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ビジネスコーチ調べ  人的資本経営推進のために 人事部門に期待する育成支援策  TOP3は「働き方改革」「人事制度改革」 「コーチングスキル研修」  20代・30代では「リーダーシップ研修」が1位、 「コーチングスキル研修」が2位

人的資本経営調査2023 ミドルマネジメント編

ビジネスコーチ株式会社は、2023年2月15日~2月16日の2日間、全国の従業員数300人以上の企業に勤める20歳~69歳のミドルマネジメント(部長・課長)1,000名(全回答者)を対象に、“人的資本経営”(※)について調査しました。

(調査協力機関:ネットエイジア株式会社)


※人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方を指します。岸田政権の「新しい資本主義」のもと、この「人的資本」への取り組みが加速しており、「人への投資」を中核に据えた成長戦略を検討する企業が増えております。


[調査結果]

▼ ミドルマネジメントの「人的資本経営」に対する認知や意識は?

■「人的資本経営」に関する認知率は?

 人的資本経営の内容(意味)まで知っているミドルマネジメントはわずか28%、部長では38%


全国の従業員数300人以上の企業に勤める20歳~69歳のミドルマネジメント(部長・課長)1,000名(全回答者)に、“人的資本経営”(※)について質問しました。


※人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方を指します。岸田政権の「新しい資本主義」のもと、この「人的資本」への取り組みが加速しており、「人への投資」を中核に据えた成長戦略を検討する企業が増えております。


まず、全回答者(1,000名)に、“人的資本経営”を知っていたか聞いたところ、言葉を認識している人の割合(「内容まで知っていた」と「言葉を聞いたことがある程度」の合計、以下『認知率(計)』)は68.3%と3人に2人の割合となりました。2022年8月30日に内閣官房より、上場企業向けに人的資本に関する開示ガイドラインとなる「人的資本可視化指針」が発表された後、人的資本経営に関して、テレビや新聞、ネットニュースで報道される機会が増加しました。この報道機会の増加は、“人的資本経営”という言葉の認知率に影響を与えていると考えられます。一方で、「内容まで知っていた」と回答した人は27.9%に留まることが明らかとなりました。

年代別にみると、「内容まで知っていた」と回答した人の割合は若年層で特に高くなり、20代・30代では52.1%と半数以上が内容まで理解しているといった結果でした。

また、役職別にみると、「内容まで知っていた」と回答した人の割合は、課長では23.6%、部長では38.4%となりました。


■「人的資本経営は企業価値を向上させると思う」82%、「人的資本経営に取り組む企業で働きたい」85%

■「コロナ禍では人的資本経営がより重要だと感じる」82%

■「コロナ禍での人的資本経営の実現は困難だと感じる」48%


次に、人的資本経営に関する意識について質問しました。


【人的資本経営は企業価値を向上させると思う】では「非常にあてはまる」が31.1%、「どちらかといえばあてはまる」が51.3%で、合計した『あてはまる(計)』は82.4%となりました。また、【人的資本経営に取り組む企業で働きたい】では『あてはまる(計)』は85.4%となりました。


コロナ禍での人的資本経営について、【コロナ禍では人的資本経営がより重要だと感じる】では『あてはまる(計)』は82.1%となりました。企業を取り巻く環境を一変させたコロナ禍では、“資本”である人材の価値を最大限に引き出す人的資本経営が、企業経営に欠かせないと実感する人が多いようです。また、【コロナ禍での人的資本経営の実現は困難だと感じる】では『あてはまる(計)』は47.8%、『あてはまらない(計)』(「全くあてはまらない」と「どちらかといえばあてはまらない」の合計)は52.2%と、コロナ禍でも実現できるとする人が多数派となりました。


 「人的資本経営」に対する勤務先の姿勢・実態に関するミドルマネジメントの実感は?

■「勤務先は人的資本経営に関心を持っている」71%

■「勤務先は人的資本経営に取り組んでいる」49%

■「勤務先での人的資本経営の実現は難しいと思う」58%


勤務先での人的資本経営の状況について質問しました。


全回答者(1,000名)に、勤務先は人的資本経営に関心を持っているか聞いたところ、「持っている」は71.0%、「持っていない」は29.0%となりました。

従業員規模別にみると、「持っている」と回答した人の割合は、300人~1,000人未満では65.4%、1,000人~5,000人未満では70.8%、5,000人以上では75.6%と、規模の大きい企業ほど高くなりました。2023年3月期決算以降の有価証券報告書から適用される「人的資本の情報開示義務化」が背景にあると考えられます。


