日本の株式市場の戦前期データベースを構築
140年にわたる歴史的趨勢が明らかに
明治大学 研究・知財戦略機構 株価指数研究所(代表:商学部 三和裕美子教授)は、1878~1951年における日本の企業の個別株価や、資本金、配当金、資本異動のデータを収集し、日本の戦前期の株価データベースを構築しました。株価指数研究所は、このデータベースを用い、日本で初めて株式取引所が発足した1878年から1951年に至るまでの株価指数(三和・岡本日本株価指数)を算出しました。当指数を戦後のTOPIX等の指数と共に用いることにより、140年超にわたる日本の株式市場の歴史的な趨勢が明らかになります。
日本の株式市場は、1878年における東京株式取引所の創立を起点として、現在までに140年を超える歴史を有しています。しかしながら、明治・大正・昭和戦前期における株価データベースは十分に整備されてきておらず、歴史的な株式市場の趨勢は断片的にしか分かりませんでした。そこで、株価指数研究所は、戦前期における企業の個別株価や、資本金、配当金、資本異動のデータベースを構築しました。
株価指数は、株式市場の全体的・平均的な動態を示すための代表的な指標です。米国株式市場を対象とした株価指数ではダウ平均などがあり、1880年代初頭から現在に至る長期的な株価指数の算出がおこなわれています。一方、日本では日経平均(1950年9月より算出開始、1949年5月まで遡及算出)やTOPIX(1968年7月より算出開始、1949年5月まで遡及算出)などの株価指数が算出されていますが、いずれも戦後の株価データを用いた指数です。株価指数研究所は1878~1951年の長期清算取引の株価データをもとに指数を算出し、それ以降は、株式会社JPX総研が算出するTOPIX[1] を利用することで日本の株式市場の通時的な趨勢を明らかにしました[2]。
本指数は、一切の修正を施さない価格指数PI(Price Index)、戦前期に特有な金融制度や増資権利落ちなどを勘案した修正株価指数API(Adjusted Price Index)、APIに対して配当の再投資効果を反映した配当込修正株価指数TRI(Total Return Index)の3指数で構成されます。PIに対して株式分割払込制度や株主割当額面発行増資などの影響を修正することにより、より実態に近い投資収益率を計測することができます。加えて配当の再投資効果を考慮することで、株式投資におけるトータルリターンが明らかになり、市場参加者の投資成果や企業業績などを反映した長期的な株式市場の動向を分析することができます。
株価指数研究所は今後、企業への技術移転と本知的財産の商業利用化を進め、産学協同プロジェクトにて日本および世界に発信していく予定です。
[1] TOPIXの指数値及びTOPIXに係る標章又は商標は、株式会社JPX総研又は株式会社JPX総研の関連会社(以下「JPX」といいます。)の知的財産であり、指数の算出、指数値の公表、利用などTOPIXに関するすべての権利・ノウハウ及びTOPIXに係る標章又は商標に関するすべての権利はJPXが有します。
[2]1952年以降は参考としてTOPIX等を元に表示しています。1951年以前の指数算出の方法はトータルリターンを算出するという目的はTOPIXと同様ですが、その算出方法には異なる部分があります。
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