連合調べ 夫婦は「同姓でも別姓でも構わない」64.0%、「同...

連合調べ  夫婦は「同姓でも別姓でも構わない」64.0%、 「同姓であるべきだ」18.3%で45.7ポイント差、 男女差が顕著に

夫婦別姓と職場の制度に関する調査2022

日本労働組合総連合会(略称:連合、所在地:東京都千代田区、会長:芳野 友子)は、「選択的夫婦別氏制度」(以下:選択的夫婦別姓)に対する意識や職場の制度の実態を把握するために、「夫婦別姓と職場の制度に関する調査2022」をインターネットリサーチにより2022年7月15日~7月16日の2日間で実施、20歳~59歳の働く男女1,000名の有効サンプルを集計しました(調査協力機関:ネットエイジア株式会社)。


[調査結果]

≪選択的夫婦別姓について≫

現在の制度では、婚姻によって、夫婦のどちらかが必ず名字(姓)を変えなければならないことになっています。“選択的夫婦別姓”とは、「夫婦は同じ姓を名乗る」という現在の制度に加えて、「希望する夫婦が結婚後にそれぞれの結婚前の姓を名乗ることも認める」というものです。


◆夫婦の姓のあり方に対する考え 「同姓でも別姓でも構わない」が64.0%にのぼるのに対し、「同姓であるべきだ」は18.3%にとどまり、45.7ポイントの差

◆「同姓でも別姓でも構わない」の割合は、男性(57.8%)と女性(70.2%)で12.4ポイントの差


20歳~59歳の働く男女1,000名(全回答者)に、夫婦の姓や選択的夫婦別姓について質問しました。


まず、全回答者(1,000名)に、夫婦の姓のあり方についてどう思うか聞いたところ、「同姓でも別姓でも構わない」が64.0%(「自分は夫婦同姓がよい。自分たち以外の夫婦は同姓でも別姓でも構わない」31.7%、「自分は夫婦別姓が選べるとよい。自分たち以外の夫婦は同姓でも別姓でも構わない」32.3%の合計)、一方で、「同姓であるべきだ」が18.3%と、45.7ポイントもの差が出ました。

「同姓でも別姓でも構わない」とする割合を、男女・年代別に見ると20代女性(73.6%)が最も高く、40代男性(55.2%)と18.4ポイントの差が出ています。男女・婚姻状況別に見ると、女性既婚(71.9%)が最も高く、男性独身(57.7%)と14.2ポイントの差が出ています。

また、自分自身も「夫婦別姓が選べるとよい」と思っている人の割合は、20代女性(40.0%)が最も高くなり、30代女性(36.0%)が続き、男性でも30代(35.2%)、20代(33.6%)の割合が高くなっています。

男女別では「同姓であるべきだ」とする人の割合は、男性は24.6%と、女性(12.0%)と比べて12.6ポイント高くなりました。他方、「同姓でも別姓でも構わない」とする人の割合は、男性が57.8%、女性が70.2%と、12.4ポイントの差が出ました。


◆選択的夫婦別姓が導入されたら自分はどうしたい?

 「夫婦同姓がよい」は独身では40%未満、婚姻状況による差が大きい


全回答者(1,000名)に、選択的夫婦別姓が導入された場合、どうしたいか聞いたところ、婚姻状況別に見ると『夫婦同姓がよい』は独身(39.3%)、既婚(62.3%)で、23.0ポイントもの差が出ています。男女・年代別に見ると、『夫婦同姓がよい』とする割合は、男性は年代が上がるにつれ高くなり、20代(42.4%)と50代(62.4%)で、20.0ポイントの差が出ています。


※『夫婦同姓がよい』(=「夫婦同姓がよい」「夫婦同姓で、配偶者の名字に変えたい」「夫婦同姓で、配偶者には自分の名字に変えてほしい」「旧姓を通称使用できる(している)ため、同姓でよい」の項目の1つ以上を選択した人の割合)

『夫婦別姓がよい』(=「夫婦別姓がよい」「配偶者の名字に変更しているが、旧姓に戻したい」の項目の1つ以上を選択した人の割合)


