第31回 林忠彦賞受賞作品決定【新田 樹「Sakhalin」( サハリン)】
2023.03.07 18:00
第31回 林忠彦賞は、新田 樹(にった たつる)さんの「Sakhalin」(サハリン)に決定しました。
この賞は、戦後写真界に大きな足跡を残した写真家・林忠彦の多彩な業績を記念し、周南市が周南市文化振興財団とともに創設したもので、時代とともに歩む写真を撮り続けた林忠彦の精神を継承し、それを乗り越え未来を切り開く写真家の発掘を目指すもので、2022年1月1日から2022年12月31日に写真展、写真集、カメラ雑誌等の表現媒体ですでに発表された、全73点の応募作品の中から選ばれた賞です。
新田さんにはブロンズ像(笹戸千津子作「爽」)と賞金100万円を贈ります。授賞式は、4月28日(金)に東京にて行う予定です。
また、受賞作品展を4月28日(金)から5月4日(木・祝)まで東京・富士フィルムフォトサロン、5月12日(金)から5月21日(日)まで周南市美術博物館で開催します。
この賞は、戦後写真界に大きな足跡を残した写真家・林忠彦の多彩な業績を記念し、周南市が周南市文化振興財団とともに創設したもので、時代とともに歩む写真を撮り続けた林忠彦の精神を継承し、それを乗り越え未来を切り開く写真家の発掘を目指すもので、2022年1月1日から2022年12月31日に写真展、写真集、カメラ雑誌等の表現媒体ですでに発表された、全73点の応募作品の中から選ばれた賞です。
新田さんにはブロンズ像(笹戸千津子作「爽」)と賞金100万円を贈ります。授賞式は、4月28日(金)に東京にて行う予定です。
また、受賞作品展を4月28日(金)から5月4日(木・祝)まで東京・富士フィルムフォトサロン、5月12日(金)から5月21日(日)まで周南市美術博物館で開催します。
第31回 林忠彦賞受賞作品
作品名
新田 樹「Sakhalin」
発表形態 写真集・写真展
発表形態 写真集・写真展
写真集
タイトル「Sakhalin」
発行所 ミーシャズプレス
発行日 2022年5月31日
定価 3,000円(税込) 500部限定
A4変型(265mm×210mm) 164ページ
写真点数 110点
発行所 ミーシャズプレス
発行日 2022年5月31日
定価 3,000円(税込) 500部限定
A4変型(265mm×210mm) 164ページ
写真点数 110点
写真展
名称「続サハリン」
会場 ニコンサロン(東京・新宿区西新宿)
日時 2022年5月31日(火)から2022年6月13日(月)
展示点数 52点
会場 ニコンサロン(東京・新宿区西新宿)
日時 2022年5月31日(火)から2022年6月13日(月)
展示点数 52点
内容等
ロシア・サハリン(樺太)、この島の北緯50度から南半分は、日露戦争後の1905年から1945年8月の第二次世界大戦終結までの40年間、日本の統治下にあった。1945年8月のソ連参戦時の緊急疎開と翌年に始まる引き揚げで、そこで暮らしていた日本人の多くはこの地を後にした。一方で多くの朝鮮半島出身者やその配偶者であった日本人らは、ソ連が支配したこの地を離れることはかなわなかった。
戦後50年を過ぎた1996年、写真家としての最初の地としてロシアを旅していた作者は、サハリンのユジノサハリンスク(豊原)で日本語を話す女性たちと出会い、サハリンとそこに生きる残留韓国・朝鮮人やその配偶者であった日本人がいることを知った。しかしその時はまだ、これらの人々と向き合う自身が持てなかった。
14年後の2010年、作者はこうした人々の現実を残したいと決意を固めた。最後の生き残りともいうべき人たちの家を何度も訪ね、丁寧に取材し、その生活や周りの様子をカメラにおさめていった。そしてその成果を、2015年の写真展「サハリン」で発表、その後も取材を続け、2022年の写真展「続サハリン」と写真集『Sakhalin』にまとめあげた。
遠い北方の地で今なお日本語を話す人々。凍てつく寒さの中でつつましく生きる彼女らの人生に寄り添いながら撮影した作品には静かな時間が流れている。歴史に翻弄されながらもたくましく生き抜いてきた一人一人の人生の重みが伝わってくる。
本作品は、戦争の歴史に翻弄された人々の姿が写真の行間から浮かび上がるドキュメンタリーの仕事として、高く評価された。
戦後50年を過ぎた1996年、写真家としての最初の地としてロシアを旅していた作者は、サハリンのユジノサハリンスク(豊原)で日本語を話す女性たちと出会い、サハリンとそこに生きる残留韓国・朝鮮人やその配偶者であった日本人がいることを知った。しかしその時はまだ、これらの人々と向き合う自身が持てなかった。
14年後の2010年、作者はこうした人々の現実を残したいと決意を固めた。最後の生き残りともいうべき人たちの家を何度も訪ね、丁寧に取材し、その生活や周りの様子をカメラにおさめていった。そしてその成果を、2015年の写真展「サハリン」で発表、その後も取材を続け、2022年の写真展「続サハリン」と写真集『Sakhalin』にまとめあげた。
遠い北方の地で今なお日本語を話す人々。凍てつく寒さの中でつつましく生きる彼女らの人生に寄り添いながら撮影した作品には静かな時間が流れている。歴史に翻弄されながらもたくましく生き抜いてきた一人一人の人生の重みが伝わってくる。
本作品は、戦争の歴史に翻弄された人々の姿が写真の行間から浮かび上がるドキュメンタリーの仕事として、高く評価された。
受賞者プロフィール
経歴
1967年 福島県出身
東京工芸大学工学部卒業後、麻布スタジオ入社
1991年 半沢事務所入社 半沢克夫氏に師事
