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アニメーション作家 山田遼志氏トークイベント開催。「作家性」という限界を食い破るために

第9回 新千歳空港国際アニメーション映画祭 プロフェッショナルトーク

新千歳空港を舞台に開催している「第9回 新千歳空港国際アニメーション映画祭」では、11月6日(日)までの4日間にわたり、新千歳空港ターミナルビル等を舞台に約60本のプログラムを開催します。
11月3日(木・祝)、新千歳空港シアター オアシスパークにて、本映画祭のメインビジュアルとトレーラー動画を担当したアニメーション作家 山田遼志氏によるトークイベント「「作家性」という限界を食い破るために」が行われました。聞き手は、本映画祭選考委員でアニメーション研究者、tampen.jp編集長の田中 大裕 氏です。
アニメーション作家 山田遼志 氏
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山田遼志氏プロフィール
King Gnu、millennium parade、WONK、DUSTCELLなどの著名アーティストとコラボレーションしたミュージックビデオを多数手がけ、昨年はTVアニメ『オッドタクシー』のオープニングアニメーションを手がけたことでも話題を呼んだアニメーション作家・山田遼志。2020年には、同世代のアーティストたちとクリエイティブハウス・mimoidを設立。グループ展の企画など、その活動はさらなる広がりをみせています。
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本トークプログラムでは、いかにしてアニメーションと向き合ってきたのか、アニメーション作家としての歩みを振り返りながら過去の制作作品と合わせて振り返っていきました。
このトークの模様は、有料オンデマンド配信プログラムとして11月11日12:00から11月21日23:59まで視聴可能です。
会場の様子(右:山田遼志 氏 左:田中大裕 氏)

実施されたトーク内容の一部を紹介

Q.芸術との出会い、アニメーションとの出会いは?
両親の職業柄、美術史と歴史が一緒になった環境で育ってきたと思う。
アニメーションは、浪人時代にグラフィックやアニメーションの先輩に出会ったことが大きい。
会場の様子(新千歳空港シアタ︎ー オアシスパーク)
Q.山田さんはコミッションワークをベースにキャリアを築いてきていて、山田さんの世代の特長であるように思います。
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80年代後半〜90年代はいわゆる”Vimeo世代”という風に括れると思う。Vimeo作者コミュニティの中でウケる色や構成などがあり、作者同士切磋琢磨していた。自分はそこにハマらなかったし、その逆張りで作品を作っていった。表層的なものではなく作家性で勝負したかった。
コミッションワークについては、本当に貧乏な生活をしていて、正直お金が欲しかったというのが大きい(笑)。


Q.「millennium parade」の常田大輝さんもそうですが、山田さんはファッションや音楽など多領域の人たちとの交流が広いように思います。
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作品を作り続けながら、いかに色んな人たちとつながるかを考えてきた。音楽領域の人たちとは特にSNSで繋がっていった。ミュージッククラブでVJをやることで繋がりが広がった。iPadやiPhoneで作品そのものを見せやすくなったことも大きいと思う。
常田さんとは、前身バンドの時代にVJをやっている。


Q.28歳の時に1年間ドイツに留学していますね。日本とドイツのアニメーション教育についての違いはありますか?
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ヨーロッパはディスカッションの熱量がすごいと思う。議論をどう交わすことができるか。記憶に残っているのは「20代〜40代はみんな同い年だ」と言われたこと。日本でも一対一では話せるが全員でしゃべるという際の雰囲気は日本にはない。
ドイツでは、アンドレアス・ヒュカーデ氏をモデルケースにしていて、作品を作るモチベーションや作品の色について学んだ。大事にするべきこととして3つ「インパクト」「ダイナミック」「エモーショナル」と言われていた。
Q.クリエイティブハウス「mimoid」という会社を設立されましたが、どういった狙いがあるのですか?
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インディペンデント・アニメーションに元気がなくなっているのではと感じた。広告アニメーションでメシを食うのはもちろん、作品性を守りながら作家性も追い求めていく。ムーブメントは守らなければ無くなってしまうのではないかと思っている。
その中で、積極的に仕事を受けられる体制を作りつつ、チームで作り方・技術などの知見を共有していくことで、集団としての強みを持てるのではないかと思った。
Q.上記のMVもそうですが、チームで作品制作をされています。ひとりで作ること・チームで作ることを「作家性」という点でどのように考えますか?
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この質問についてが答え方がすごく難しいですが、「作家性」という点ではひとりで作る方が純度が高いというのはあると思う。パッと見て誰の作品がわかることみたいなことの評価はあるが、個人の作品の画材や広がりの限界はあると思う。
一方でチームでの制作は個々人の原液のような個性と引き換えにロジックやコンセプトが浮き彫りになっていく、研ぎ澄まされていくものだと思う。それもある種の作家性と考えている。どちらが良いということではない。


Q.今後の展望について教えてください
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今回、新千歳空港国際アニメーション映画祭のトレーラーは新しい挑戦をさせてもらったと思っている。Vimeoコミュニティに対する逆張りが薄れてきた。元々の自身の絵柄をもっと出していきたいと考えるようになってきたし、今回はそれを出せたと思っている。
長尺のアニメシリーズにもチャレンジしたいし、現在脚本も書いているところ。

また、つい先日mimoidとして、世界中のアニメーション作家を集めたアートブックを出版した。いかにアニメーションを読ませるか、アートアニメーションをどう広げられるかを考えて、今回のアートブックは、アニメーションのファーストフレームとラストフレームだけを作成して、その間を読み手に想像させるというもの。
mimoidの公式オンラインストアで購入できる。
アニメーション作家 山田遼志 氏

有料オンデマンド配信について

このトークイベントは、有料オンデマンド配信プログラムの視聴権購入で配信期間中何度でもご覧いただけます。価格:1500円(税込)
●販売期間:2022年11月11日12:00~11月21日21:00まで
●配信期間:2022年11月11日12:00~11月21日23:59まで
詳細はこちらhttps://airport-anifes.jp/online/

新千歳空港国際アニメーション映画祭について

新千歳空港国際アニメーション映画祭は、北海道と世界を結ぶゲートウェイである新千歳空港ターミナルビル(北海道千歳市)を会場とした、アニメーション専門の国際映画祭です。第9回目の開催となる今年も、国内外の話題作など招待作品の上映はもちろん、アニメーションの“いま”を多角的にお届けするプログラムを展開し、来場者へ最新情報と国際的な出会いを共有できる場を提供します。

■実施概要
名称:第9回 新千歳空港国際アニメーション映画祭
開催日程:2022年11月3日~2022年11月6日
会場:新千歳空港ターミナルビル(新千歳空港シアターほか)
公式サイト:https://airport-anifes.jp/
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