勤務先は人的資本経営に取り組んでいるか聞いたところ、「取り組んでいる」は49.3%、「取り組んでいない」は50.7%となりました。

従業員規模別にみると、「取り組んでいる」と回答した人の割合は、300人~1,000人未満では42.9%、1,000人~5,000人未満では46.8%と半数未満に留まったのに対し、5,000人以上では56.6%と半数を超えました。

人的資本経営について、勤務先の7割強が関心を持つも、半数以上が実際には取り組んでいない背景には、人的資本経営に対する理解不足がうかがえます。表面的な理解に留まり、企業価値向上に対する影響度や経営に与える副次効果、効果的な取り組み方などに関する理解や認識が組織全体に浸透しないままでは、人的資本経営は実践のプロセスへは至らず、掛け声倒れに終わってしまうリスクがあるのではないでしょうか。


勤務先での人的資本経営の実現は難しいと思うか聞いたところ、「難しいと思う」は57.8%、「難しいと思わない」は42.2%となりました。自身の勤務先で人的資本経営を実現するにあたって、何らかの障がいがあると感じている人が多いのではないでしょうか。

従業員規模別にみると、「難しいと思う」と回答した人の割合は、300人~1,000人未満では63.7%、1,000人~5,000人未満では57.6%、5,000人以上では53.4%と、規模の小さい企業ほど高くなりました。


■勤務先の企業理念・経営戦略・人材戦略について、どのように感じている?

 「企業理念が見えづらい」は44%、「経営戦略が見えづらい」は52%、「人材戦略が見えづらい」は69%、

 「経営戦略と人材戦略が連動していない」は70%が実感


続いて、全回答者(1,000名)に、勤務先の企業理念・経営戦略・人材戦略に関する実感について聞きました。


【企業理念が見えづらい】では、「非常にあてはまる」が9.1%、「どちらかといえばあてはまる」が35.3%で、合計した『あてはまる(計)』は44.4%となりました。自身が勤める企業の基本的な理念を把握しづらいと感じている人が少なくないようです。


【経営戦略が見えづらい】では『あてはまる(計)』は51.9%、【人材戦略が見えづらい】では『あてはまる(計)』は69.1%となりました。


また、【経営戦略と人材戦略が連動していない】では『あてはまる(計)』は69.9%となりました。経営戦略と人材戦略の関係やつながりに課題があると実感している人が多いのではないでしょうか。


従業員規模別にみると、勤務先の企業理念が見えづらいと回答した人の割合は、300人~1,000人未満では54.7%、1,000人~5,000人未満では43.6%、5,000人以上では37.1%となりました。規模の小さい企業ほど、企業理念が浸透していない実状が明らかとなりました。


また、勤務先の経営戦略が見えづらいと回答した人の割合は、300人~1,000人未満では65.4%、1,000人~5,000人未満では48.5%、5,000人以上では44.4%、勤務先の人材戦略が見えづらいと回答した人の割合は、300人~1,000人未満では77.9%、1,000人~5,000人未満では66.7%、5,000人以上では64.5%となりました。

さらに、勤務先では経営戦略と人材戦略が連動していないと回答した人の割合は、300人~1,000人未満では78.5%、1,000人~5,000人未満では69.9%、5,000人以上では63.1%となりました。


■「勤務先は人的資本経営を推進している」87%

 人的資本経営推進の障がいになっていると思うもの 1位「対話・コミュニケーションの不足


全回答者(1,000名)に、勤務先は人的資本経営を推進しているか聞いたところ、「推進している」は87.2%、「推進していない」は12.8%となりました。

従業員規模別にみると、「推進している」と回答した人の割合は、300人~1,000人未満では84.8%、1,000人~5,000人未満では86.3%、5,000人以上では90.0%でした。


勤務先が人的資本経営を推進していると回答した人(872名)に、勤務先の人的資本経営推進の障がいになっていると思うものを聞いたところ、「対話・コミュニケーションが不足している」(34.3%)が最も高くなりました。対話の機会が減っていたり、組織内のコミュニケーションが活発に行われていなかったりすることが、人的資本経営推進の妨げとなっているケースが多いようです。次いで高くなったのは、「人事部門のスキル・人手が不足している」(33.9%)、「学び直し・リスキルの支援ができていない」(30.7%)、「個々の多様性を活かす環境が整備されない」(29.7%)、「求める人物像が定まっていない」(27.4%)でした。

従業員規模別にみると、300人~1,000人未満では「人事部門のスキル・人手が不足している」(39.6%)、1,000人~5,000人未満では「個々の多様性を活かす環境が整備されない」(36.3%)、5,000人以上では「対話・コミュニケーションが不足している」(31.0%)が1位でした。


 勤務先の「対話・コミュニケーション」に対するミドルマネジメントの実感は?

