安藤ハザマ東北支店ビル FM(ファシリティマネジメント)事業への取り組み
~環境に優しい次世代省エネルギー建築の創出~
2022.05.10 11:15
安藤ハザマ(本社:東京都港区、社長:福富 正人)は、建設業界を取り巻く事業環境の変化に対応して、収益安定化を図るために、フローとストックのバランスの取れた事業ポートフォリオへの変革を目指しています。その一環として、自社で保有している国内支店ビル等の不動産の有効活用を進めるべく、FM(ファシリティマネジメント)事業に取り組んでいます。
第一弾として、仙台市青葉区の安藤ハザマ東北支店ビルについて、自社使用事務所と賃貸共同住宅とのハイブリッド型に建替えて、収益化を図ります。
また、安藤ハザマはカーボンニュートラルな社会の実現にも取り組んでおり、今回の建替えにあたっては、「地域特性を活かした、健康かつ生産性の高い、省エネルギーな次世代オフィスビルづくり」を目指して、井水利用による天井輻射空調方式(注1)をはじめ、さまざまな環境技術を採用します。事務所部分はNet-ZEB(100%以上エネルギー削減)、賃貸住宅部分はZEH-M Oriented(20%以上のエネルギー削減)の認証取得を予定しています。
さらに、快適性、BCP性能など、ZEB化の効用を多角的にとらえたノウハウを自社物件に適用・検証しながら、今後のお客さまへの提案につなげていきます。
東北支店ビル完成予想イメージ
今後のスケジュールについては、現在、旧支店ビルの解体工事を進めており、2022年7月より新支店ビルの新築工事に着手のうえ、2023年度末頃からの運用開始を目指していきます。
1. 環境技術
(1) 省エネ・創エネ技術
1:井水利用による天井輻射空調方式(省エネ技術)
オフィス部分の空調は、省エネルギーであることはもとより、健康で快適な執務空間作りを目指し、天井輻射空調方式を採用します。また、現地で地下水(井水)の採水が可能、かつ井水の利用基準をすべて満たしていることから、空調熱源に井水を利用することで、さらに省エネルギー効果が高まります。
2:パッシブな省エネルギー技術
断熱性能の高い外壁材選定、屋上外断熱の強化、Low-E複層ガラス(注2)の採用、住戸間断熱補強など、建物全体の断熱性能を高めるとともに、庇やバルコニーによる日射抑制を行い、空調負荷低減を図ります。
また、事務所部分は、屋内階段を中心とした自然換気システムを構築し、中間期の空調エネルギーを削減します。
3:高効率設備機器(省エネ技術)
照明はすべてLED照明とします。特にオフィスの照明器具は個別制御が可能な器具とすることで、昼光センサー等を駆使して、大幅な照明エネルギー削減を実現します。
加えて、住宅部分の給湯器・エアコンは高効率設備機器とすることで、ZEH-M Oriented認証レベルの省エネ率を実現します。
4:建物壁面も活用した太陽光発電(創エネ技術)
屋上ほぼ全面および南側壁面に太陽光パネルを設置することにより、Net-ZEB達成に必要な創エネ率を確保します。建物南側に設置する壁面太陽光パネルは日射抑制庇としての機能も合わせ持ちます。
太陽光パネルは有事の電源としても活用し、自家発電機、蓄電池と合わせて、地域基幹店社としてBCP性能確保に寄与します。
(2) 環境に優しい建設材料の選定
マットスラブやCFT柱部には、コンクリート材料に由来するCO2の排出量を削減した環境
に優しい低炭素コンクリートを採用します。
使用部位に合わせて、CfFA(高品質フライアッシュを使用)、BBFA(高炉セメントB種及びフライアッシュを使用)の使い分けを行います。いずれのコンクリートも使用する材料の一部を産業副産物に置き換えることでCO2排出量を削減します。
採用する環境技術のイメージ
2. 構造技術 安藤ハザマ座屈拘束ブレース(AH-BRB)
AH-BRBは、当社が独自に保有する技術であり、芯材を座屈拘束材で覆うことにより、圧縮力が作用しても引張力が作用したときと同じように安定して地震力に対抗することができるブレースです。
通常の鉄骨ブレースを用いると、大きな圧縮力を受けた際にブレースが座屈し、不安定な挙動を示しますが、本技術により圧縮力を受けた際にも、引張力を受けた場合と同様に安定した耐震性能を発揮することで、建物全体の耐震性能を向上させます。また、座屈拘束鋼材の小型化も可能であり、経済性にも優れています。
AH-BRBの構成
左:在来鉄骨ブレース 右:AH-BRB
【東北支店ビル概要】
建設地 :宮城県仙台市青葉区片平1-2-32
概要 :S造 地上10階 地下1階
延床 約8,000m2
事務所(当社使用):Net-ZEB
賃貸住宅(102戸):ZEH-M Oriented
設計・施工:安藤ハザマ
(注1)天井輻射空調方式
輻射空調は、天井に敷設する輻射空調パネルに冷温水を通じ、空調パネルと発熱源(人体等)との間で直接熱交換を行う方式。空気式と比較して室内の温度ムラが少なく、空調温度設定を2℃程度緩和することが出来るとともに、温調にかかる空気搬送が不要なため、省エネルギー効果が高い点が特長。
(注2)Low-E複層ガラス
複層ガラスの内側にLow-E膜をコーティングすることで断熱性と遮熱性が向上する
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