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広島大学と5部門横断での「感染症教育VR」を制作! 医学部共用試験形式の実証実験でVR教材の“高い学習効果”を確認

〜 医学雑誌「American Journal of Infection Control」に実証実験の結果を掲載 〜

 株式会社ジョリーグッド(東京都中央区、代表取締役:上路健介、以下 ジョリーグッド)と広島大学病院(広島県広島市、感染症科教授:大毛宏喜 他)は、臨床実習VRプラットフォームのオペクラウドVRを用いて、新型コロナウイルスを含む「感染症対策」を共通テーマに、「医学」「看護」「歯学」「薬学」「リハビリ」といった5部門横断型の感染症教育VRを共同制作しました。

 また、広島大学病院 感染症科の大森 慶太朗診療講師らのチームが、医学生を対象に今回開発した感染症教育VRを用いた実証授業と医学部共用試験OSCE(オスキー)形式の実技試験を組み合わせた実証実験を行ない、VRによる学習を行った学生は、従来の講義形式の学習を行った学生に比べ、より正しく感染対策が実践できることを検証しました。なお、本研究成果は、2022年7月12日付けで American Journal of Infection Control誌のオンライン版に掲載されます。

 今後、広島大学では、疑似体験によって高い教育効果が得られるVR教材を積極的に活用して医学生の実技レベルを飛躍的に向上させ、臨床実習にて自信を持って患者診療が行える学生医「スチューデント・ドクター」を輩出し、感染症に強い人材を早期段階から育成していきます。
【参考】令和2年度第三次補正予算事業「感染症医療人材養成事業」
本取り組みは、文部科学省の令和2年度「感染症医療人材養成事業」にて広島大学が採択された事業の一環として、感染症診療の教育水準の底上
げに繋げていく教育プロジェクトです。(文部科学省採択結果:https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/iryou/1386945_00002.htm )

■医学部共用試験OSCE(オスキー)と臨床実習の課題

 2013年以前の臨床実習は、外来での見学や入院患者を対象とした診療の見学など、「見学型」の臨床実習になっていたため、医師としての技能、態度を自らの体験として学ぶことが十分にできていませんでした。そのため、2014年より、4年次に実施される共用試験(CBT、OSCE)に合格した医学生を「スチューデント・ドクター」に認定し、患者処置が行える参加型の臨床実習が行えるようになりました。
 しかし、実態としては、医学生の診療参加について、指導医の約7割が「十分とは言えない」と回答しており、その理由として、指導医の約6割が「学生の準備不足(事前教育が受けられていない)」と回答するなど、実技レベルの向上が大きな課題となっています。
▲出典:医道審議会 「診療参加型臨床実習推進のためのアンケート調査結果」

■共同制作した医療教育VR 概要

 感染症対策を共通テーマとして、各部門の臨床現場における基本行動やトラブルシューティングを学ぶコンテンツを合計5本制作しました。360度実写映像によって撮影されたリアルな現場映像をベースに、CGを用いてウイルス・細菌の飛沫や付着を表現し、医療スタッフの目線のみならず患者視点でも、感染症のリスクをリアルに体験できるコンテンツとなっています。今後、あらゆる職種の医療従事者が様々な視点で感染対策の実例を学んでいただけるように展開します。

<コンテンツ詳細>
・コンテンツ①「MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)感染対策」(医学)
・コンテンツ②「新型コロナウイルス感染症患者の看護における感染対策」(看護)
・コンテンツ③「歯科診療における感染対策」(歯学)
・コンテンツ④「抗がん剤調製における感染対策及び抗がん剤曝露対策」(薬学)
・コンテンツ⑤「新型コロナウイルス感染症患者のリハビリにおける感染対策」(リハビリ)
コンテンツ①VR映像イメージ(医学)
コンテンツ③VR映像イメージ(歯学)
コンテンツ④VR映像イメージ(薬学)

■感染症教育VRの実証実験結果 概要

【実証実験方法】
広島大学の医学科4年生を、VR群(21名)と講義群(21名)に分け、それぞれVRによる学習と、パワーポイント動画による講義形式の学習を受けてもらい、学習効果を検証。

