透析患者約400人の治療法に関する意識調査結果を発表 選択した透析療法により患者満足度に差が
バクスター株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:河野 行成、以下 バクスター)は2023年3月から4月にかけて、NPO法人 腎臓サポート協会の会員で現在透析療法を受けている患者414人を対象として、治療法に関する意識調査を実施しました。その結果、腎代替療法の種類や患者の年代によって、治療開始前に医師が行う説明に差異があり、患者の治療選択に影響を与えたことが示唆されました。また、透析療法の種類によって、患者のライフスタイルに関する項目で満足度に違いが認められました。
腎臓の機能は一度失われると回復することが難しく、腎臓の機能が低下すると、透析や移植など腎臓の代わりに老廃物を除去する「腎代替療法」が必要となります。腎代替療法の一つである透析療法には主に、自宅や外出先で毎日治療を行う「腹膜透析(Peritoneal Dialysis; PD)」と、週に3回クリニックへ通院して行う「血液透析(Hemodialysis; HD)」があります。PDの普及率は欧米などの先進国では約12%、香港では約70%であるのに対し、日本は約3%※1と諸外国に比べ低い水準となっています。
主な調査結果は以下の通りです。詳細は別紙参考資料をご参照ください。
■ 治療開始前に医師から受けた腎代替療法の説明に差がみられた
透析療法の種類によって治療する場所・回数・方法が異なるため、医師が各療法を等しく説明し、患者が自分にあった治療を選べるよう支援するSDM(Shared Decision Making)が推奨されています。しかし、本調査では治療前に医師から説明を受けたのはHDが93.7%、PDは65.0%(参考資料 図(1))と治療法によって違いがあることが示されました。また、年代別ではPDの説明を受けたのは40代以下が86.5%、50代65.1%、60代60.0%、70代以上60.9%と50代を超えると60%台に割合が下がっています(同 図(2))。さらに、治療を始める前に医師から説明された治療法を実際に選択した患者は、HD 94.7%、PD 94.9%(同 図(3))と同等に高いことから、治療法について医師から説明を受ける重要性が読み取れました。
■ ライフスタイルに関する患者満足度ではHDよりもPDが相対的に高い
現在の治療法について満足度を問う項目では、「自由な時間の確保」や「日常生活への制約」などライフスタイルに関する満足度はPDがHDを上回る傾向が見られました(同 図(8))。
■ PD患者は治療開始前に各透析療法の治療内容について比較的認知していた
PD患者はHDおよびPDの治療内容について、HD患者よりもすべての項目において認知度が上回りました(同 図(6)(7))。PD患者は治療開始前にHDおよびPDの治療法について、認知したうえでPDを選択している可能性が示唆されました。
【板橋中央総合病院 副院長 小松 康宏 先生のコメント】
「腹膜透析はお腹に留置したカテーテルから老廃物を透析液と共に排出しますが、1日に数回30分程度かけて行うCAPDというものと、1日1回就寝中に器械で自動的に行うAPDという2種類があり、どちらも患者さん自身のライフスタイルに合わせて実施タイミングを選べる治療です。腹膜透析と血液透析の満足度で差が際立ったのは、40代以下が「自由な時間の確保(PD:87.5%、HD:11.6%)」、70代以上では「日常生活への制約(PD:47.4%、HD:18.7%)」と、どちらも生活の質に大きく関わる項目です(同 図(9)(12))。血液透析があっている方もいれば、腹膜透析があっている方もいらっしゃいます。また、生活状況が変われば治療選択を変えることもあるでしょう。継続的に適切な治療を行うためにも、患者さんが送りたい生活スタイルを主軸として、治療法を選択することがとても大切です」
【バクスター株式会社 代表取締役社長 河野 行成のコメント】
「本調査により、患者さんによる透析治療の認知度や理解度、そして治療についての心理状態の一端を把握することができました。バクスターはマーケットリーダーとして、本調査結果をもとに、患者さんがご自身のライフスタイルに合った治療法を選択できるよう環境を整備してまいります。患者さんが医療従事者と自信をもって相談できるようサポートする『いっしょに考える腎臓病』※2、および医療従事者が高い知識・技能をオンラインで習得可能とする『PDアカデミーエッセンシャルズ』※3、さらには腹膜透析を選んだ方々の安心した自宅治療を応援する『腹膜透析ナビ』※4を通じ、バクスターは今後も患者さんの笑顔あふれる生活を応援し続けます」
■「透析患者における、治療法に関する意識調査」について
調査手法 :インターネット調査
調査期間 :2023年3月8日~2023年4月3日
調査対象 :現在透析療法を受けている男女414名
(PD:59名、HD:338名、PDとHDの併用:17名)
実施団体 :バクスター株式会社(調査委託先:NPO法人 腎臓サポート協会)
分析・報告:株式会社トークス
■NPO法人 腎臓サポート協会について
腎不全を病む患者さんのQOL(生活の質)を高めるための、腎臓疾患療法に関する情報提供とその普及活動を行う団体です。『腎臓病なんでもサイト』※5では患者さんに役立つ情報を届けています。
■バクスター株式会社について
バクスター株式会社は世界的なヘルスケアカンパニー、米バクスターインターナショナルインクの日本法人です。2019年、日本法人設立50周年を迎えた当社は腹膜透析、血液透析に関わる透析製品事業分野、吸入麻酔薬や急性血液浄化治療を始めとするホスピタルプロダクト事業分野、局所止血材や癒着防止吸収性バリアを中心としたアドバンスサージェリー事業分野を軸に医薬品、医療機器のリーディングカンパニーとしてイノベーティブな製品とサービスを提供し、日本の医療現場に貢献してまいります。
※1 出典: End Stage Renal Disease: Chapter 11. International Comparisons, Figure 11.16 Distribution of dialysis modality in prevalent patients with ESRD, by country or region, 2020 (United States Renal Database System 2022 Annual Data Report)
▼詳細URL
https://usrds-adr.niddk.nih.gov/2022/end-stage-renal-disease/11-international-comparisons
※2 https://jp.mykidneyjourney.com/ja
プレスリリース添付資料
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