決定しました。令和4年3月分(4月納付分)から9.95%と、令和3年度に比べ0.11%引き下げになります。引き下げ幅は全国で4番目に大きく、5年ぶりに全国平均保険料率10%を下回る水準となります。
また、健康保険料とあわせて納付いただく介護保険料の料率も、令和4年3月分(4月納付分)から1.64%に変更され、令和3年度に比べ0.16%引き下げになります。
介護保険料は、40 歳から64 歳までの方(介護保険第2号被保険者)に健康保険料に加えて全国一律の料率で負担していただいています。介護保険料率も加えた令和4年度の保険料率は11.59%(令和3年度比0.27%引き下げ)になります。
<参考> 給与(標準報酬月額)が30万円の場合の負担額の比較(労使折半前)
健康保険料
(~R4.3納付分)30,180円/月 →(R4.4納付分~)29,850円/月
(▲330円/月)
介護保険料
(~R4.3納付分)5,400円/月 →(R4.4納付分~)4,920円/月
(▲480円/月)
■医療費の減少が京都支部健康保険料率引き下げに寄与
健康保険料率は、都道府県ごとの医療費水準等に基づいて算出します。令和4年度保険料率は、全国平均の保険料率を10%と設定し、主に令和4年度に見込まれる医療費の額に年齢調整等を行うことによって算出します。令和4年度見込み値の算出には令和2年度実績値を用いています。
令和2年度は全国的に医療費の減少が見られ、新型コロナウイルス感染拡大の影響による受診動向の変化や感染症対策等が影響したと考えられています。京都支部の令和2年度医療費は、全国と比べて前年度からの下げ幅が非常に大きくなっています。(図1)
さらに、2年前に令和2年度保険料率を決定する際に見込んだ医療費と、実際に要した医療費に乖離があった場合には、令和4年度保険料率で精算※することとされているため、令和2年度の医療費(当初見込みを下回った医療費分)が令和4年度保険料率に大きく影響しています。
※京都支部の令和4年度保険料率算定では、精算により0.04%分の引き下げ
( 図1 )
■加入者ひとりひとりの努力で医療費は節約できる
これまで1人あたりの医療費は、高齢化や医療の高度化等により年々増加する傾向にありましたが、令和2年度はコロナ禍で医療費が減少する特異な年となりました。
しかし、令和3年度はすでにコロナ禍前の水準を超える医療費水準に戻っており、これまでの医療費動向を踏まえると、将来的には保険料率の上昇が危惧されます。
保険料率の上昇を抑えるためには、加入者の方の行動や努力による医療費の節約が必要不可欠です。例えば、生活習慣改善等の健康づくりによる疾病予防や、健診受診による疾病の早期発見・早期治療(重症化予防)、緊急性の低い症状での医療機関の時間外受診・休日受診を控えることなどが挙げられます。
これらの取組の第一歩として、ご自身やご家族の健康状態の『現在値(いま) 』を知り、健康第一の生活習慣を定着させることが重要と考え、京都支部では皆さまの健康づくりサポートを、より分かりやすく身近に感じていただくための特設サイトを開設していますので、ぜひ一度ご覧ください。
協会けんぽ京都支部広報プロジェクト 「現在値(いま)が見える場所」
特設サイトはこちら
https://kyoukaikenpo-kyoto.jp/
また、医療費の節約に繋がるのは、日々の健康づくりによる予防や早期の医療機関受診だけではありません。薬局等で受け取るお薬にジェネリック医薬品を選択することによっても節約することが可能です。協会けんぽ加入の皆さまが全てジェネリック医薬品に切り替える(使用割合が100%となる)ことで、合計約4,300億円の医療費の軽減が見込めます。
そうした中で、京都支部は全国的にみても特にジェネリック医薬品使用割合が低くなっています。(図2)
協会けんぽでは、医薬品の安全性確保に関する取組や安定供給の状況を踏まえた上で、加入者・薬局・医療機関等へのジェネリック医薬品使用に関する啓発・協力依頼などの取組を実施しています。
( 図2 )
協会けんぽの取組(一例)
1.ジェネリック医薬品軽減額通知
・いまお使いの医薬品をジェネリックへ切り替えた
場合に、具体的にどれくらい金額が安くなるかを
個別に通知しています。
2.ジェネリック医薬品希望シール
・医師や薬剤師には直接ジェネリックへの切り替えを
伝えづらいという方もいるかもしれません。
そんな方のために保険証やお薬手帳に貼って意思を
伝えることができるシールをご用意しています。
★ジェネリック医薬品の供給について
現在一部のジェネリック医薬品で供給不足や欠品が生じており、切り替えを希望されても難しい場合があります。切り替えを希望の方は、医療機関や薬局とよくご相談ください。
■「 医療保険の『 現在値(いま) 』をみる 」ということ
協会けんぽ京都支部では、次世代に向けて国民皆保険制度を引き継いでいくため、医療保険財政やそれに影響する健康保険料率の現状を、保有するデータを活用して加入者の皆さまに提供し、「 医療保険の『 現在値(いま) 』」をみていただくための広報活動を行っております。
皆さまが「 医療保険の『 現在値(いま) 』 」をより良くすることは、未来の子どもたちが安心して医療を受けることのできる未来をつくるために大切なことです。
皆さまの何より大切な健康のため、未来の子どもたちに国民皆保険制度を引き継いでいくためにも、健診受診やジェネリック医薬品選択へのご協力をお願いいたします。
■全国健康保険協会(協会けんぽ)概要
健康保険法に基づいて設立され、約240万の事業所と約4,000万人の加入者からなる日本最大の医療保険者であり、主に中小企業で働く方とそのご家族が加入しています。
47都道府県支部で構成され、その中で京都支部では約5万4,000事業所・約89万人の方が加入しています。