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電子ビーム技術で半導体産業を支えるグローバルカンパニーの企業情報を2023年1月17日HPに公開しました。

東京都内にある企業の立地情報と、それに準じた支援制度を無料で相談・紹介する「東京都企業立地相談センター」が都内で活躍されている『株式会社ホロン 代表取締役社長 張 皓(ちょうこう)氏』に事業内容、今後の展望など伺いました。

1985年の創業以来、一貫して電子ビーム技術を活かし、半導体及びナノテクノロジー分野への検査・計測技術を提供してきた株式会社ホロン。
東京都で事業を開始し、その後、埼玉県所沢市に移転。2021年7月に再び東京都に拠点を移し、順調に業績を拡大しています。
代表取締役社長の張 皓氏に、製品の特長や東京への移転の経緯、今後の展望などを伺いました。
株式会社ホロン 代表取締役社長 張 皓(ちょうこう)氏

■半導体の製造に欠かせない検査・測定装置を世界に向けて開発・販売

ホロンは電子ビームの分野で長い歴史を持つ会社です。まずは事業内容について伺いました。

「弊社は、パソコンやスマートフォン、デジタル家電などの機器に使われる半導体の回路原盤(フォトマスク)が、設計通りに正しく作られているかを検査・測定する装置を主力製品としています。このフォトマスク用CD-SEMは、半導体の製造プロセスにおいて不可欠な装置であり、先端半導体デバイスメーカー、フォトマスクメーカーなど、国内外の大手メーカーが顧客です」(張氏。以下コメントすべて同じ)
「フォトマスク用CD-SEM」とは、電子ビームによる超微細寸法測定装置のこと。さらに、フォトマスクの観察・計測で培ったノウハウを活かして、「フォトマスク用DR-SEM」装置を開発、販売しています。

「現在、社員数は54名。そのうち、外国籍の社員が2割弱を占めます。優秀なIT人材を輩出しているインド工科大学のほか、半導体の生産拠点である台湾、韓国、中国の出身者です。というのは、弊社の製品は半導体の生産工場に納品しますが、ただ置いてくるわけではありません。社員が製品を立ち上げ、安定させ、調整し、現場の担当者に研修を行うなど1~2カ月かかるため、その国の出身者がいたほうがよくコミュニケーションが取れ、スムーズに納品できます。

私自身も中国の出身で、必要な人材であれば国籍は関係ありません。また、弊社は常に世界に目を向けた技術開発を目指しており、そのために情報交換もワールドワイドに行っています」

ちなみに社名のホロン(HOLON)とは、ハンガリー生まれの哲学者アーサー・ケストラーの造語で、個人と集団、個と全体との関係が有機的に調和していることを意味しているとのこと。

「社名の通り、世界全体との調和を保ちながら、弊社の個性を最大限に発揮して国際社会に貢献する会社でありたいと思っています」
主力製品のフォトマスク用CD-SEM「ZX」(左)、フォトマスク欠陥レビュー&分析SEM「LEXa-20」(右)。多くの半導体メーカー、ファンドリメーカー、及びフォトマスクメーカーで採用されている

■急激な受注拡大で本社工場新設へ。条件に合う土地を求め東京に移転

西武拝島線武蔵砂川駅より徒歩3分に本社工場を構えるホロン。その歴史は、東京都新宿区からスタートしました。

「弊社は、日本電子(JEOL)の出身者7人が設立した会社です。モノづくりの会社ですから工場が必要で、新宿区の本社とは別に狛江市にテクニカルセンターを設け、そこでウェハ関連の電子ビーム微小寸法測定装置を作っていました。受注が好調であったため工場のスペースが足りなくなり、埼玉県所沢市にテクニカルセンターを移転したのが1996年3月のことです。その後、2009年7月に本社を新宿区から所沢のテクニカルセンターに移転しました。

弊社の製品を製造するために欠かせないのがクリーンルームです。所沢では元々あった建物を改築してクリーンルームスペースを確保していましたが、近年急激に受注が伸びてクリーンルームが手狭に。建物自体が老朽化していたこともあり、今後を見据えて新たに本社工場を建設することになったのです」

本社工場の移転計画が本格的に動き出したのは、2018年に張氏が社長に就任してからです。

「まずは社員全員の居住地をマップに落とし込み、みんなが通いやすい場所を絞り込むことから始めました。やはり所沢がいいということで、周辺のすべての自治体に相談し、弊社の希望に合う土地はないか確認したのですが、1カ所だけ見つかった候補も1年以上待って農地転用ができないという結果に。やむなく、範囲を広げて探すことにしました」

