~ゆるキャラ・キモカワキャラについて調査~ 5人に2人が“キモカワキャラ”を聞く機会が増えたと回答 “キモカワキャラ”が人気の理由は「なぜか無性に気になってしまう」 “キモカワキャラ”が話題の理由を「ゆるキャラ論」犬山秋彦氏が解説
2013.05.31 14:30
生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研(東京都渋谷区)は、「にしこくん」や「なめこ」などのキモカワキャラが現在話題を集めている現象に注目をしました。
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キモカワキャラの言葉認知
そこでトレンド総研では、キャラクターとして以前から注目をされている「ゆるキャラ」と、話題を集めているキャラが増えている「キモカワキャラ」について実際のところどのように思われているのかについての生活者の意識を明らかにし、また「ゆるキャラ論」著者でキャラクターに詳しい犬山秋彦氏に「キモカワキャラ」が最近話題になることが多いことに関して、その理由をお聞きしました。
「キモカワキャラ」が話題になってきている背景や好まれている理由について知ることで、今がどのような時代なのかを探っていきます。
■レポート内容 概要
1.「ゆるキャラ」・「キモカワキャラ」の世間の意識について
20~30代の男女500名に聞いた調査から、「ゆるキャラ」と「キモカワキャラ」についてどのように思っているのかという意識と実態が明らかになりました。
2.ゆるキャラ専門家・犬山秋彦氏に聞く、キモカワキャラが話題になる理由
「ゆるキャラ論」著者・キャラクターコンサルタントの犬山秋彦氏から、キモカワキャラが受け入れられている理由や話題になっているのはどのような理由があるのかお話いただきました。
3.注目・話題の「キモカワキャラ」の紹介
話題となっているキモカワキャラ、注目のキモカワキャラを紹介します。
■レポート内容 詳細
1.「ゆるキャラ」・「キモカワキャラ」の世間の意識について
「ゆるキャラ」や「キモカワキャラ」がニュースとなることも近年非常に多くなってきており、注目を集めるキャラクターも増え始めています。そこで、「ゆるキャラ」や「キモカワキャラ」が実際にどのように思われているのかなどの現状の評価を明らかにするため、全国の20代~30代の男女500名を対象に「“ゆるキャラとキモカワキャラ”に関する調査」を実施しました。
[調査概要]
調査対象:20代~30代の男女 500名(男女・世代均等割付)
調査期間:2013年5月16日(木)~2013年5月20日(月)
調査方法:インターネット調査(楽天リサーチ調べ)
※ゆるキャラ=緊張感が無く、のんびりとした雰囲気を漂わせているご当地の着ぐるみキャラクターと定義します。
※キモカワキャラ=一見、気持ち悪いと感じる表情やバランス、作りをしているが可愛らしさを感じてしまうキャラクターと定義します。
◆実は意外といない!好きな特定のゆるキャラの存在
まず最初に、「あなたはゆるキャラという言葉を知っていますか?」と聞いたところ、93.6%の人が知っていると答え、さらに知っているという人に「ゆるキャラという言葉を聞いて思いあたるキャラクターがいる」と答えた人は86.2%と、「ゆるキャラ」の知名度は非常に高いことがわかりました。
続いてゆるキャラの好感度について聞いてみました。「あなたはゆるキャラが好きですか?」と聞いたところ61.0%の人が「好き」と答えました。男女間で好感度は大きく異なり、「好き」と答えた男性は51.7%に対し、女性は69.1%と17.4ポイントも差がありました。また、特定の好きな「ゆるキャラ」がいるかについて聞くと、43.2%の人がいると答えました。ゆるキャラが好きな人でも、特定の好きなゆるキャラがいるという人は半数にも満たないということがわかりました。また、「ゆるキャラ」が好きな理由について聞いたところ「制作者や街・自治体などの思いが感じられるのがほほえましいし、見守ってあげたくなる」(26歳女性・愛知県)、「どのキャラも可愛らしいし、ゆるキャラをきっかけにその場所について知れるので」(21歳女性・茨城県)、「地域を盛り上げようと頑張ってる感じが伝わる」(24歳女性・千葉県)というように、ご当地キャラならではの地域との関係が評価をされた意見が見られました。他にも「しょうもない感じが突っ込みどころ満載で気になるから」(39歳女性・神奈川県)、「しっかりとしたキャラクターらしさがなく(プロっぽくない)、のんびりした感じがとても可愛かったり面白かったりするのが好き」(30歳女性・神奈川県)と、ゆるキャラというように、キャラクターのゆるさが評価されていました。
グラフ1: http://www.atpress.ne.jp/releases/36054/graph1_1.jpg
◆この1年でキモカワキャラについて聞く機会が増えている!