・評価方法
学習前と学習後にOSCE形式で身体診察を行ってもらい、感染対策の実施状況を評価。
・設定課題
2名の患者を腹部診察する設定で、患者①は腹部術後にMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)による創部感染を起こした患者、患者②は虫垂炎に対し保存的加療を行っている患者と設定。
・採点方法
標準予防策として診察前後の手指衛生が出来ているかに加え、MRSA患者の診察では接触感染予防策として手袋やエプロンを正しく着脱できているかを採点。
【結果】
学習前と学習後の点数を比較したところ、VR群、講義群のいずれにおいても、学習後に、手指衛生、エプロン装着、手袋装着、合計点の点数が高くなっており、学習効果を認めた。VR群と講義群の学習後の点数を比較したところ、VR群の方が、講義群より合計点が高く、より学習効果が高い可能性が示唆された。(VR群:7点→12点、講義群:6点→9点)

本研究成果は、2022 年 7月 12 日付けで American Journal of Infection Control誌のオンライン版に掲載されます。

【論文情報】
掲載誌: American Journal of Infection Control
論 文 タ イ ト ル : Virtual reality as a Learning Tool for Improving Infection Control Procedures
著者:Keitaro Omori(大森 慶太朗), Norifumi Shigemoto, Hiroki Kitagawa, Toshihito Nomura, Yuki Kaiki, Kentaro Miyaji, Tomoyuki Akita, Tomoki Kobayashi, Minoru Hattori, Naoko Hasunuma, Junko Tanaka, HirokiOhge
DOI: 10.1016/j.ajic.2022.05.023

■2022年7月12日に広島大学で実証結果に関する記者会見とデモVR授業を実施

■感染症教育VRに期待すること(広島大学病院 感染症科 プロジェクトリーダー 大毛 宏喜 教授コメント)

 感染症対策はすべての職員が取り組む課題です。職種によって業務や視点が異なりますので、相互の理解に基づいて協力して取り組む必要があります。今回、職種横断的に協力してVR教材を作成いたしました。  
 様々な視点から感染リスクを学び、感染対策の実例を疑似体験することは、実際の臨床現場で役立つ技術の獲得につながるものと期待しています。今後も教材を充実させ、多くの医療人に卒前卒後の学びの機会を提供することで、社会に貢献してまいりたいと考えております。

■広島大学(https://www.hiroshima-u.ac.jp/

 広島大学は 、12学部、4研究科を擁する日本における有数の総合研究大学です。世界をリードする先端研究を通じて、高度人材育成に取り組み、社会、国際社会の発展に貢献しています。
 広島大学病院は1945 年、前身となる広島県立医学専門学校と附属病院が開校。県立医科大学をへて 53 年に国立に移管しました。日本国内で有数の高度医療技術を持つ医療機関として、医科・歯科合わせて 47 診療科を設置しています。中四国唯一の小児がん拠点病院をはじめ、災害対応や新型コロナウイルス感染症への対応など行政や他の医療機関とも連携して地域医療に貢献しています。

■オペクラウドVR(https://jollygood.co.jp/opecloud

 オペクラウドVRは、医療施設に高精細360度カメラとサーバーを常設してあらゆる症例を簡単に高精度VR化し、術者目線の技を360度視点で体験学習できるVR臨床教育プラットフォームです。必要機材の設置から撮影・編集レクチャーをジョリーグッドが行い、臨床実習VRをセルフ制作することができます。
 本サービスは、コロナ重症患者で需要が増した人工心肺ECMOのトレーニングや、臨床実習ツールとして医科大学をはじめとする教育機関や研究センターへの導入の他、医療機器メーカーの安全教育など、全国各地の医療機関で豊富な導入実績を誇っています。

導入・問い合わせはこちら:https://opecloudvr.com/contact/

■株式会社ジョリーグッドについて(https://jollygood.co.jp/

 ジョリーグッドは、高精度なVRソリューションと、VR空間のユーザー行動を解析するAIによる医療福祉向けサービスを開発するメディカルテクノロジーカンパニーです。VRやAIなどのテクノロジーにより、医療教育、障害者支援、精神疾患治療など、人の成長や社会復帰を加速し、医療の進化や人の生きがいを支えるサービスを様々な研究機関や企業の皆様と共に展開しています。
【企業理念】
テクノロジーは、それを必要とする人に使われて、初めて価値がある。

【ミッション・ビジョン・バリュー】
ミッション:『テクノロジーで人の成長を加速する』
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