明治27年(1894年)創業、 ゆかた製造卸「三勝(さんかつ)」 歌川国芳作「荷宝蔵(にたからぐら)壁のむだ書き」ほか、 2022年夏のゆかた新作を発表!
三勝ゆかた博物館には、人気の「江戸元禄」シリーズや アーカイブ柄を新たな生地で染めたコレクション、 定番の長板中形など、およそ300種類の反物がそろいました!
三勝株式会社(所在地:東京都中央区、代表取締役社長:4代目天野半七/天野美香子)が運営する三勝ゆかた博物館(所在地:東京都中央区、三勝株式会社内)は、このたび2022年の新作ゆかたを発表いたしました。
今回の目玉となる商材は、同社が展開する「江戸元禄」シリーズの一つとなる、「荷宝蔵(にたからぐら)壁のむだ書き」ゆかたです。江戸時代末期の浮世絵師・歌川国芳(うたがわくによし)のむだ書き(落書き)をモチーフとしたもので、大胆なデザインと生地の風合いが特徴です。ほかにも同社のアーカイブ柄を選び、新たな生地で染めたものや、定番の長板中形(注1)など、およそ300種類のゆかた反物がそろいました。
注1:長板中形(ながいたちゅうがた)
江戸時代に発展した、型紙を使って藍で染める染色技法。伊勢型紙(柿渋の塗った和紙を彫刻刀で彫った型紙。三重県鈴鹿市で1,000年以上の歴史を持つ伝統工芸品)を使用すること、両面糊置きをすること、藍を使用することを条件とし、白がくっきりと染め抜かれる点が特徴
■2枚の伊勢型紙を使い、国芳が描いた表情や細かい線を表現!
2種類の異なる生地で、個性溢れる着こなしが楽しめる「荷宝蔵壁のむだ書き」
*「粋」のある伝統的型染め「注染」
三勝のゆかたをはじめ、明治時代から多くのゆかたや手ぬぐいは「注染(ちゅうせん)」で染められています。
注染とは、その名の通り、染料を注いで染める伝統的な型染めの一種です。重ねた生地の上に伊勢型紙を置き、特殊な糊で防染します。その上から染料を注ぎ、模様部分を染め上げます。
一度に何枚もの生地を染められるほか、生地の表裏なくきれいに染まるのが特徴です。職人の手作業による美しい染めには、粋な風情が生まれます。
三勝がこのたび新作として発表した「荷宝蔵壁のむだ書き」は、2枚の異なる伊勢型紙を用い、この注染を2回繰り返す「細川染め」という手のかかる技法で染め上げました。
*風合いの異なる3種類の生地が揃うラインナップ
「荷宝蔵壁のむだ書き」ゆかたは、刷毛書きをしたような縦縞の織りが特徴の「綿紬(つむぎ)刷毛目」、黒糸の節が特徴の赤坂紬を用いた「綿紬ネズ」、火消し半纏で使われる刺し子生地の「刺し子」、生地や風合いの異なる3種類のバリエーションを揃えました。
個性的な柄も相まって、新しいゆかたの魅力を楽しめる自信作です。
*歌川国芳「荷宝蔵壁のむだ書き」
天保の改革で奢侈禁止令(贅沢禁止令)が初令され、役者絵や美人画も取締り対象になり、国芳らしい反骨精神で落書きを装い、描いたものと伝えられます。
四代目尾上梅幸の当たり役・花園や、五代目澤村宗十郎の清七、心中場面の相合い傘、尻尾が二股になっている猫の妖怪・猫又などをデザインしました。なお「大でき」とは、「とてもよい」「お気に入り」「上出来」といった意味。令和4年がよい一年になるよう、デザインに願いをこめました。
□歌川国芳「荷宝蔵壁のむだ書き」
・素材 :綿100%
・反物巾 :約40cm×長さ:約13m(乱規格)
・反物価格:各77,000円(税込)
■三勝ゆかた博物館の所蔵するアーカイブ柄から「蜻蛉(とんぼ)」と「薊(あざみ)」を復刻!新たな生地と色合いによって、今年らしい新鮮なゆかたを提案します
2022年の新作ゆかたとして、三勝ゆかた博物館の所蔵するアーカイブ柄から「蜻蛉(とんぼ)」柄と「薊(あざみ)」柄を復刻しました。
とんぼは前にしか進まず、退かないことから「勝ち虫」と呼ばれ、縁起のよい柄として、特に戦国武将に好まれてきました。
「蜻蛉」は直線的で大胆なとんぼ柄を、注染で染めた糸を使い、変化のある美しい織りが特徴の「富士やま木綿」と赤坂紬、織りの異なる綿紬で復刻。前者は涼しげな印象を生み、後者は柄がキリッと映える粋な風情を漂わせます。
ゆかたで人気のあざみ柄の中でも、「薊」は控えめで品の漂う繊細な図柄を、刷毛目の綿紬としじら織で復刻。大人らしい、洗練された着こなしが楽しめます。
□「蜻蛉」
・素材 :綿100%
・反物巾 :約40cm×長さ:約13m(乱規格)
・反物価格:綿紬富士やま木綿/各77,000円(税込)・綿紬赤坂紬/各44,000円(税込)
□「薊」
・素材 :しじら織/素材:綿78%・麻22%、綿紬刷毛目/綿100%
・反物巾 :約38cm×長さ:約13m(乱規格)
・反物価格:各44,000円(税込)
■三勝でしか実現できない柄と色合い!「江戸元禄」シリーズも充実しています
三勝のゆかたを代表する「江戸元禄」シリーズは、浮世絵に登場する江戸の意匠を、現代のセンスにあったデザインで図柄化。注染では不可能とされていた、色を立たせない究極の淡色出しの技術によって、上質な素材に染め上げました。
今年の干支でもある虎のモチーフであり、葛飾北斎の名作を用いた「雪中虎図(せっちゅうとらず)」や、歌川国芳らしさが表現され、猫が寄り集まってドクロをかたちづくる「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助(くによしもようしょうふだつきげんきんおとこ のざらしごすけ)」など、人気の定番柄を刺し子生地や綿紬刷毛目など、複数の異なる生地に染め上げました。
性別を問わず、傾(かぶ)いたお洒落を楽しめるゆかたを提案します。
■三勝を語る上で欠かせない人間国宝の染め職人・清水幸太郎と、その三男で三勝ゆかた博物館の前館長・清水敬三郎
