~「自動車業界」の最新トレンドに迫る!~ 「エコカー補助金」終了前後で、人気車種にも変化が!? 新たな人気車種のキーワードは「優等生カー」 販売好調「三菱ミラージュ」など、専門家注目の「優等生カー」を紹介
2012.12.25 11:00
生活者の意識・実態に関する調査を行うトレンド総研(東京都渋谷区)は、今回、「自動車業界」における最新トレンドについてレポートいたします。
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グラフ1
「車離れ」が進んでいると言われている現在ですが、「登録車」と呼ばれる普通自動車と「軽自動車」を合計した乗用車の総計台数は、実は年々増加傾向にあります。2012年3月末時点における自家用乗用車の保有台数は約5千9百万台にのぼっており、世帯あたりの普及台数も約1.1台で、一家に1台以上は車がある計算になります(※)。
さらに2012年は、「エコカー補助金」の延長により、自動車販売台数は例年以上に大きく増加し、自動車業界は大いに盛り上がりを見せました。
そこで今回トレンド総研では、こうした「自動車業界」の最新トレンドを探るべく、今年自動車を購入した20~60代男女1,000名を対象にした意識・実態調査および、自動車評論家・まるも 亜希子氏へのインタビューを実施しました。その結果、「エコカー補助金」終了後も人気を集めている車は、燃費・外観・性能・広さ・価格などのバランスがとれた車「優等生カー」であるということがわかりました。
今回のレポートでは、こうした「優等生カー」が人気を集めるようになった背景や、実際に人気を集めている車種についても紹介していきます。
※一般財団法人 自動車検査登録情報協会「自動車保有台数統計データ」より
■レポート内容
1、【消費者調査】2012年の「自動車選び」の傾向を分析
2012年に自動車を購入した20~60代男女1,000名を対象に実施した意識・実態調査の結果を紹介します。
2、【インタビュー】まるも 亜希子氏に聞く
「自動車選び」最新動向&人気の「優等生カー」
自動車評論家・まるも 亜希子氏に、「自動車選び」の最新動向や、人気を集めている「優等生カー」についてお話をお伺いしました。
<1、【消費者調査】2012年の「自動車選び」の傾向を分析>
はじめに、2012年に自動車(新車)を購入した20~60代男女1,000名を対象にした意識・実態調査を行いました。
■「軽自動車」「コンパクトカー」が人気を二分…
「若い女性」からの支持が決め手に
まず、「購入した車のボディタイプ」を聞いたところ、「軽自動車」(26.8%)、「コンパクトカー」(26.1%)に人気が集中し、続く「ミニバン」(17.1%)、「セダン」(12.0%)、「ステーションワゴン」(10.7%)を大きく上回りました。「軽自動車」と「コンパクトカー」は、特に若い女性からの人気が高く、20代女性においては「軽自動車」購入者が39.0%、「コンパクトカー」購入者が27.0%にのぼっています。これについては、近年、燃費・性能・デザイン等にすぐれた軽自動車やコンパクトカーが多数登場していることが背景にあげられます。実際に、先日発表された「2013年次 RJC カー オブ ザ イヤー(国産車)」においては、選出された6車種のうち、実に5車種が「ワゴンR」や「ミラージュ」などの軽自動車・コンパクトカーでした。
■2012年の“新車購入のきっかけ”、1位は「エコカー補助金」
補助金終了後のこれからの販売動向に注目!?