◆婚姻により「名字(姓)を変えた」、女性は92.2%、男性は6.8%で、20代男性では16.1%


婚姻届を提出した人(男性264名、女性256名)に、名字(姓)を変えたか聞いたところ、男性では「変えた」が6.8%、「変えていない」が93.2%、女性では「変えた」が92.2%、「変えていない」が7.8%となりました。

男女・年代別に見ると、名字を変えた人の割合は、男性では20代が16.1%、30代が11.3%、40代が3.7%、50代が3.4%と、若い層ほど高くなりました。他方、女性では年代によって大きな差はなく、名字(姓)を変えた人の割合はすべての年代で90%前後にのぼっています。


また、名字(姓)を変えた人(男性18名、女性236名)に、名字(姓)を変えたときに感じたことを聞いたところ、男性では「名字(姓)の変更手続きが面倒だった」が50.0%で最も高くなり、「結婚したと実感した」が44.4%、「自分が違う人になったようだった」が38.9%、「自分ではなく相手に変えてほしかった」が16.7%、「できれば変えたくなかったが仕方なかった」が5.6%で続きました。

他方、女性では「結婚したと実感した」が66.9%、「名字(姓)の変更手続きが面倒だった」が47.9%、「自分が違う人になったようだった」が10.2%、「できれば変えたくなかったが仕方なかった」が5.9%、「自分ではなく相手に変えてほしかった」が2.5%と続きました。


◆旧姓の通称使用に対する考え

「通称として旧姓を使うことができても、それだけでは、対処しきれない不便・不利益がある」25.8%、50代女性では36.0%


続いて、旧姓の通称使用について質問しました。

全回答者(1,000名)に、旧姓の通称使用(戸籍名とは別に、通称として旧姓を使うこと)についてどう思うか聞いたところ、「通称として旧姓を使うことができても、それだけでは、対処しきれない不便・不利益があると思う」は全体で25.8%、既婚では27.3%、男女・年代別で見ると、50代女性が最も多い36.0%となりました。

「通称として旧姓を使うことができれば、不便・不利益がなくなると思う」は全体で57.9%でしたが、独身が62.0%だったのに対し、既婚では54.8%と、婚姻状況で差が出ています。「結婚した以上は、戸籍名を名乗るべきだと思う」は15.5%、男女・年代別で見ると、50代男性が24.8%と最も高くなりました。

通称として旧姓を使うことについては、既婚者と、特に50代女性では「不便・不利益がなくなると思う」とする割合が低く、「それだけでは、対処しきれない不便・不利益があると思う」とする割合が高い傾向が見られます。


◆「職場では旧姓の通称使用が認められている」42.3%、情報通信業で72.7%

 通称使用が認められているもの 1位「名札や名刺」、2位「社内名簿」


職場における旧姓の通称使用の状況について質問しました。

全回答者(1,000名)に、職場では、旧姓(結婚前の名字)の通称使用が認められているか聞いたところ、「認められている」は42.3%、「認められていない」は11.9%となりました。旧姓の通称使用を希望する人に対し、柔軟に対応・運用している職場は少なくないようです。

業種別に見ると、旧姓使用が認められていると回答した人の割合は、[情報通信業](72.7%)や[金融業,保険業](52.5%)、[教育,学習支援](58.9%)、[公務](62.7%)では半数を超えたのに対し、[建設業](33.3%)や[卸売業,小売業](32.7%)、[運輸業,郵便業](25.8%)はやや低い傾向が見られます。

また、労働組合のある職場では、半数以上(51.8%)で旧姓の通称使用が認められており、労働組合がない(37.7%)・有無がわからない(29.6%)職場との差が大きくなっています。


職場で旧姓の通称使用が認められている人(423名)に、通称使用が認められているものを聞いたところ、「名札や名刺」(83.2%)が最も高く、「社内名簿」(57.7%)、「印鑑」「社員証」(いずれも48.5%)、「メールアドレス」(46.3%)、「給与明細」(33.1%)と続きました。