東京都にも企業立地の相談窓口があることを知ったホロンは、東京都企業立地相談センターに相談し、情報提供を受けた東京都立川市の土地の購入を決断。2021年7月、念願の移転を果たしました。

「決め手のひとつは駅近の立地です。しかも、上物のない土地だったので、我々の思い通りに建物を建てることができました。生産のキャパシティはクリーンルームの面積で決まるので、そこを最優先に設計し、1階部分に所沢の3倍強のクリーンルームを設けています。

通勤が大変になった社員もいますが、大方が容認できる範囲で移転することができました。車通勤と電車通勤の割合はほぼ半々です。前工場は最寄り駅から徒歩で30分かかったので、電車通勤の社員はかえって便利になったかもしれませんね」
4階建ての本社工場は、1階部分にクリーンルームを設けている。屋上の太陽光発電導入には東京都の助成金を利用した
4階は食堂と会議室。食堂には、張氏が自慢の料理を振る舞えるようキッチンも併設(左上)。会議室はそれぞれホロンの主力製品の名前がつけられている(右上)。3階は広々としたオフィス。更衣室とつながったパウダールーム仕様の女子トイレもこだわりのひとつ

■海外に対する東京のネームバリューは絶大、優秀な人材も豊富

10年以上を過ごした所沢を離れ、どんな変化があったか伺うと、東京という立地に2つのメリットを感じているとのこと。

第一のメリットは、東京のネームバリュー。「弊社の取引先は海外の一流企業が多く、半導体のプロダクションツールである製品を台湾、中国、韓国、アメリカなどに輸出しています。どの国に行っても東京を知らない人はいないし、住所が東京であるというのは通りがいい。圧倒的なブランド力になります」

第二のメリットは、採用面です。「弊社の求める人材に国籍も年齢も関係ありません。例えば、同じ分野の大手企業は60歳が定年で、その後は再雇用となり賃金がぐっと下がりますが、弊社は60歳以上であろうと実力さえあれば現役と同じ待遇で働くことができます。そうしたキャリア人材を含め、国内外から多種多様な企業や人が集まる東京は人材が豊富ですから、優秀な人材を獲得しやすいでしょう。ここに来てから人材募集に対する応募が増えており、通勤に便利な駅近の立地やきれいな新社屋などが、採用面でアドバンテージになっていると感じています」
最後に今後の展望を伺いました。

「これまで順調に業績を伸ばしてきましたが、特に近年の伸びは大きく、早くも土地探しをしている状況です。現在は、完成した製品を納品まで保管する倉庫を借りており、将来的には生産のスペースも厳しくなるだろうということで、この周辺で第二の製造拠点を持つ検討を始めています。これからも半導体の量産はますます加速し、分野も大きく広がっていくでしょう。我々も先端半導体開発に寄与するため、継続的な技術開発に取り組んでいきます」
完成した製品を出荷する際に使うピロティは天井高が約5m
エントランスロビーもクリーンルームと同じ天井高があり、取材時は高さ3.6mのクリスマスツリーが飾られていた。近隣に小学校があり、通学する児童に楽しんでもらいたいと華やかにデコレーション

■企業概要・お問合わせ先

会社名: 株式会社ホロン
住所:東京都立川市上砂町5-40-1
代表者:代表取締役 張 皓
設立:1985年(昭和60年)5月
事業内容:半導体回路の寸法測定装置及び検査装置の開発、製造、販売、保守サービス
ホームページ: https://www.holon-ltd.co.jp
お問い合わせ: https://www.holon-ltd.co.jp/contact/

■情報配信元

東京都企業立地相談センター 担当秋山
住所:東京都江東区東陽2-4-24 サスセンター1F
電話番号:03-6803-6280
E-mail:4909@ilsc.tokyo
ホームページ:https://ilsc.tokyo/

■東京都企業立地相談センターとは
企業や個人事業者様を対象に創業や事業拡大する「場所」探しのご相談を不動産専門アドバイザーが無料で承っております。ご希望条件をお伺いし、事務所、店舗、工場、事業用地などを取り扱う民間不動産事業者に一斉照会いたします。
その他、都や都内区市町村の公的物件情報や支援制度もご案内しております。
(東京都企業立地相談センターは東京都産業労働局が運営しております。)

■記事掲載
東京都内に立地し活躍されている企業様や区市町村の企業支援担当者へインタビュー記事を東京都企業立地相談センターホームページに掲載しております。
ページURL:https://ilsc.tokyo/voice/021.html
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