「車の購入のタイミング」について月別に聞いたところ、「2月」(20.5%)、「3月」(30.9%)、「4月」(16.9%)という回答が多い結果になりました。[グラフ1]2012年2月と言えば、「エコカー補助金」が新制度となって復活することが発表された月です。同制度は、2011年12月20日以降の登録車等も対象に含まれ、かつ補助金の予算が限られていたため、補助金復活の発表後、すぐに購入を検討はじめた人が多いと推測できます。
実際に、「車の購入のきっかけ」としても、「エコカー補助金の期間だったから」(63.1%)という回答が最も多く、「前に乗っていた車が不満になったから」(27.2%)、「新しく気に入った車を見つけたから」(21.6%)、「資金の目途がついたから」(13.5%)などを大きく上回りました。
一方で、「エコカー補助金」が9月に終了して以降に車を購入した人の割合は、「10月」が0.6%、「11月」が0.5%にとどまっています。「エコカー補助金」が終了した、これからのタイミングが、自動車メーカーの正念場と言えそうです。
グラフ1: http://www.atpress.ne.jp/releases/32401/1_1.jpg
■燃費も、性能も、本体価格も…
バランスのとれた「優等生カー」に支持が集まる
続いて、「購入した車を選ぶ際に重視した点」を聞いたところ、「燃費の良さ」が66.2%にのぼったほか、「外観」(52.0%)、「車体の大きさ」(45.4%)、「運転のしやすさ」(43.7%)、「維持費」(37.4%)、「車内の広さ」(37.3%)、「本体価格の安さ」(36.8%)、「乗り心地」(28.0%)など、さまざまな回答があがりました。車の購入にあたっては、燃費をはじめ、見た目や性能、価格など、いろいろなポイントが重視されているようです。
さらに、これらのポイントの「バランス」も重要なようで、「車を選ぶ際、重視している項目がバランス良く満たされていることが決め手になりましたか?」という質問には、91.8%が「なった」と回答。[グラフ2]現代の車選びにおいては、1つのポイントが突出している車よりも、気になる要素をバランス良く満たした車、言わば「優等生カー」が支持されていると言えそうです。
ちなみに、車選びにおいて重視した点として最も多くの人が回答したのが「燃費の良さ」でした。そこで、「燃費に対してどのように考えて車を選びましたか?」と聞いたところ、「燃費の良さを重視し、エンジン改良や軽量化など基本性能を高めることで低燃費を実現しているガソリン車を選んだ」と回答した人が50.2%と過半数にのぼりました。一方、「燃費の良さを重視し、本体価格が高くても、ハイブリッドカーや電気自動車など最新技術を利用した低燃費車を選んだ」という人は27.7%と4人に1人にとどまるという結果に。「ハイブリッドカー」が話題になっている一方で、実際に選択されているのは「第三のエコカー」などの低燃費ガソリン車のようです。
さらに、「どれくらい長く乗り続けることができれば、理想の車だと言えますか?」という質問に対しては、「10年以上」という回答が50.8%と圧倒的に多く、以下、「8~9年」(18.6%)、「6~7年」(17.2%)と続きました。短いスパンで車を買い替えるよりも、じっくりと長く1つの車と付き合いたいという人が多い様子がうかがえます。
グラフ2: http://www.atpress.ne.jp/releases/32401/2_2.jpg
*調査結果の考察
●「車のボディタイプ」は、「軽自動車」と「コンパクトカー」に人気が集中。特に若い女性からの支持を多く集めている。
●「車の購入のきっかけ」として最も多かった回答は「エコカー補助金」。新車の購入月についても、「新エコカー補助金」の実施が発表された「2月」以降のタイミングに集中しており、「エコカー補助金」がいかに新車購入の後押しになったかがうかがえる。
●「車を選ぶ際に重視した点」としては、「燃費の良さ」をはじめ、「外観」・「広さ」・「運転のしやすさ」・「本体価格」など、さまざまな回答が。また、1つのポイントが突出している車よりも、これらの気になる要素をバランス良く満たした車、言わば「優等生カー」が支持される傾向にある。
●低燃費を実現している車の中でも、「ハイブリッドカー」や「電気自動車」よりも、「第三のエコカー」に代表される低燃費ガソリン車が選ばれている。
●「どれくらい長く乗り続けることができれば、理想の車だと言えるか」を聞くと、「10年以上」という回答が50.8%と圧倒的に多い結果に。短いスパンで車を買い替えるよりも、じっくりと長く1つの車と付き合いたいと考える人が多い様子がうかがえる。
[調査概要]
・調査期間:2012年12月7日(金)~12月11日(火)
・調査方法:インターネット調査
・調査対象:20~60代 男女 1,000名
※2012年に自動車(新車)を購入した方(男女・年代で均等割付)
<2、【インタビュー】まるも 亜希子氏に聞く
「自動車選び」最新動向&人気の「優等生カー」>
続いて、自動車評論家・まるも 亜希子氏に、「自動車選び」の最新動向や、現在人気を集めている車種についてお話をお伺いしました。
まるも 亜希子(まるも あきこ)
自動車評論家/カーライフ・ジャーナリスト
2003年、カーライフ・ジャーナリストとして独立し、雑誌・Web・ラジオ・TV・イベント等で活動。とくにファミリーや女性に向けた車購入ガイド、ドライブや体当たりチャレンジレポート、ショートストーリーやコラムを得意とする。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー 選考委員。チャイルドシート指導員。
■2012年、「エコカー補助金」の恩恵を受けた車とは?