≪職場の制度について≫

◆生活関連手当の有無 「配偶者に関する手当がある」60.6%、「子どもに関する手当がある」60.3%

◆労働組合がある職場では、すべての項目で制度がある割合は高く、雇用形態の区別なく同じ金額で支給されている割合も高い


職場にある生活関連手当(配偶者に関する手当、子どもに関する手当、その他の家族に関する手当、住宅手当、通勤手当、食事手当)について質問しました。


全回答者(1,000名)に、生活関連手当の有無を聞いたところ、【配偶者に関する手当】では「あり・雇用形態の区別なく、同じ金額で支給される」が20.6%、「あり・雇用形態により金額が異なる」が9.6%、「あり・正規雇用にのみ支給され、非正規雇用には支給されない」が10.7%、「あり・雇用形態による違いはわからない」が19.7%で、合計した『手当がある(計)』は60.6%、「手当がない」は39.4%となりました。

また、【子どもに関する手当】では『手当がある(計)』は60.3%、「手当がない」は39.7%、【その他の家族に関する手当】では『手当がある(計)』は50.1%、「手当がない」は49.9%でした。

労働組合の有無別に見ると、労働組合がある職場はすべての手当で、手当があるとする割合が高くなっており、雇用形態の区別なく支給される割合も高くなっています。労働組合がある職場では『手当がある(計)』は【配偶者に関する手当】が76.5%、【子どもに関する手当】が77.4%、【その他の家族に関する手当】が65.3%だったのに対し、労働組合がない職場では【配偶者に関する手当】が46.6%、【子どもに関する手当】が46.0%、【その他の家族に関する手当】が35.0%といずれも半数を下回りました。


その他の福利厚生の手当について見ると、【住宅手当】では『手当がある(計)』は52.6%、「手当がない」は47.4%、【通勤手当】では『手当がある(計)』は85.3%、「手当がない」は14.7%、【食事手当】では『手当がある(計)』は29.0%、「手当がない」は71.0%となりました。

労働組合の有無別に見ると、『手当がある(計)』の割合は、【通勤手当】では労働組合がある職場92.5%、労働組合がない職場81.5%、【食事手当】では労働組合がある職場36.1%、労働組合がない職場20.7%と、どちらも労働組合がある職場が10ポイント以上高くなり、【住宅手当】では労働組合がある職場66.2%、労働組合がない職場40.2%と、労働組合がある職場が26.0ポイント高くなりました。


では、手当を実際に受給している人はどのくらいいるのでしょうか。

職場に制度がある人に、手当の支給状況を聞いたところ、支給されている人の割合は、【配偶者に関する手当】では32.2%、【子どもに関する手当】では35.3%、【その他の家族に関する手当】では22.0%、【住宅手当】では46.2%、【通勤手当】では85.6%、【食事手当】では48.3%と、通勤手当の受給率が突出して高くなりました。


男女別に見ると、支給されている人の割合はいずれも男性のほうが高く、特に、【配偶者に関する手当】は30.9ポイント差(男性46.0%、女性15.1%)、【子どもに関する手当】は29.6ポイント差(男性48.4%、女性18.8%)と、いずれも30ポイント前後の差が出ています。また、それ以外の手当でも【住宅手当】は21.7ポイント差(男性55.8%、女性34.1%)、【その他の家族に関する手当】は15.5ポイント差(男性28.9%、女性13.4%)、【食事手当】は14.7ポイント差(男性54.4%、女性39.7%)、【通勤手当】は5.5ポイント差(男性88.2%、女性82.7%)となっています。


雇用形態別に見ると、支給されている人の割合はいずれも正規雇用が非正規雇用よりも高く、配偶者に関する手当では23.7ポイント、子どもに関する手当では28.3ポイントの差が出ています。


また、男女・雇用形態別に見ると、正規雇用の男性の支給割合が高く、特に、【配偶者に関する手当】は48.2%、【子どもに関する手当】は50.8%と、全体との差が大きくなっています。


