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豊橋市立八町小学校による イマ―ジョン体験授業の視察レポート記事公開

公立小学校初のイマージョン教育のナレッジを地域に還元

「ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所」(※以下、IBS)<東京都新宿区 所長:大井静雄>ではグローバル化社会における幼児期からの英語教育の有効性や重要性に関する情報を定期的に発信しています。

2022年8月8日(月)〜9日(火)、豊橋市教育委員会(愛知県)は、市内の小学生を対象に、英語を使ってさまざまな教科を学ぶイマージョン体験授業「スーパー・イングリッシュ・チャレンジ」を初実施しました。IBSは、体験授業の視察と、市内の小中学校教員を対象とした講話、豊橋市立八町小学校教員との意見交換を行いました。視察などの概要や考察についてご紹介します。

 

<インタビューサマリー>


●八町小学校のイマージョン授業を体験した他校の子どもたちは、指導の工夫によって英語と教科内容を理解でき、英語を使って何かを学ぶ授業を児童の86.7%が楽しいと感じ、英語への興味や学習意欲が高まった児童もいた。

●八町小学校のイマージョン授業を参観した他校の教師たちは、英語を使って何かを教える指導方法やその効果についての理解が深まり、自身の授業を改善する意欲が高まっていた。

●イマージョン教育は「特別」ではなく、英語教育のあるべき姿であること、学習指導要領改定の趣旨を十分に満たしていることなどについて、イマージョン教育の研究を行う原田哲男教授(早稲田大学教育・総合科学学術院/IBS学術アドバイザー)が講話を行った。

●公立小学校がイマージョン教育を実践する価値は、幅広く長期的な視点で考え、評価する必要がある。

 

3年目を迎えた八町小の取組を地域に還元する初の試み

愛知県豊橋市の八町小学校は、2020年度より、国語と道徳以外の教科を、主に英語を使って学ぶ「イマージョン学級」を開設しました。公立小学校によるイマージョン教育(※)の導入は、国内初の取り組みであり、開始から今年で3年目を迎えます。IBSは、イマージョン教育の研究を行う原田哲男教授(早稲田大学教育・総合科学学術院/IBS学術アドバイザー)とともに、研究活動および社会貢献活動の一環として、2021年度から計3回の授業視察や意見交換を実施してきました。

今回、市内の小学生を対象としたイマージョン体験授業「スーパー・イングリッシュ・チャレンジ」は、豊橋市教育委員会および豊橋市小中学校英語企画委員会が主催。八町小学校の取り組みを地域に還元することを目的とした、初めての試みです。授業は、八町小学校の日本人教員とNET(ネイティブ・イングリッシュ・ティーチャー)が担当し、市内の小学5〜6年生を対象に参加希望者を募り、2日間にわたって延べ114人の児童が参加しました。約20名ずつのグループに分かれ、教室ごとに二教科を体験。IBSは、市内の中学校英語担当教員や小学校英語専科教員(希望者)も参観することを受け、以下の2点について調査すべく、授業視察や参加児童のふりかえりカードの考察、講話、意見交換を行いました。


・八町小学校のイマージョン授業は、他校の子どもたちの英語学習にも良い影響を与えるか?

・八町小学校のイマージョン授業は、他校の教員の英語指導にも良い影響を与えるか?


8割以上がイマージョン授業は「楽しい」

参加児童のほとんどに共通しているのは、英語を使ってほかの教科を学んだことはないという点。参加後のふりかえりカードを見ると、ほぼ全員が「楽しかった」と感じていたことがわかりました。英語で授業を受けた感想に登場した最も特徴的な形容詞は「楽しい」でした。次いで「難しい」、「わかりやすい」、「おもしろい」。「難しかったけど、楽しかった/おもしろかった」というコメントは多く、英語を使って教科を学ぶことは難しく感じたにもかかわらず、最終的に理解できたことでポジティブな感想を持っていることが伺えます。「英語を使った」という実感を持った児童や、「英語への興味が湧いた」という児童もいたことがわかりました。

 

イマージョン授業は、学習指導要領改定の趣旨を十分満たしている

体験授業終了後、参観していた市内の小中学校の先生方を対象に、原田哲男教授が講話を行い、「イマージョン教育は『特別』ではなく、英語教育のあるべき姿である」と見解を述べました。イマージョン授業は、「主体的・対話的で深い学び」「育成すべき資質・能力」「他教科との連携」「社会に開かれた教育課程」といった、学習指導要領改定の趣旨を十分に満たしているとのことです。

八町小教員との振り返りでは、「八町小学校の子どもたちの発言や態度に影響されて、1時間の授業で子どもたちが大きく成長した様子が見られた」、「参加した児童は今後、良い学習者モデルになると思われる」など活発に意見交換が行われました。

最後に、原田教授が今後の課題として「英語力の異なる児童が混在する中で、どのように授業を行うか」「どのように指導法や教具、教材を引き継ぐか」を挙げ、海外の実践例などを紹介しました。

 

イマージョン教育は、新学習指導要領とかけ離れた教育アプローチではなく、むしろ教育全体の質を上げるために重要とされる考え方に沿っており、八町小学校のイマージョン教育は、地域のあらゆる子どもたちのための、地域のあらゆる学校が実践できる教育である可能性が示されました。


※イマージョン教育:バイリンガル教育の一つの形態。学校の教科を二つの言語(母語ともう一つの言語)で指導し、両方の言語を読み書きレベルまで育て、さらに二つの社会文化を受容できることを目的とする。

 

詳しい内容はIBS研究所で公開中の下記記事をご覧ください。

https://bilingualscience.com/english/2022092701/



■ワールド・ファミリーバイリンガル サイエンス研究所

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所   長:大井静雄(東京慈恵医科大学脳神経外科教授/医学博士)

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設   立:2016年10 月


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