1996年 独立
東京工芸大学工学部卒業後、麻布スタジオ入社
1991年 半沢事務所入社 半沢克夫氏に師事
1996年 独立
主な活動
【写真展】
2003年 「SURUMA」(コニカプラザ)
2007年 「樹木の相貌」(コニカミノルタプラザ)
2015年 「サハリン」(銀座ニコンサロン)
2018年 「RUSSIA〜CAUCASUS 1996-2006」
(Zakura Photo Concept Shop)
2022年 「続サハリン」(ニコンサロン)
【写真集】
2022年 『Sakhalin』(ミーシャズプレス)
2003年 「SURUMA」(コニカプラザ)
2007年 「樹木の相貌」(コニカミノルタプラザ)
2015年 「サハリン」(銀座ニコンサロン)
2018年 「RUSSIA〜CAUCASUS 1996-2006」
(Zakura Photo Concept Shop)
2022年 「続サハリン」(ニコンサロン)
【写真集】
2022年 『Sakhalin』(ミーシャズプレス)
受賞コメント
今回林忠彦賞を受賞したと連絡をいただき驚いています。
私が初めてサハリンを訪れたのは1996年のことでした。戦後から50年を経たこの地で、日本の言葉が日常的に使われていることを知りました。それは単に話ができることとは違う別の何か。あの時感じた何かは、その後幾度も繰り返される問いとなりました。自らに問い、話をきかせていただいた方たちに問うことを、2010年から続けてきました。
時間が過ぎるとともに、ひとり、またひとりと、お亡くなりになり、今回の受賞をご報告することはかないませんが、地に足をつけて研鑽を重ねたいと思っております。ありがとうございます。
私が初めてサハリンを訪れたのは1996年のことでした。戦後から50年を経たこの地で、日本の言葉が日常的に使われていることを知りました。それは単に話ができることとは違う別の何か。あの時感じた何かは、その後幾度も繰り返される問いとなりました。自らに問い、話をきかせていただいた方たちに問うことを、2010年から続けてきました。
時間が過ぎるとともに、ひとり、またひとりと、お亡くなりになり、今回の受賞をご報告することはかないませんが、地に足をつけて研鑽を重ねたいと思っております。ありがとうございます。
写真家 新田樹公式ホームページ
第31回 林忠彦賞最終候補作品
エバレット・ケネディ・ブラウン「Umui」(写真集)
王 露(おう ろ)「Frozen are the winds of time」(写真集・写真展)
キセキ ミチコ「VOICE 香港2019」(写真集・写真展)
高椅 智史「男鹿ー受け継がれしものたちー」(写真展)
高椅 万里子「スーベニア」(写真集・写真展)
鶴巻 育子「芝生のイルカ」(写真集・写真展)
新田 樹「Sakhalin」(写真集・写真展)
水島 大介「おじいちゃんの写真集」(写真集・写真展)
※五十音順、敬称略
王 露(おう ろ)「Frozen are the winds of time」(写真集・写真展)
キセキ ミチコ「VOICE 香港2019」(写真集・写真展)
高椅 智史「男鹿ー受け継がれしものたちー」(写真展)
高椅 万里子「スーベニア」(写真集・写真展)
鶴巻 育子「芝生のイルカ」(写真集・写真展)
新田 樹「Sakhalin」(写真集・写真展)
水島 大介「おじいちゃんの写真集」(写真集・写真展)
※五十音順、敬称略
林忠彦賞について
賞について
この賞は、戦後写真界に大きな足跡を残した写真家・林忠彦の多彩な業績を記念し、周南市と公益財団法人周南市文化振興財団が1991(平成3)年に創設したものです。
1996(平成8)年には第46回日本写真協会文化振興賞を受賞しました。
1996(平成8)年には第46回日本写真協会文化振興賞を受賞しました。
趣旨
わが国の写真文化の発展において、林忠彦は木村伊兵衛、土門拳、渡辺義雄各氏などの先輩写真家とともに日本写真家協会設立に尽力する一方、昭和28年、二科会に写真部を創設、以後、全国のアマチュア写真家の資質の向上に最後まで全力を傾注しました。こうした氏の遺志を生かしアマチュア写真の振興を目的として本賞を設立しました。
デジタル化の急速な進歩により多極化する表現形態に対応するため、第12回から新しい写真表現を目指す作家の参入も推し進めました。
さらに第18回より、これまでの経験をもとに、対象をプロ作家にまで広げ、時代とともに歩む写真を撮り続けた林忠彦の精神を継承し、それを乗り越え未来を切り開く写真家の発掘を目指す賞へと拡大しました。
デジタル化の急速な進歩により多極化する表現形態に対応するため、第12回から新しい写真表現を目指す作家の参入も推し進めました。
さらに第18回より、これまでの経験をもとに、対象をプロ作家にまで広げ、時代とともに歩む写真を撮り続けた林忠彦の精神を継承し、それを乗り越え未来を切り開く写真家の発掘を目指す賞へと拡大しました。
選考
できるだけ広い視野のもとで候補作品を絞るために、写真界各層の関係者約250名より推薦を受けた推薦作品と、公募による自薦作品の中から選考委員5名(大石芳野、笠原美智子、河野和典、小林紀晴、有田順一(周南市美術博物館館長)の各氏)による選考委員会によって決定します。
公式サイト
【この件に関する問い合わせ先】
周南市美術博物館 林忠彦賞事務局
TEL : 0834−22−8880
周南市美術博物館 林忠彦賞事務局
TEL : 0834−22−8880
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