■上司との間で充分に行っている対話・コミュニケーションの目的・テーマ

 1位「業務内容や業務のプライオリティ」2位「業務における困りごと」3位「相互理解や信頼醸成」


全回答者(1,000名)に、職場での対話・コミュニケーションについて質問しました。


まず、職場における対話・コミュニケーションの状況をコミュニケーションの相手別にみると、【経営トップ】では「充分に行っている」は72.3%、「充分に行っていない」は27.7%、【上司】では「充分に行っている」は84.0%、「充分に行っていない」は16.0%、【同僚】では「充分に行っている」は87.7%、「充分に行っていない」は12.3%、【部下】では「充分に行っている」は87.3%、「充分に行っていない」は12.7%となりました。


また、職場で充分に対話・コミュニケーションを行っている人に、対話・コミュニケーションの目的・テーマを聞いたところ、【経営トップ】との間では1位「会社の目標・ビジョン」(58.4%)、2位「業務内容や業務のプライオリティ」(31.3%)、3位「相互理解や信頼醸成」(24.9%)、【上司】との間では1位「業務内容や業務のプライオリティ」(47.1%)、2位「業務における困りごと」(45.4%)、3位「相互理解や信頼醸成」(35.5%)となりました。


【同僚】【部下】との間ではいずれも1位「業務における困りごと」(順に49.3%、52.8%)、2位「相互理解や信頼醸成」(42.6%、42.4%)、3位「業務内容や業務のプライオリティ」(38.7%、41.9%)となりました。


 ■職場の対話・コミュニケーション不足解消のために必要だと感じること

 「コーチング・1on1ミーティングの導入」がダントツ、2位「コミュニケーションツールの活用」

 人事部門や情報システム部門では半数超が「コーチング・1on1ミーティングの導入」が必要だと回答


どのようなことが対話・コミュニケーションの活性化に必要だと感じている人が多いのでしょうか。


全回答者(1,000名)に、職場の対話・コミュニケーション不足解消のためには、どのようなことが必要だと思うか聞いたところ、「コーチング・1on1ミーティングの導入」(39.8%)が最も高くなりました。コーチからの質問を通じて問題点や課題を洗い出し、気づきや自発的な行動を促すことで早期の目標達成を支援する手法である“コーチング”や、上司と部下が1対1で対話を行うことにより効率的な人材育成を目指す“1on1ミーティング”の機会を積極的に活用することで、対話・コミュニケーションの活性化が図れると考えている人が多いようです。次いで高くなったのは、「コミュニケーションツール(チャットなど)の活用」(29.2%)、「社内イベントの開催」(23.3%)、「社員食堂・リフレッシュスペースの設置」(20.5%)、「フリーアドレス制の導入」(14.1%)でした。

年代別にみると、20代・30代では「社内イベントの開催」(37.5%)や「社員食堂・リフレッシュスペースの設置」(35.4%)、「フリーアドレス制の導入」(31.3%)、「社内SNSの導入」(25.0%)が全体と比べて10ポイント以上高くなりました。

業務内容別にみると、人事と情報システムでは「コーチング・1on1ミーティングの導入」(順に51.8%、51.0%)が半数を超えました。


■職場での対話・コミュニケーションがもたらした会社・組織における変化・成果とは?

 「離職率が半分以下に」「上司・部下の信頼感が強くなり、組織が活性化された」「組織の業績がアップした」

 「部門間の垣根が低くなり新たなパイプができた」「達成不可能だと思った高い目標を達成できた」など


全回答者(1,000名)に、職場での“対話・コミュニケーション”がもたらした、会社・組織における変化や成果として、社会人として過去に経験したこと(エピソード)を聞いたところ、営業部門では「部下としっかりコミュニケーションを取った結果、営業成績を上げることができた」や「双方の理解が深まり、より密接にコミュニケーションできるようになった」、「アルバイトとお茶を飲みながら、聞いた話をもとに職場改善したら、アルバイトの離職率が半分以下になった」、総務部門では「対話やコミュニケーションを通して、お互いが抱いていた勘違いがなくなり、業務にスムーズに取り組めるようになった」や「良質なコミュニケーションで業務効率が上がった」、「上司・部下の信頼感が強くなり、組織が活性化された」といった回答がありました。

