インフレの急進展と効果的な価格マネジメントの欠如により、 世界の3分の1の企業が リスクにさらされていることが最近の調査で明らかに
大幅なコスト上昇にもかかわらず、 多くの企業が売上量の減少を怖れ、値上げを回避している状況
[東京, 2022年4月6日]- 多くの市場で過去数十年間見られなかったレベルのインフレが進展しており、企業は大幅な利益率の悪化に直面しています。グローバル・コンサルティング会社 サイモン・クチャーアンドパートナーズ(SKP)が最近行った「インフレ・プライシング・スタディ*」では、企業の3分の1(32%)が、人件費や生産コストの急増により、今後1年間で6%以上のコスト増を見込んでいることが明らかになりました。同時に、20カ国3,000社以上の企業を対象としたグローバル調査では、3社に1社(31%)が、上昇するコストとインフレ率に対応した価格引き上げを実施せず、また引き上げの予定もないことが明らかになりました。
■価格への圧力が続く
調査対象企業の多く(58%)は、コスト上昇に対抗するための値上げの重要性を認識しています。しかし、10社中7社が値上げによる許容しがたい売上数量減を懸念しており、最適なアプローチを採ることに躊躇しているようです。こうした価格圧力は、企業だけでなく、最終消費者や株式市場など、すべての人に影響を与えることになるでしょう。
SKPの消費財セクターのシニアパートナーであるTim Brzoskaは、以下のようにコメントしています。
「値上げの方法と時期について、企業には自信がないようです。ここ数年の低インフレ状況を鑑みると、これは多くの企業にとって全く新しい課題です。効果的な価格マネジメントの欠如は、株価や投資家の信頼に悪影響を及ぼすなど、企業にとって現実的な脅威となります。実際、コストの価格への転嫁に失敗すると、利幅が大きく損なわれ、長期的に存続できなくなる危険性があるのです。」
■最終的な値上げの影響は広範囲に及ぶ
本調査では、約半数の企業(52%)が値上げまたはさらなる値上げを計画していることが明らかになりました。しかし、これらがコスト上昇との闘いにどの程度効果的であるかは不明です。予想されるコスト増のうち、どの程度を値上げとして転嫁できるかを尋ねたところ、回答者は平均して30%程度と見積もっています。6%のコスト増の場合、4.2%のコスト増が企業の収益に響くことになります。(70%×6%=4.2%)
「多くの企業は、まだコストを転嫁できていません。転嫁されれば、消費者はさらに大きなインフレの影響を受けることを示唆しています」とBrzoskaは付け加えています。
■現在のインフレ率では、多くの企業が“眠れる”スキルを必要としている
値上げを実施する企業のうち、4社に1社(26%)は、支払い意欲や収益性による差別化を行わず、顧客全体に均等に値上げを実施しています。このような優先順位付けの無さは、企業が十分な値上げ、最大の値上げを実現する機会を失うことに繋がります。
SKPのビジネスサービス部門のグローバルヘッドであるフィリップ・ビアマンは、次のように述べています。
「値上げは、特に長年にわたる顧客との関係を保っている企業にとって、非常にデリケートなテーマです。現在の経営陣の多くは、このレベルのインフレを経験したことがないため、企業は近年“眠っていた”価格設定の能力と覚悟を速やかに取り戻す必要があります。つまり、今、企業が競争に勝ち抜くためには、考え抜かれた価格設定とコミュニケーション戦略が根本的に重要となるのです。」
■日本企業の状況はより深刻
SKPの日本代表シニア・パートナーの栃本 克之も以下のように述べます。
「日本は諸外国と比較してもインフレ対応力の喪失は著しいと言わざるを得ません。他国が緩やかなインフレから急激なインフレへのシフトで右往左往するという状況と比して、日本では実質的にデフレからいきなりの急激なインフレという状況を迎えることになります。実際今回の調査でもインフレに対する対応を決め切れない状況が海外よりも顕著に出ています。この局面を大きな転機と捉えて、合理的で戦略的な価格設定を行える企業が今後大きくリードしていくことは間違いないでしょう。」
本調査の詳細については、国別データを含め、ご要望に応じて提供します。
*本調査に関して:「Inflation Pricing Study」は2021年12月から2022年3月にかけてサイモン・クチャーアンドパートナーズにより実施(YouGovを通じ)。20カ国、3,000以上の企業が参加しインフレーションと値上げについて回答。
Simon-Kucher & Partners, Strategy & Marketing Consultants:
サイモン・クチャーアンドパートナーズはTopLine Power(R)に特化するグローバル・コンサルティングファーム。実践的で科学的検証に基づいた戦略を提案し、クライアント企業の成長、収益確保の実現に貢献。またプライシング戦略のリーディングアドバイザー、理論的な先駆者としても広く知られる。世界42拠点に1,700名以上のスタッフを擁する。
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