2012年の自動車業界における大きなキーワードは、やはり「エコカー減税」と「エコカー補助金」です。
延長された「新エコカー減税」は条件が厳しくなり、「旧エコカー減税」では対象車だったけれども、「新エコカー減税」では対象外になった車、また減税率が下がった車も多く見られました。
一方で「エコカー補助金」については、「旧エコカー減税」の際の75%減税車から100%免税車までが対象車となったので、減税はなくなっても補助金はもらえる、といった車が見られたのも特徴でした。一部のミニバンなど、これに当てはまるモデルは「補助金が終了する前に購入しなければ」といった動きが見られたのは確かだと思います。
またそんな中、強い追い風を受けたのが「軽自動車」でした。前回5万円だった補助金が、新制度では7万円に増額された上、燃費基準によって100%免税となるモデルがズラリ。そしてもちろん、通常時よりも減税額が大きく、補助金と合わせると30万円以上もお得に買えるLクラスミニバンや高級セダン、そして、まだまだ車両価格が割高なハイブリッドカーなども、「エコカー補助金」の恩恵を受けて好調な販売を続けていました。
■「エコカー補助金」終了後の、人気車種のキーワードは「優等生カー」
「エコカー補助金」が終了した後、まず販売台数の勢いが落ち着いたのは「エコカー減税」の対象外、もしくは減税率が低いモデルです。特に、ハイブリッドカーを除き、もともとの車両価格が高額なミニバンやセダンは、購入時のお得感が少なくなったため大きく影響を受けた模様。
逆に、がぜん注目を集めたのは、車両価格がリーズナブルでありながら燃費が良く、さらに100%免税をはじめ減税の恩恵も大きく、ファミリーユースまでカバーする広さや使い勝手を備えたコンパクトカーや、室内空間が魅力の軽自動車などです。補助金がなくても、「エコカー減税」だけで十分にお得感があり、超低燃費で購入後の維持費も抑えられ、毎日の買い物から週末のレジャーまで活躍する広さと便利さ。それらをバランス良く備えたモデルは、単なるエコカーではなく「優等生カー」として、現代人の志向にもあった、新たな人気株となっていると言えます。中でも、以下の3つの車種については、消費者のニーズをうまく捉えて人気を集めている「優等生カー」です。
●三菱ミラージュ
女性に嬉しいカラフルかつ愛嬌のあるデザインで、室内も広く快適な「ミラージュ」。街中から高速まで元気に走る1.0Lエンジン+CVTは、アイドリングストップも付いて燃費も優秀です。エントリーグレードは99.8万円から。快適装備がフルに揃うトップグレードでも128.8万円と軽自動車よりリーズナブルで、文句なしの「優等生カー」。「エコカー補助金」終了翌月も、多くの車種が売上を落とす中、コンパクトカー販売台数ランキング(※)で3位にランクインしています。また、国内メーカー初の取り組み「最長10年10万Km特別保証延長」の対象車で、愛着あるクルマに長く安心して乗れるのも嬉しいところ。燃料消費率はガソリンエンジン登録車トップの27.2km/L <G/Mグレード>(JC08モード)。
*ホームページ: http://www.mitsubishi-motors.co.jp/mirage/
三菱ミラージュ: http://www.atpress.ne.jp/releases/32401/3_3.jpg
●日産ノート
コンパクトな見た目から想像するよりも、ずっと広々とした室内空間で、インテリアやシートの質感にもこだわっている「ノート」。
1.2Lエンジンのパワーに不足はなく、収納ではフル乗車でもベビーカーが余裕で積めるなど、日常からレジャーまでこなせます。家族でファーストカーとしても乗れる「優等生カー」です。
燃料消費率は25.2km/L <S DIG-S (2WD)>(JC08モード)
*ホームページ: http://www.nissan.co.jp/NOTE/
●ホンダ・N BOX
両側スライドドアとハイルーフで、軽自動車ながら驚異的なスペース効率を誇るのが「N BOX」。
子供が立って着替えられるほど天井が高く、足元スペースもゆったり。低床技術を活かしたシートアレンジも多彩で、フルフラット時の大容量はもちろん、3人乗車でも自転車が積めるのが便利。使い道が広がる「優等生カー」です。
燃料消費率は22.2km/L(JC08モード)。
*ホームページ: http://www.honda.co.jp/Nbox/
※メインコンパクトカー(全長:4m未満、エンジン:1~1.3L)2012年10月販売台数順位
「エコカー補助金」終了にともない、車の真価が問われはじめている現在。「優等生カー」をはじめとした、各メーカーの製品や販売手法に、今後ますます注目が集まりそうです。