続いて、ゲームの世界や絵本の世界、さらにはゆるキャラの中でも増えている「キモカワキャラ」について聞いてみました。まず、「『キモカワキャラ』という言葉を知っていますか?」と聞くと、57.2%の人が「知っている」と答えました。特に30代の女性は69.6%と、7割近い人が知っていることがわかりました。そこで、「知っている」と答えた人に「『キモカワキャラ』という言葉をこの1年で聞くことが多くなったと思いますか?」と聞くと、38.1%の人が「多くなった」と回答し、「キモカワキャラ」を見聞きする機会が増えてきていることがうかがえます。では、具体的に「キモカワキャラ」で思いあたるようなキャラクターがいるかどうか聞いたところ、24.0%と約4人に1人がいることがわかりました。
また、「キモカワキャラ」の好感度について聞いてみました。「『キモカワキャラ』が好きですか?」と聞いたところ、22.0%と約5人に1人以上が好きということがわかりました。そこで、「キモカワキャラ」が好きな理由について聞いたところ「なぜか無性に気になってしまうところ」(55.6%)、「個性的なところ」(44.4%)、「自由奔放なところ」(41.3%)という意見が多くあがりました。
グラフ2: http://www.atpress.ne.jp/releases/36054/graph2_2.jpg
2.キャラクターコンサルタント・犬山秋彦氏に聞く、キモカワキャラが話題になる理由
調査の結果からも、「キモカワキャラ」について耳にする機会がこの1年で増えていることと、「キモカワキャラ」が好かれている理由がわかりました。そこで、「ゆるキャラ論」著者でもあり、キャラクターコンサルタントの犬山秋彦氏に、「キモカワキャラ」がなぜ今増えているのか、なぜ受け入れられているのかについてお話をうかがいました。
◆キモカワキャラの歴史とキモカワキャラに共通する特徴
日本人には「デロリ」という、日本独特の生々しさや血なまぐささ、不気味さ、に関して美意識を持った概念が存在します。歴史的なところでは、その「デロリ」という概念を提唱した岸田劉生氏が制作した「麗子像」という絵に始まり、水木しげる作品、特撮作品に登場するピグモン、伝染るんです、みかん星人、シーマン、モッコロとキリゾーといった具合に何年かの周期で繰り返しブームになっています。キモカワキャラの特徴は、デザインとして「線が多い」ことがあります。癒し系のキャラはシンプルなデザインになっていますが、キモカワキャラはムダな線が顔に多いことが見受けられます。また、キャラクターとして人間味や生々しさをもっていることも特徴です。
◆キモカワキャラが受け入れられている理由
「キモカワキャラ」が受け入れられている理由に、先ほど述べた日本人が独特に持つ美意識以外に、時代性の関係もあります。特に不景気の時には「キモカワキャラ」が受け入れられることが多いです。その理由は、メディアで推されているものに対して大勢の人が疑いを持った目を持ち始めるからです。このような時、人はキャラクターに対してどこか人間味を求め始めるようになります。かわいいものに対しては信用できなくなったりしますが、「キモカワキャラ」は裏表がないため、共感を感じることができ、受け入れられます。
また、90年代でバブルが崩壊してからは、賑やかさがまだ残っていながらも人は心のどこかに憂いを持ちはじめ、そのような時から自分自身の目で発見したキャラに親しみを感じる気持ちが生まれ始めました。そして、不気味だったり普通の人には受け入れられないようなキャラクターに対して日本人は判官びいきがあり、この良さは自分達にしか分からない、という感覚が多くの人に芽生え、その結果としてそのキャラクターを応援するという点もキモカワキャラが受け入れられている理由です。
◆ふなっしーなどキモカワキャラが話題になる理由
「キモカワキャラ」がウケる背景には大概、ネット上で論争や話題が起きることがきっかけとしてあります。「キモカワキャラ」でもあり、ゆるキャラブームの先駆者でもある「せんとくん」は、自治体が何千万円ものお金を出して何でこんなかわいくないキャラになったのか、という論争が生まれたことが原因です。その論争により、何万人もの人がせんとくんを見たため、中にはかわいいと愛着を持ってくれる人が出てきたり、他のキャラクターを対抗して出したりと一般の人たちが遊びだし、一気に形勢逆転しだしました。
また国分寺のにしこくんは、高円寺ゆるキャラまつりの集合写真でハブられていたところを2ちゃんねらーが同情し、この虐げられたキャラを自分たちの手で一躍有名にしようという声があがり、2011年のゆるキャラグランプリで上位にランクインして有名になりました。