すべての手当について、いわゆる非正規雇用は男女ともに支給割合が低くなっています。通勤手当や食事手当など、厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」に記載があるにもかかわらず、均等・均衡待遇が確保されていないことがわかりました。


◆配偶者に関する手当の支給条件 「収入条件がある」が41.6%


続いて、手当の支給条件について質問しました。

職場に制度がある人に、手当の支給条件を聞いたところ、【配偶者に関する手当】では、「婚姻届を提出していると支給される」が39.9%、「世帯主であると支給される」が10.2%、「主たる生計維持者に支給される」が8.9%、「事実婚にも支給される」が3.1%、「同性パートナーにも支給される」が2.8%と、婚姻届の提出が条件となっている職場が多いようです。


配偶者の収入条件の有無を聞いたところ、「収入条件はなく、配偶者の収入額に関わらず支給される」は15.7%となり、「配偶者の年収が103万円以下であれば支給される」が19.6%、「配偶者の年収が130万円以下であれば支給される」が11.1%、「配偶者の年収が150万円以下であれば支給される」が2.5%、「配偶者の収入条件があるが、金額はわからない」が8.4%で、合計した『収入条件がある』は41.6%となりました。支給に際し、収入条件が設けられている職場が多い結果となりました。


【子どもに関する手当】では、「婚姻届を提出していると支給される」が31.3%、「世帯主であると支給される」が12.4%、「主たる生計維持者に支給される」が11.9%、「事実婚にも支給される」が3.3%、「同性パートナーにも支給される」が2.5%、【その他の家族に関する手当】では「婚姻届を提出していると支給される」が25.1%、「主たる生計維持者に支給される」が9.0%、「世帯主であると支給される」が7.0%、「同性パートナーにも支給される」が3.4%、「事実婚にも支給される」が1.6%となりました。配偶者に関する手当と同様に、事実婚にも支給されるケースや同性パートナーにも支給されるケースは5%未満にとどまりました。


また、【住宅手当】では、「世帯主であると支給される」が21.7%、「婚姻届を提出していると支給される」が20.2%、「主たる生計維持者に支給される」が12.4%、「同性パートナーにも支給される」が3.6%、「事実婚にも支給される」が2.9%となりました。


◆配偶者、子ども、住宅手当についての考え 「雇用形態による区別をなくすべき」がおよそ30%


最後に、全回答者(1,000名)に、「配偶者に関する手当」「子どもに関する手当」「住宅手当」についての考えを聞きました。

【配偶者に関する手当】では、「雇用形態による区別をなくすべき」が29.6%、「世帯主であるかを問わず支給すべき」が10.6%、「同性パートナーにも支給すべき」が9.9%、「事実婚の場合にも支給すべき」が9.7%、「主たる生計維持者であるかを問わず支給すべき」が8.1%、「手当を廃止し、基本給に入れるべき」が7.5%、「変える必要はない」が11.6%となりました。手当の支給に際し、雇用形態による違いを設けず、一律に条件を設定すべきだと考えている人が多いようです。

男女・年代別に見ると、30代男性では「雇用形態による区別をなくすべき」が40.0%と、他の層と比べて高くなりました。


【子どもに関する手当】では、「雇用形態による区別をなくすべき」が30.1%、「事実婚の場合にも支給すべき」が11.5%、「世帯主であるかを問わず支給すべき」が10.7%、「同性パートナーにも支給すべき」が9.9%、「主たる生計維持者であるかを問わず支給すべき」が8.0%、「手当を廃止し、基本給に入れるべき」が7.8%、「変える必要はない」が12.1%となりました。

男女・年代別に見ると、20代女性では「同性パートナーにも支給すべき」が20.8%と、他の層と比べて特に高くなりました。


【住宅手当】では、「雇用形態による区別をなくすべき」が30.3%、「世帯主であるかを問わず支給すべき」が12.1%、「同性パートナーにも支給すべき」が9.3%、「事実婚の場合にも支給すべき」が9.0%、「手当を廃止し、基本給に入れるべき」が8.0%、「主たる生計維持者であるかを問わず支給すべき」が7.3%、「変える必要はない」が13.0%となりました。


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