また、情報システム部門では「1対1のミーティングにより、部下の業務状況や悩みを把握し、早期にフォローすることができるようになったことで、組織の業績がアップした」や「いろいろな人とコミュニケーションを図ることで今まで気づかなかった仕組みを新たに構築できた」、「誤解、勘違いといった認識齟齬が減って、プロジェクトがスムーズに進むようになった」、技術部門では「コミュニケーションスペースでの会話から、部門の壁を超えた協力を得られた」や「毎日のコミュニケーションを心がけ実践したことにより、部下のニーズや業務上の問題点が明確になって、それを改善することでサービスレベルを向上することができた」、「チーム制の活動、プロジェクトによる活動で部門間の垣根が低くなり新たなパイプができた」といった回答がありました。

そのほか、経理部門では「部下と普段からコミュニケーションを取ることによって、部下が相談しやすい雰囲気を作ることができ、業務を円滑に進めることができるようになった」、企画部門では「達成不可能だと思った高い目標を全員協力して達成できた」といった回答がありました。


■良質な対話・コミュニケーションの増加が生み出すと思う変化

 1位「組織や個人の生産性が向上する」2位「従業員エンゲージメントの把握や改善が進む」

 20代・30代では「自己研鑽に励む人の割合が増加する」「管理職志向の人の割合が増加する」などが高い傾向


全回答者(1,000名)に、会社・組織における良質な対話・コミュニケーションの増加は、どのような変化を生み出すと予測するか聞いたところ、「組織や個人の生産性が向上する」(40.6%)が最も高くなりました。対話・コミュニケーションの質と量の向上が会社・組織の生産性アップを後押しすると予測する人が多いようです。次いで高くなったのは、「従業員エンゲージメントの把握や改善が進む」(36.8%)、「ワークライフバランスが改善する」(33.7%)、「離職率が低減する」(33.6%)、「イノベーションが生まれやすい企業風土へ変化する」(31.4%)でした。

年代別にみると、20代・30代では「自己研鑽に励む人の割合が増加する」(33.3%)や「給与体系やインセンティブ制度が変化する」(25.0%)、「管理職志向の人の割合が増加する」(29.2%)が全体と比べて10ポイント以上高くなりました。


 勤務先の「人事部門」の実状や貢献に対するミドルマネジメントの実感は?

■勤務先の人事部門の実状

 「人材の価値創造に成功している」37%、「ビジネスの価値創造に貢献している」41%、

 「人材戦略など人的資本の状況を積極的に開示している」40%、「人的資本経営の推進をリードしている」27%、

 「働く人のスキル・経験・要望を正確に把握している」40%、

 「自律的なキャリア構築を充分に支援している」43%


勤務先の人事部門の状況について質問しました。


全回答者(1,000名)に、勤務先の人事部門に関する実感を聞いたところ、【人材の価値創造に成功している】では、「非常にあてはまる」が6.3%、「どちらかといえばあてはまる」が30.7%で、合計した『あてはまる(計)』は37.0%となりました。また、【ビジネスの価値創造に貢献している】では『あてはまる(計)』は41.2%となりました。


【人材戦略など人的資本の状況を積極的に開示している】では『あてはまる(計)』は40.0%、【人的資本経営の推進をリードしている】では『あてはまる(計)』は26.7%となりました。


また、【働く人のスキル・経験・要望を正確に把握している】では『あてはまる(計)』は40.3%、【自律的なキャリア構築を充分に支援している】では『あてはまる(計)』は42.6%となりました。


■人的資本経営推進のために人事部門に期待する育成支援策

 TOP3は「働き方改革」「人事制度改革」「コーチングスキル研修」

 20代・30代では「リーダーシップ研修」が1位、「コーチングスキル研修」が2位


最後に、全回答者(1,000名)に、人的資本経営推進のために、勤務先の人事部門に対し、どのような育成支援策を期待するか聞いたところ、「働き方改革」(37.0%)が最も高くなり、「人事制度改革」(31.6%)、「コーチングスキル研修」(30.0%)、「リーダーシップ研修」(29.5%)、「従業員エンゲージメントの向上」(28.3%)が続きました。

年代別にみると、20代・30代では「リーダーシップ研修」(50.0%)が1位、「コーチングスキル研修」(47.9%)が2位でした。若手ミドルマネジメントには、リーダーシップ研修やコーチングスキル研修といった、より一層優れたリーダーとして活躍できるよう自己研鑽を積むことができる機会を望む人が多いようです。


≪調査概要≫

調査タイトル :人的資本経営調査2023 ミドルマネジメント編

調査対象 :ネットエイジアリサーチのインターネットモニター会員を母集団とする

従業員数300人以上の企業に勤める20歳~69歳のミドルマネジメント(部長・課長)

調査地域 :全国

調査方法 :インターネット調査

調査期間 :2023年2月15日~2月16日の2日間

有効回答数 :1,000サンプル

実施機関 :ネットエイジア株式会社

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