三勝本社のある日本橋界隈は、ゆかたの製造や卸販売など、繊維問屋街として発展してきました。なかでも三勝は、ものづくりに妥協を許さず、すべて手作業による昔ながらの染色技法にこだわり続けています。
頑なまでのこだわりを牽引してきたのが、三勝専属の染職人だった故・清水幸太郎です。長板中形における卓越した技術から、幸太郎は昭和30年(1955年)に国指定の重要無形文化財に指定されました。
その技術を受け継ぎ、ゆかたの新たな技法に挑戦し続けてきたのが、幸太郎の三男で、三勝ゆかた博物館の前館長・清水敬三郎です。敬三郎は幸太郎の作品をはじめ、戦禍から逃れた貴重な資料などを大切に整理、保管してきました。
さらに複数の伊勢型紙を使い、版画のように美しい作品を数多く手がけ、三勝はもちろん、ゆかたの新たな魅力と文化を生み出すことに精力を注ぎました。
惜しまれつつ2021年にこの世を去りましたが、三勝は清水親子の残した遺産を受け継ぎ、三勝らしいものづくりを踏襲しています。
■ゆかたの新たな文化を発信する拠点「三勝ゆかた博物館」
三勝が運営する「三勝ゆかた博物館」は、産地の職人とのものづくりを伝える場所として、2021年3月、装いも新たに三勝株式会社本社1階にオープンしました。
館内には1万枚超の貴重な伊勢型紙を所蔵展示するほか、人間国宝の故・清水幸太郎の精巧無比な作品をはじめ、300点超のゆかた・綿きもの・シルクウールの反物、染色の道具、大正時代からの雑誌やポスターなど、貴重な資料を展示しています。
また、商談やイベント、ワークショップをはじめ、ビジネスとしてきものに携わる方や、一般のきもの好きの方など、さまざまな交流を通じて、新たなゆかた・きもの文化を発信する拠点を目指しています。
*三勝ゆかた博物館
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3-4-7
TEL : 03-3661-3860(11:00-16:00 土・日・祝日除く)
※事前予約が必要です。詳細やご予約は、メールやインスタグラムのDMで対応しています
E-mail : contact@sankatsu-zome.com
インスタグラム: https://www.instagram.com/sankatsu_yukata/
■勝(すぐ)れた生地に、卓越な勝(すぐ)れた意匠を、
他に勝(まさ)る技法で染め上げる「三勝」
3つの「勝」を誠実に貫き、自らを厳しく律し、高品質の製品をお届けするという志を社名とする三勝株式会社は、明治27年(1894年)創業のゆかたメーカー・染め元です。創業者の天野半七は、浄瑠璃の「艶容女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ)」の登場人物「三勝」と「半七」にあやかって屋号を名付けました。
人間国宝・清水幸太郎直伝の技術を活かし、美しい色合いや大胆な柄、繊細なものづくりが特徴です。注染や江戸元禄、長板中形など、江戸の風景を現代に忍ばせるゆかたや綿きもの、シルクウールきものを中心に、新たな歴史と文化の創生を目指しています。
三勝ゆかた博物館は、三勝の製品を通して、ゆかたやきものの新たな文化を発信していきます。
■会社概要
社名 : 三勝株式会社
本社所在地: 〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3-4-7
代表者 : 4代目天野半七(天野美香子)
創業 : 1894年(明治27年)
設立 : 1942年(昭和17年)
事業内容 : ゆかた・きもの(木綿・麻・シルクウール等)
および和装製品の製造卸販売
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柄番:2313/生地:綿紬刷毛目/刷毛書きをしたような縦縞の...
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柄番:2311/生地:綿紬ネズ/黒糸の節が特徴の赤坂紬という...
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柄番:2312/生地:刺し子/火消し半纏で使われる刺し子生地
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歌川国芳「荷宝蔵壁のむだ書き」着姿イメージ
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2枚の伊勢型紙を重ねた状態
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2枚目の型を持ち上げた様子。型ごとに染める部分が異なる
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「蜻蛉(とんぼ)」(左から)柄番:345/生地:綿紬富士やま...
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「薊(あざみ)」(左から)柄番:350/生地:しじら織、柄番...
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人気の裏変わりほか、長板中型の反物の一部
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三勝ゆかた博物館外観
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