最近話題のふなっしーは、当初はイベントなどに出ても見向きもされず追い出されることもあった位ですが、どうすれば好きになってもらえるか試行錯誤をした結果、変な動きとしゃべり方になりました。そして動けば動くほど遠巻きでも写真や動画を撮ってくれて、その動きがウケればウケるほどYouTubeに勝手に動画がアップされ、話題になっていきました。
また、アプリやゲームの「キモカワキャラ」の「なめこ」や「アルパカ兄さん」、「ミルチョ」のようなケースはゆるキャラの「キモカワキャラ」とはまた話題になっていく仕方が異なり、単純接触効果も影響をしています。ゲームやアプリで毎日のように見ると次第に愛着が生じてくるからです。
そしてこれらのキモカワキャラが話題になる共通の要素として、一言でツッコめることができる、というのがあります。そしてその言葉でキャラクターが友達に伝えられるだけでなく、誰がツッコんでも同じになるため、ツッコミのフレーズとキャラクターが合致するため広まりやすくなります。
<犬山 秋彦(いぬやま あきひこ)>
― ライター、デザイナー、キャラクターコンサルタント ―
自衛隊勤務、テレビゲームのシナリオアシスタント、ディズニーキャストなどを経て現在に至る。戸越銀次郎・大崎一番太郎など「ゆるキャラ」のデザイン、プロデュースを行う傍ら、『週刊戦国武将データファイル』(デアゴスティーニ・ジャパン)、『信長とお江』(徳間書店)など歴史関連の記事・マンガ原作も執筆。
著書『ワーキングプア死亡宣告』(共著)、絵本『しんかいくんとうみのおともだち』(イラストを担当)。
3.注目・話題の「キモカワキャラ」の紹介
犬山氏のお話からも「キモカワキャラ」は、元々日本人の美意識として受け入れられる土壌を持っていたことと、キャラクターの持つツッコミどころのある要素や、「キモカワキャラ」のデザインが共感性や親しみを持つことから受け入れられ、話題になっていることがわかりました。そこで、今注目・話題の「キモカワキャラ」を紹介します。
キモカワキャラ: http://www.atpress.ne.jp/releases/36054/chara_3.jpg
◆サイバーエージェント「きいてよ!ミルチョ」の「ミルチョ」
「きいてよ!ミルチョ」は2012年8月末にサービス開始し、会員数は76万人(2013年5月26日時点)、1日に10万件以上のひとりごとがつぶやかれている「Ameba」のサービスです。このサービスのキャラクター、黄色い生物のミルチョに対してどうでもいいひとりごとをつぶやいたり、他の利用者のひとりごとを聞いてあげることで、ミルチョが50段階以上にわたり成長・進化していきます。
どうでもいいひとりごとに対して、ゆるい返事をくれたり、思いがけない姿に突然進化するミルチョのキモカワいさがネットユーザーに支持されたサービスとなっています。
⇒きいてよ!ミルチョのURL: http://mirucho.me/dl/index.html
◆武蔵の国の妖精「にしこくん」
「にしこくん」は武蔵の国・国分寺跡から発掘された“あぶみ瓦”をモチーフとした妖精で、丸いグレーの顔からにょきっと出た足がチャームポイントのキャラクターです。2010年10月12日にTwitter上に誕生し、イベント活動の無い日は、SNSでゆるくファンと交流しているそうです。
ゆるキャラグランプリ2011では全国第3位に入賞し、2012年には『ブンブンブック にしこくん』が刊行されるなど人気を集めています。
⇒にしこくんのURL:http://www.nishikokun.com
◆おさわり探偵なめこ栽培キットの「なめこ」
「おさわり探偵なめこ栽培キット」の「なめこ」は、元々、ゲームソフト『おさわり探偵 小沢里奈』の助手として登場するキャラクターです。その『おさわり探偵 小沢里奈』のiPhone版アプリの配信開始(2011年8月4日)に先駆けて、スピンオフのアプリとして「おさわり探偵 なめこ栽培キット」が2011年6月に配信されました。なめこのキャラクターとゲーム性の高さから、シリーズ累計ダウンロード数が31,674,646DL(2013年5月22日現在)となるなど、大人気のアプリとなっています。
この「なめこ」はどこか憎めない表情と予測不可能な行動、「んふんふ」という言葉で喜怒哀楽を表現できるという話し方で、キャラクターとしても人気を集め、関連グッズも1,400アイテム以上が出ています。
また、関連書籍の累計発行部数も110万部以上となっています。
⇒なめこ公式サイトのURL: http://namepara.com/
以上の調査結果・専門家のコメント・話題のキモカワキャラから、今の時代はキャラクターに対しても個性的な部分や人間味のあるところを求め、そして一般の人たちがキャラクターを育て・盛り上げていく時代と言えそうです。